【解説】 スターマー氏の対立候補、名前が挙がっているのは 辞任要求高まる中

3人の上半身の写真が横並びに配置されている

画像提供, Getty/ Belinda Jiao/ The Telegraph

画像説明, スターマー英首相の後継候補として取り沙汰されている(左から)ストリーティング氏、レイナー氏、バーナム氏
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イギリスのキア・スターマー首相の先行きがいっそう不安定になっている。7日の地方選挙での大敗を受け、即時か近い将来の辞任を求める声が、内相や、その他数人の政府幹部、80人を超える与党議員らから上がっている。

ただ、スターマー氏に代わって誰が党首および首相になるのかは、与党・労働党の議員らの間で意見が一致していない。

そうしたなか、12日の閣議でスターマー氏は、「執政を続けていく」と表明。党首選に向けた動きは起きていないと述べた。

この状況で、後継者を目指すと名乗りを上げる人は、まだ出ていない。それでも、以下の人たちが有力な対立候補になりうると目されている。

ウェス・ストリーティング氏

青いスーツ姿の男性が赤いフォルダを右手で抱えて首相官邸を出ていく

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ストリーティング氏は、2024年に現在の労働党政権が発足して以来、保健相を務めている。それ以前の3年間は、野党の立場で影の保健相を務めていた。

下院議員には2015年に初当選した。その前には、全国学生連合(NUS)会長やロンドン市議を歴任した。

2023年の回顧録には、ロンドン・イーストエンドの公営アパートで育ったことや、刑務所に収監されていた銀行強盗の祖父と面会したこと、同性愛者のキリスト教徒として成長したことなども記している。

現内閣の中で最もコミュニケーション能力が高いとされる。国民保健サービス(NHS)の待機リストを短くしたことは、自らの実績の一つとしてアピールできるだろう。

リーダーを目指すと、以前から公言している。党内では、特に中道や右派の議員らから大きな支持を得ている。

閣内の盟友としては、ピーター・カイル通商相、リズ・ケンドール科学相がいる。

「右派」候補とみなされれば、労働党には左寄りの人が多いだけに、支持が広がらないかもしれない。

13日午前には、議会で国王が演説するのに先立ち、首相官邸でスターマー氏と会談する予定だ。

アンディ・バーナム氏

黒いえりなしの服を着てメガネをかけた男性が両手を前に上げて口を開いている

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バーナム氏は、労働党議員らの強い支持を集めている。有権者からの人気も、同党の政治家の中では最も高いことが、世論調査で示されている。

グレーター・マンチェスター市長を10年近く務めており、「北の王」の異名をもつ。長期の執政経験は、自身の実績に挙げられるだろう。

首相を目指していることは隠していない。

ただ、彼の首相への道には大きな障害が一つある。下院議員ではないことだ。支持者らは、早急にこれが解決されることを望んでいる。

今年2月にあった下院ゴートン・アンド・デントン選挙区の補欠選挙では、労働党の候補者になるべく申請書を出した。しかし、党の運営機関において、スターマー氏の支持者らに阻まれた。

もし下院に復帰すれば、国政に携わるのは2回目となる。

2001~2017年にリー選挙区選出の議員を務め、保健省や文化省などで政府要職を歴任した。

現在52歳で、党首選にはこれまで2度挑戦した。2010年にはエド・ミリバンド氏に敗れ、2015年にはジェレミー・コービン氏に次点で負けた。

議会での支持の多くは、党内の左派および北西部の議員らから寄せられている。

ルーシー・パウエル副党首とリサ・ナンディ文化相は盟友で、バーナム氏が立候補すれば支持する可能性が高い。

アンジェラ・レイナー氏

マイクを前に口を開いている女性の顔のアップ

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レイナー氏は、昨年まで副首相を務め、英政界の女性で最も大きな影響力をもっていた。

貧困の中で育ち、16歳で何の資格も持たずに学校を中退したことからすると、驚くべき経歴だ。

介護福祉士として働き、労働組合「ユニゾン」に関わった。それが政治家への足がかりとなった。

2015年に、グレーター・マンチェスターのアシュトン・アンダー・ライン選挙区で当選。議会で急速に頭角を現し、コービン党首時代に影の内閣の一員を務めた。

労働党が政権を握ると、住宅相に就任。住宅建設の急速な拡大と、賃借人の権利の抜本的な見直しを任された。

他の主要候補2人と同様、党内議員から強い支持を得ている。グレーター・マンチェスター代表の左派政治家という点で、支持基盤は大部分がバーナム氏と重なっている。

自宅購入をめぐっては歳入税関庁(HMRC)の調査を受け、現在は結果を待っている。これが、党首選への立候補に関して、状況を複雑にする可能性がある。

その他には

ここまでの主要3候補には疑問符や懸念が付きまとっているため、予想外の人物が候補者として浮上する可能性がある。

一部の労働党議員の間では、元党首で現エネルギー相のミリバンド氏の復帰が話題になっている。

ミリバンド氏自身は昨年11月、「(党首は)もうやった。その章は終わった」とBBCの取材で述べ、この話を一蹴した。

シャバナ・マムード内相も、候補になる可能性のある人物として名前が挙がっている。ただ、彼女による移民政策の変更は、労働党議員の間で物議を醸しており、党内での支持集めに苦労することも考えられる。

党の規則では、党首選にはスターマー氏も立候補できる。同氏は11日、もし党首選になれば、まさにそうするつもりだと、記者団に話した。