米最高裁、経口中絶薬の郵送処方を当面容認

ミフェプリストンという黒い文字と、白色で女性のシルエットが印刷された、オレンジ色の箱のクローズアップ写真

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画像説明, 中絶薬ミフェプリストンのパッケージ(2023年撮影)
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サレーン・ハベシアン

米連邦最高裁判所は14日、経口中絶薬ミフェプリストンについて、郵送での処方の継続を当面の間認める判断を下した。

ミフェプリストンをめぐっては、下級審が先に、同薬へのアクセスを大幅に制限する判断を示し、同薬を製造する2社が最高裁に介入を求めていた。

最高裁の判断は、同薬の規制をめぐる訴訟が継続している間は、制限措置を差し止めるというもの。これにより、同薬へのアクセスは判決が出るまでは維持される。判決の言い渡しは来年になる可能性がある。

経口中絶薬の使用は、アメリカで最も一般的な妊娠中絶の方法で、中絶が禁止されている州で特にその傾向が強い。

最高裁で最も保守的なクラレンス・トーマス判事とサミュエル・アリート判事は、郵送での処方を継続することに反対した。

米食品医薬品局(FDA)は2023年、医師が対面診療を行わずに経口中絶薬を処方することを認めた。これにより、女性は遠隔診療を通じて、郵送や薬局で経口中絶薬を受け取れるようになった。

ルイジアナ州は昨年10月、ミフェプリストンの郵送を阻止する目的でFDAを提訴。全米各地に同薬が郵送できることが、同州の中絶禁止法を侵害していると主張した。

この訴えを受けて控訴裁判所は今月初め、中絶薬を対面で受け取ることを義務付ける要件を一時的に復活させた。

控訴裁は、「FDAの措置によって促進されたあらゆる中絶が、ルイジアナ州の薬剤による妊娠中絶を禁止する州法を無効化し、『すべての胎児は受胎の瞬間から人間であり、法的人格を有する』という州の方針を損なうもの」だと判断した。

その後、ミフェプリストンを製造する2社は、裁判所に緊急の審理を求める準備を進める中で、最高裁に判断を仰いだ。

制限措置を差し止めるという最高裁判断は「ステイ(一時停止)」と呼ばれ、最高裁の緊急事件表に含まれる。判断理由は示されていない。裁判官が製造会社の申し立てを審理するかどうかを決定するまで、この措置は有効だ。

トーマス判事は反対意見の中で、ルイジアナ州ではミフェプリストンの郵送は違法であるため、製造会社は「自社の犯罪的事業による利益の損失」を理由に、裁判所命令を阻止しようとする権利はないと主張した。

ミフェプリストンは、FDAが推奨する2種の経口薬を用いた妊娠中絶方法で最初に服用する薬。中絶が合法な州では広く入手可能だ。

新型コロナウイルスの感染が広がっていた2021年4月当時、FDAは同薬の対面処方の要件を一時撤廃し、利用が拡大した。

その翌年に最高裁は、アメリカで長年、女性の人工妊娠中絶権は合憲だとしてきた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断を示した。この判決を受けて、各州が独自に中絶を禁止できる道が開かれた。

FDAは2023年、ミフェプリストンの郵送での処方を恒久的に認める決定を下した。翌2024年には最高裁が、同薬へのアクセスを制限するよう求める訴えを全員一致で退けた。

ただ、この判断は、ミフェプリストンの利用を他のかたちで制限できる余地を残すものだった。

「ロー対ウェイド」判決が覆されて以降、アメリカでは20以上の州が中絶を禁止または制限している。