米軍がイラン再攻撃、イランによるタンカー攻撃に対応と トランプ氏は停戦合意は「おしまいだ」と発言

オマーン・ムサンダムから撮影した写真。岩山に囲まれたホルムズ海峡に数十隻の船舶が写っている。

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米中央軍は7日、イランに対して「一連の強力な攻撃」を開始したと発表した。イランが、ホルムズ海峡を通航していた商船3隻を攻撃したことへの対応だとしている。ドナルド・トランプ米大統領は8日朝、イランとの停戦合意は「おしまいだと思う」と発言した。

米中央軍は7日夜、ソーシャルメディア「X」への投稿で、「国際水路において罪のない人々が乗務する商船を標的にして攻撃する行為に対し、大きな代償を負わせるため」、攻撃を開始したと発表。「イランが示した攻撃行動は不当で、危険で、停戦協定の明白な違反である」と述べた。

これに対してイランのカゼム・ガリババディ外務次官は、アメリカの攻撃は両国が6月17日に署名を交わした「了解覚書」に抵触するものだと述べ、イラン政府は「断固とした措置を取る」と警告した

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議のためトルコ・アンカラを訪れているトランプ大統領は8日、記者団にイランとの停戦について質問されると、「もうおしまいだと思う」と発言した。

トランプ氏は、イランがホルムズ海峡で商船を攻撃したことについて触れ、イランの政権は「邪悪で病んでいる。連中はがんだ。がんについて、どうすべきかみんな知っている。早めに切除しないとならない」と主張。イランの政権は「狂っている」として、「もう彼らとは関わりたくない。ろくでもない連中だ」と述べた。

さらに、「(停戦は)自分に関して言えば、もう終わりだ」、「彼らを相手にするのは時間の無駄だ。彼らはうそつきだ」と述べた。

トランプ氏は、イランの核兵器開発は許さないという従来のアメリカ政府の方針を繰り返し、両国の交渉担当者は「話をすることはできる」が、「時間の無駄だ」と述べた。

「アンカラ」と書かれた紺色の背景の前、星条旗とNATOの旗が並ぶ前に、両氏が座っている。トランプ氏は両手を開いて前に向かって話し、ルッテ氏は膝を組んでその上に両手を置き、隣にいるトランプ氏を見ている

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画像説明, NATOのルッテ事務総長(左)と記者団を前にしたトランプ氏(8日、トルコ・アンカラ)

他方、イランのアッバス・アラグチ外相は、アメリカによる攻撃は覚書に対する「露骨な違反」だと非難した。

外相は声明で、アメリカによる攻撃、イラン産原油販売に対する制裁の再発動、そしてレバノンにおけるイスラエルとヒズボラの継続中の紛争によって、「停戦合意の重要かつ根本的な部分が機能しなくなった」と述べた。

また、イランは自国の「領土的一体性、国家主権、国家安全保障」を守るために「ためらうことはない」と付け加えた。

さらに、米軍基地を受け入れている湾岸諸国に警告し、いかなる攻撃についてもイランは「その発生源と出発地点を標的にする」と述べた。

イランの準国営通信社2社によると、8日朝に新たにイラン南西部の港湾都市ブーシェフルが攻撃された。

メフル通信によると、ブーシェフルおよびその周辺地域で複数の爆発音が聞かれた。

ファルス通信によると、ブーシェフル州の高官は「敵の飛翔(ひしょう)体」がダシュティ郡の軍司令部とチョガダク市近郊の軍司令部の計2カ所を攻撃したと述べた。死傷者は報告されていないという。

イギリスの海上貿易業務調整機関(UKMTO)によると、ホルムズ海峡では6日、正体不明の飛翔体が海峡航行中のタンカー1隻の機関室に命中し、火災が発生した。さらに7日には、タンカー1隻が「正体不明の飛翔体」に、別のタンカー1隻が「無人航空機(UAV)」にそれぞれ攻撃され、「構造に損傷を受けた」という。死傷者は報告されていない。

カタールとサウジも攻撃を非難

6日と7日にかけて海峡でタンカーが攻撃されたことについては、カタールとサウジアラビアも非難し、それぞれ自国のタンカーが海峡内またはその近辺を航行中に攻撃を受けたと述べ、イランを非難した。

カタール外務省のマジェド・アル・アンサリ報道官は、海峡付近を航行中のカタール船「アル・レカイヤット」に対する明らかな標的攻撃について、イランに「全責任がある」と、「X」に投稿した

報道官は、カタールはイランに対し、「地域の安全保障を損なうあらゆる行為を直ちに停止し」、「狭い利益を追求するために世界のエネルギー供給と地域の国々の資源を危険にさらすことを控える」よう要求したとも書いた。

サウジアラビア外務省は声明を「X」に投稿し、自国のタンカー「ワディアン」とカタールのタンカー「アル・レカイヤット」をイランが標的にしたとして、「今回の攻撃は「国際航行の安全と保障、そして世界のエネルギー供給の安全保障に対する攻撃である」と非難した。

これに対して、イラン外務省のイスマイル・バガイ報道官は、カタールの非難は「善隣関係の原則に反する」と反発した。

報道官は通信アプリ「テレグラム」で、イランと調整していない航路を使用したり、船舶の追跡情報を改ざんしたりする商船は、衝突の危険に直面し、海峡における「安全な航行を促進する」というイランの取り組みを妨害することになる、と付け加えた。

米は制裁免除措置を撤回

米軍による攻撃に先立ち米財務省は7日、イランへの石油制裁を一時的に解除していた制裁免除措置を撤回した。

イランが石油および石油製品を販売することを認めるこの措置、6月に両国が交わした覚書の一部だった。

財務省はウェブサイトに措置撤回の通知を掲載。それによると、免除措置の下で認められていた取引については、7月17日までを猶予期間とする。

イラン外務省はこの動きを覚書違反と呼び、アメリカ政府の「不誠実、矛盾、そして信頼性の欠如」を証明するものだと批判。さらに、「イラン政府は、自国の国益と国家安全保障を守るため、必要と考えるあらゆる措置を講じる」と述べた。

アメリカとイランは6月17日の覚書で、停戦期間の延長に合意した。14項目の合意は、イランが将来、決して核兵器を保有しないと明記している。また、イランの「復興と経済開発」のために3000億ドル(約48兆円)の資金を確保するとしている。合意の最初の項目では、アメリカ、イラン、および同盟関係の国々が、「すべての戦線」での軍事作戦の「即時かつ恒久的な」終結を宣言すると記されている。これにはレバノンでの戦闘も含む。

合意の一環として、ホルムズ海峡に隣接するイランとオマーンは、他の湾岸諸国と協議の上、同海峡における「将来の管理と海上サービス」を定める必要がある。

アメリカとイスラエルが2月28日にイラン攻撃を開始したことを受け、イランは、通常は世界の石油・天然ガス供給量の約2割が通航するホルムズ海峡を事実上封鎖した。

イランは「ペルシャ湾海峡庁」を設立するなどして、海峡に対する主権を主張しようとした。同庁は「安全航行許可」を管理するものだと、イランは説明している。

イランのファルス通信は、アメリカとの合意に基づき、最終的にはイランがオマーンと連携して海峡を管理することになり、船舶が水路を通過する際の「サービス料」を徴収する可能性もあると伝えていた。