イラン前最高指導者の葬儀に息子モジタバ師は不在 高官らは参列

イランの前最高指導者、故アリ・ハメネイ師の葬儀に大勢が集まり、遺影や旗を掲げている。黒衣の女性が胸に手をあてて嘆いている。

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画像説明, イランの前最高指導者、故アリ・ハメネイ師の葬儀
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イランの故アリ・ハメネイ前最高指導者の葬儀が4日、テヘランで始まり、5日には政府高官など数千人が参列したが、息子で後任のモジタバ・ハメネイ師は姿を見せなかった。

故ハメネイ師の他の3人の息子、マスード、モスタファ、メイサム各氏は、マスード・ペゼシュキアン大統領やイスラム革命防衛隊のアフマド・ヴァヒディ司令官などの高官と共に参列した。

モジタバ師については、故ハメネイ師が2月末に米・イスラエルの空爆で殺害されて以来、公の場に姿を見せていないことから、同じ空爆で負傷したといううわさが出ている。また、イスラエルが引き続き、モジタバ師を暗殺しようとするのではないかという臆測もある。

故ハメネイ師は1989年から今年2月に死去するまで、イランの最高指導者だった。

故ハメネイ師の大きい写真が掲げられた建物の前に大勢が集まっている

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画像説明, 故ハメネイ師の葬儀に先立ち、前最高指導者に別れを告げる追悼式に大勢が集まった(4日、テヘラン)
数々のイラン国旗を手に大勢が並ぶ上から、張り巡らされた管からミスト上の水がまかれている

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画像説明, 式典の最中、暑さ対策のため水がまかれた

故ハメネイ師の追悼行事は、4日から約1週間にわたりイランとイラク各地で予定されている。

イラン当局は「世紀の葬儀」になるとしており、1200万人から2000万人が式典に参列すると予想している。

故ハメネイ師の遺体は現在、テヘランにある宗教施設のグランド・モサラに安置されている。米・イスラエルによるテヘラン空爆で死亡した親族4人の棺(ひつぎ)も並んで安置されており、同師の1歳の孫娘、ザフラ・モハマディ・ゴルパエガニさんの小さい棺も並んでいる。

ハメネイ師の葬儀の予定を示した地図。イランとイラクの計5都市を示し、それぞれの場所でいつ何があるのか書いてある。イランのテヘランでは3-4日に葬儀が始まる、ゴムでは7日に追悼行事、イラクのナジャフとカルバラでは8日に儀式、イランのマシュハドで9日にイマーム・レザー廟に埋葬。出典はイラン国営メディア

イラン政府は5日を全国的な休日とした。6日には、葬列がテヘラン市内を移動する。

イランとアメリカは6月、戦闘停止の暫定合意に署名している。その後は互いに攻撃を続けて停戦違反を非難しあったものの、6月末にあらためて攻撃停止で合意したと報道されている。

米ニュースサイト「アクシオス」は4日、ドナルド・トランプ米大統領が、イランで追悼行事が続く間、和平交渉を1週間中断したと話したと報じた。

その報道によると、イラン政権の高官の多くが葬儀に出席するため、そこを狙えばアメリカは「一撃」で全員を排除できるとトランプ氏は発言。そのうえで、「だが、それはしない。それをしたら、交渉相手がいなくなってしまうからだ」と付け加えたという。

アクシオスによると、トランプ氏はまた、イラン国民が泣いているのを見て驚いたと述べ、イラン国民は故ハメネイ師を憎んでいると思っていたと述べた。

「もしかしたら、偽の涙かもしれない」とも大統領は話したという。

トランプ氏のこうした発言に対し、葬儀に参列したザフラ・サファエイさん(50)はロイター通信に対し、「私たちは偽の涙を流すために47年前、革命を起こしたわけではない。偽の涙を流すために、あれだけ多くの殉教者を犠牲にしたのではない」と話した。

イラン国旗で飾られた棺の前、黒衣の男性たちが横に並んでいる

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画像説明, イランのペゼシュキアン大統領をはじめとする政府幹部が、故ハメネイ師の葬儀に参列したが、息子で後任のモジタバ師は欠席した

AP通信と英紙ガーディアンは、5日に参列した人の多くがトランプ大統領の死を求めていたと報じた。詩人のモハマド・ラスーリ氏は追悼の祈りの前に詩を朗読した際、「トランプを殺すことは、我々の責任だ」と述べた。

会場からは、「アメリカに死を」、「イスラエルに死を」という叫びも続いた。

テヘラン市内では、「トランプを殺せ」、「ビビを殺せ」(ビビは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の別称)、「我々は仕返しをする」などのスローガンが書かれた横断幕を掲げる人たちもいた。

青空を背に、黒い幕の張られたついたてに、子どもたちの写真と、故ハメネイ師の写真が並べてある。

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画像説明, 2月28日にイラン南部で起きた小学校攻撃の被害者と、ハメネイ師の写真を並べた仮設の慰霊碑もあった(5日、テヘラン)

テヘランでの追悼行事だけでも、イラン全土から1000万人以上の弔問客が集まると予想されている。厳重な警備体制が敷かれるとともに、国営メディアは大勢が集まることによる圧死が懸念されると警告している。

イランの国営通信社IRNAは4日、グランド・モサラとその周辺にある医療センターに4000人以上が訪れたと報じたが、死者は報告されていない。

葬儀の映像には、参列者にミスト状の水がまかれたり、高齢の女性を救急隊員が担架で運んだりする様子が映っている。

ハメネイ師は在任中、西側諸国との対立政策を追求し、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマス、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、イエメンの親イラン組織フーシ派など、中東各地の反米・反イスラエル武装勢力を支援してきた。

ハメネイ師の遺体は8日にイラクのナジャフへ運ばれる。シーア派の初代イマーム(指導者)、イマーム・アリの礼拝堂での葬列に続き、聖廟(せいびょう)での行列の後、シーア派の聖地にあたるイラク中部カルバラでも儀式が続く予定。遺体はその後、イランに戻る。

イラン当局は、イラクでのさまざまな行事はイラク国内の団体からの要請によるものだと述べている。これに対して一部のアナリストは、故ハメネイ師が各地のシーア派全体に影響力をもっていたことを強調し、イランが地域全体と広く宗教的・政治的に結びついていることを示すための動きだと見ている。

ハメネイ師は9日、生まれ故郷マシュハドのイマーム・レザー廟に埋葬される。シーア派の第8代イマームが埋葬された場所で、イランで最も重要な巡礼地。毎年何百万人もの参拝者が訪れる。

葬儀の式典は全国各地で40日間続き、ハメネイ師の埋葬1周年まで追悼行事が予定されている。