トランプ氏、19日に予定していた対イラン攻撃を「見送り」 湾岸諸国の要請で

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は18日、イランとの戦争について「現在、真剣な交渉が行われている」とし、湾岸諸国からの要請を受け、19日に予定していたイランへの軍事攻撃を見送ると発表した。
トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の指導者らから、攻撃を見送るよう要請があったと明らかにした。
アメリカにとって「大いに受け入れ可能」な合意が成立する可能性があるとの知らせを受けていると、トランプ氏は説明。「イランに核兵器は持たせない!」と付け加えた(編注:太字は原文ではすべて大文字)。
トランプ氏は、受け入れ可能な合意が成立しなければ、アメリカは「即座にイランに対する全面的な大規模攻撃に踏み切る」用意があるとも警告した。
イラン軍高官の1人は、「再び戦略的な過ちや誤算をしないように」とアメリカに警告した。
支持率下がる中での攻撃見送り、湾岸諸国は報復を懸念
19日のイラン攻撃を見送るというトランプ氏の発表は、同氏の支持率が低下する中で行われた。複数の世論調査は、イランとの戦争をめぐり、トランプ氏への不支持がアメリカ国内でますます高まっている様子を示している。
18日に公表された米紙ニューヨーク・タイムズと米シエナ大学による世論調査は、イランとの戦争に踏み切ったのは誤った判断だったと有権者の64%が考えているという結果だった。
また、この世論調査では、トランプ氏の大統領としての働きぶりを支持すると答えた有権者は37%にとどまった。同調査は、戦争や、トランプ氏による経済や移民問題への対応をめぐる国民の不満が高まる中、与党・共和党が11月の中間選挙で直面する課題を浮き彫りにしている。
アメリカとイスラエルは2月28日、イランへの大規模な空爆を開始した。イランは報復として、イスラエルに対して、また湾岸諸国にあるアメリカの標的に対してドローンやミサイルを発射している。
アメリカが今後さらに攻撃した場合、イランがどのような報復に出るのかを、アラブ湾岸諸国は懸念している。
イランは依然として、多数のドローンやミサイルを保有している様子。このため、近隣諸国や空港、石油化学施設、海水淡水化プラントなどに全面攻撃を展開できると考えられている。これから夏の到来で気温が上昇する中、飲料水を供給する海水淡水化プラントは、各国にとって不可欠な重要施設だ。
トランプ氏は後に記者団に対し、今回の動きについて、「非常に前向きな進展だが、実際に実を結ぶか様子を見ていくことになる」と話した。
「これまでにも、合意に近づいたと思った時期はあったが、うまくいかなかった。だが今回は少し違う」とトランプ氏は述べた。
そして、イランと合意する「可能性が非常に高い」ようだと言い、「彼らを徹底的に爆撃することなく合意できるなら、とてもうれしい」と付け加えた。
行き詰まる交渉
4月にアメリカとイランは、協議促進を目的とした停戦で合意した。以来、散発的な交戦はあるものの、おおむね維持されている。
イランは、米・イスラエルによる攻撃への報復として、重要な海上輸送路のホルムズ海峡を事実上封鎖している。世界の原油と液化天然ガスの約20%は通常、ホルムズ海峡を通過する。
ホルムズ海峡の封鎖により、世界の原油価格は急騰している。
一方でアメリカは、アメリカが要求する合意条件をイラン政府に受け入れさせようと、イランの港湾に出入りする船舶に対する封鎖措置を実施している。
イランの政府系タスニム通信は18日遅く、最高指導者モジタバ・ハメネイ師が、敵側の経験が乏しく、非常にぜい弱な場所で、新しく戦線を開くことになると警告したと伝えた。
同通信は、3月12日のモジタバ師の発言を改めて発信したとみられる。イランの一部の報道機関も、モジタバ師の過去の書面によるメッセージを再掲している。
イランは18日の早い段階で、アメリカ側の最新の提案に回答したと発表。パキスタンの仲介者を通じて米政府とのやり取りが続いているとした。
イラン・メディアは先に、アメリカがイラン側に対し、具体的な譲歩を何一つ行わなかったと報じていた。
先週には、戦闘終結に向けたイランの要求を「全く受け入れられない」とはねつけ、停戦は「大規模な生命維持装置」に頼っている状態だと警告していた。
イラン外務省のイスマイル・バガイ報道官は当時、自分たちの要求は「責任ある」「寛大な」内容だと主張した。
イランの政府系タスニム通信によると、同国の案には、全戦線での即時戦闘終結、イランの港湾に出入りする船舶に対するアメリカの海上封鎖の停止、イランを攻撃しないことの保証が含まれている。全戦線での戦闘終結は、レバノンでイランが支援する武装組織ヒズボラをイスラエルが継続的に攻撃していることもふまえたものだ。
イラン案にはまた、戦争被害に対する賠償の要求や、ホルムズ海峡でのイランの主権の確認も含まれているとされる。
政府系ファルス通信は17日、イラン案に対し、アメリカは五つの条件を提示したと伝えた。それには、イランが稼働させる核施設を1カ所に限定することや、高濃縮ウランの備蓄をアメリカに移転することなどが含まれているという。
イランの核開発計画をめぐっては、トランプ氏が15日、「20年間の凍結」を受け入れる意向を示した。これは、核開発の完全停止を求める従来の姿勢の転換を示す可能性がある。イランの核開発は、両国間で主要な対立点となっている。
アメリカと欧州の同盟国は、イランがウラン濃縮を進めて核兵器を開発しようとしていると主張している。一方でイラン政府は、核兵器の保有を目指している事実はなく、自国の原子力計画は平和目的だと繰り返し主張している。











