イギリス、ロシア産石油への制裁を緩和 燃料価格の高騰受け

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ファイサル・イスラム経済編集長、ジェイムズ・ランデイル外交担当編集委員、ミッチェル・ラビアク・ビジネス記者
イギリス政府は19日、第三国でディーゼルや航空機燃料に精製されたロシア産石油に対する厳格な制裁を緩和した。アメリカとイスラエルによるイランとの戦争開始以降、ホルムズ海峡の実質的な封鎖によって特定の燃料の供給懸念が高まっていることを受けた措置。
イギリスは、ロシア産の液化天然ガス(LNG)の輸送に関する一部制裁も解除する。一連の緩和は20日に開始される。
英政府は、全体として制裁はより厳格になっているとする一方で、さらなる柔軟性が必要だと述べた。同様の措置はアメリカでも取られているが、広く批判されている。
イランでの戦争開始後、ヨーロッパでは一時、航空機燃料の価格が2倍超に上昇したが、現在は約5割高の水準で推移している。一方、イギリスのガソリン価格は上昇を続けている。英王立自動車クラブ(RAC)によると、レギュラーガソリンの平均価格は18日に1リットルあたり158.52ペンスに達し、戦争開始以降で最高を更新した。
イギリスおよび世界各地で運航する複数の航空会社は、燃料価格の高騰を受け、欠航や運賃引き上げを行っている。
イギリスは長年、ロシアのウクライナ全面侵攻を受け、ロシアに経済的圧力をかける国際的取り組みを主導してきた。19日には、ロシアに「重大な代償」を払わせるという「揺るぎないコミットメント」を再確認する主要7カ国(G7)の共同声明に署名した。
ウクライナ支援と生活費高騰への対策
今回の制裁緩和により、イギリスは事実上、インドから航空機燃料を輸入できるようになる。インドは以前、イギリスとヨーロッパにとって主要な供給国だった。また、トルコでも大量のロシア産原油が精製されている。
英政府によると、制裁対象の加工石油製品に関する新たな規則は「無期限」で適用されるが、定期的に見直され、修正または撤回される可能性がある。
イギリスはまた、対ロ制裁のルールのもと、LNGの海上輸送および関連サービスを対象とした期限付きの許可も発行した。この緩和措置は来年1月1日が期限となる。
ダン・トムリンソン財務政務次官は20日、BBC番組「ブレックファスト」で、これらの変更は「小規模かつ限定的」で「期限付き」だとしたうえで、「航空機燃料のような、経済にとって極めて重要な基盤的な物資の供給の安全を守る」ために行われたと述べた。
同氏はまた、政府は引き続き「ウクライナ支援への揺るぎないコミットメント」を維持しているとした。同時に、生活費の高騰に苦しむ国内の家庭を支えるためには、重要な製品に関して「適切で理にかなった決定」を下す必要があると述べた。
一方、英下院外務特別委員会のエミリー・ソーンベリー委員長(労働党)は、政府がロシア産石油に対する一部制裁を緩和した決定に反対すると述べた。
同氏はBBCラジオ4の番組「トゥデイ」で、夜間にウクライナの関係者から話を聞いたとし、彼らは「非常に失望している」と語った。
「これはウクライナの同盟についての話だ。ウクライナはもう何年もロシアと勇敢に戦い続けており、その過程で我々の支援を受けてきた。ウクライナはイギリスを最も重要な同盟国の一つとして見てきたが、今回の対応を理解していない」と、ソーンベリー氏は話した。
イギリスがスペインやアメリカと同様の措置に従っているとの指摘に対しては、「他の国々が誤った行動をとっているからといって、我々がそれに加わるべきだということにはならない」と付け加えた。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首もこの措置を批判し、「18カ月にわたって『プーチンに立ち向かう』としてきた後で、この政府は第三国で精製されたロシア産石油の輸入を認める許可をひそかに発行した」と述べた。
ベイドノック氏は、労働党の議員らがこの日、イギリスでの新たな石油・ガスの採掘許可発行に反対票を投じた点に言及し、イギリスは現在、「北海での掘削ではなくロシアからの輸入に頼っている」と指摘した。
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ拠点のエネルギーコンサルティング会社カマール・エナジーのロビン・ミルズ最高経営責任者(CEO)は、制裁を後退させる今回の措置は適切ではなく、イギリスでの価格引き下げにもつながらないと指摘した。
BBCの「トゥデイ」に対しミルズ氏は、「この動きは、湾岸の危機を理由にロシアへの制裁が潜在的に弱まっているというマイナスのメッセージを発している。イギリスやアメリカを含む国々が、他の問題を理由に制裁を後退させることを示している」と述べた。
同氏はさらに、航空機燃料に「実際に物理的な不足が生じるという現実的な見通しは、これまで存在しなかった」との見方を示した。
「その意味では、この措置は不要に見える。価格を引き下げることにはならず、そもそも起こる可能性が低かった不足にも対処することにはならない」
アメリカは制裁緩和をさらに延長
アメリカは18日、ロシア産石油制裁への緩和措置を延長した。3月に導入したこの措置は、他国が海上輸送中のロシア産原油や石油製品の購入を禁止する制裁を緩和するもの。スコット・ベッセント米財務長官は当時、この「短期的措置」は「世界のエネルギー市場の安定」促進を目的としていると述べていた。
この政策については、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の政権や、2022年から続くウクライナへの全面侵攻を支援することになるとして、多くのアメリカおよびイギリスの同盟国が批判している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ホルムズ海峡が閉鎖されていることは、ロシアへの制裁解除を「まったく」正当化しないと指摘。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、アメリカが4月にこの措置の延長を発表した際、「ロシア産原油の代金として支払われる1ドル1ドルが(ロシアにとってウクライナでの)戦争資金になる」と述べた。
しかし、イギリスのイヴェット・クーパー外相は3月、アメリカの決定を批判せず、「特定の限定的な問題だ」と述べていた。











