ゼレンスキー氏、NATOに防空システムの提供求める ロシアの大規模攻撃受け

水色の背景の前、NATOの標章がついた演台に向かって話す、黒衣のゼレンスキー氏

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画像説明, ロシアによる大規模な空襲が続くなか、ウクライナのゼレンスキー大統領は友好諸国に支援を要請した(7日、アンカラ)
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サラ・レインズフォード東欧特派員(キーウ)

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7日午前、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開かれているトルコ・アンカラで演説し、激化するロシアの攻撃からウクライナを守るため、自分たちが喫緊に必要としている防空システムを提供するよう、友好諸国に強く求めた。

「私たちは他のことはすべて自力でできるが、防空に関してはパートナーの決意が必要だ」と、ゼレンスキー氏は述べた。

ウクライナではこのところ、ロシアのミサイルが1週間足らずの間に2度も首都に降り注ぎ、複数の集合住宅が被弾し、50人以上の民間人が死亡した。その状況で、ゼレンスキー大統領の支援要請は切実さを増している。

ゼレンスキー氏にとってアンカラでのNATO首脳会議は、ドナルド・トランプ米大統領との極めて重要な会談の機会になると予想される。ゼレンスキー氏はトランプ氏に、ロシアの「残酷」な攻撃は力強さではなく弱さの表れであって、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に「尊厳ある」平和に向けた協議を促すべきだと、持論を力説するとみられる。

ウクライナが長距離ドローンを使ったロシア攻撃を強化し、ロシアの石油精製所や軍事目標を攻撃し、深刻な燃料不足や停電を引き起こしているなかで、ロシアはウクライナ攻撃を激化させている。

動画説明, ロシアの攻撃、キーウの集合住宅を破壊 BBCが現地報告

モスクワのセルゲイ・ソビャニン市長は7日朝、ウクライナがモスクワに向けて夜間に発射したドローン430機ののうち「ほとんど」を防空システムが迎撃したと述べた。被害の規模は明らかになっていない。

ロシアのソーシャルメディアアカウントには、ガソリンを買うために何時間も列に並び、わずかな量を巡って争う人々の動画があふれている。

NATOサミットに先立ち、NATOのマルク・ルッテ事務総長は加盟国に対し、「それぞれの役割を果たし」、ウクライナが「主権を守る」ために必要なものを確実に得られるよう、協力するよう促した。

ルッテ氏は、ウクライナが「戦場での力関係を変えつつある」と強調。ウクライナ東部ではロシア地上部隊を足止めしていると指摘した。

ウクライナの最近のドローン攻撃も、戦場での力関係をウクライナに有利に変えていると言える。

今では「チャンスの窓」、つまり「絶好の機会」という表現がキーウではよく使われている。

とはいえ、空からの攻撃が激化するにつれ、ロシアの弾道ミサイルはウクライナにとって深刻な問題と化している。

ウクライナ空軍は、ロシアが発射した兵器の数と、迎撃した兵器の数を毎日集計して公表している。

6日には、ほぼ全てのドローンを迎撃できたが、ミサイルの迎撃失敗率は見るからに高かった。

6日の攻撃では、ウクライナは弾道ミサイルを1発も阻止できなかった。

それは決して簡単なことではない。ミサイルは時速数千キロの速さで飛んでくる。そしてウクライナには、それに対抗できるだけのアメリカ製パトリオット防空ミサイルが圧倒的に不足しているのだ。

「今の世の中において、弾道ミサイルのテロから人を守るため、実際に必要なレベルまで生産規模が拡大されていないなど、全くもってばかげている」と、ゼレンスキー大統領は6日のビデオ演説で不満をあらわにした。

ゼレンスキー氏は、ウクライナで民間人が殺害されている現状において、パトリオットミサイルを保管しておいても誰の役にも立たないと主張。ヨーロッパの友好国に対し、保有するパトリオットミサイルを提供するよう求めている。

「ロシアは弾道兵器に賭けている。平和を望む者は、弾道攻撃に対する防衛に賭けなくてはならない」と、ゼレンスキー大統領は6日に主張し、アンカラでの会談開催の必要性を訴えた。

しかし、パトリオットミサイルシステムは世界的に不足している。ロシアが弾道ミサイル攻撃をさらにエスカレートさせた場合、どれだけの数があれば十分なのかは不明だ。

だからこそ、ゼレンスキー大統領はNATOの支援を受けてウクライナ独自の同等兵器を開発することについても言及している。

しかし、ロシアの最近の攻撃激化は、ウクライナによるロシア深部への攻撃がクレムリン(ロシア大統領府)を刺激していることをうかがわせる。

ロシアはここ数年、ウクライナの発電所を含む民間インフラを真冬に攻撃してきた。しかし今では、ウクライナがドローンで石油精製所を攻撃したのを「テロ行為」だと非難している。

ゼレンスキー大統領はこれを「影響力工作」と呼び、NATO加盟国と詳細を共有する方針でいる。

ゼレンスキー氏はNATO諸国に働きかけ、それを通じてプーチン大統領に圧力をかけ、ウクライナが受け入れられる条件での和平交渉を実現しようとしている。ただし、ロシアは依然としてウクライナ東部ドンバス地方全域の割譲を要求している。ウクライナにとっては、それは受け入れられない内容だ。

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ウクライナの「影響力工作」が狙うのは目立つ施設だ。

6月、プーチン大統領が主催する経済フォーラムを前に、サンクトペテルブルクの石油ターミナルがドローン攻撃を受けた。その後、モスクワ市内の製油所も攻撃され、爆発の映像が拡散した。

ウクライナ国境から約2500キロメートル離れたシベリアのオムスクにある石油精製所が攻撃されたことも確認されている。この攻撃では、ドローンが何時間も探知されずに飛行したはずだ。これは、ロシアの防空体制がいかに脆弱(ぜいじゃく)であるかを示している。

「影響力工作」には、プーチン氏が2014年に併合し、彼自身にとって非常に重要な意味を持つウクライナ南部クリミア半島も含まれている。

ウクライナのドローンは現在、ほぼ毎日、軍事物流施設、石油精製所、発電所を攻撃しており、停電、燃料や食料の不足を引き起こし、公式の非常事態宣言を出させている。

地元住民はBBCに対し、状況は「壊滅的」であり、ソ連崩壊後の激動の1990年代を思い出すと語った。

プーチン氏の大きな主張の一つは、彼がその混乱から国を「救い」、ロシアを「窮地から立ち上がらせた」というものだ。

しかし彼の全面戦争は今や、ドローン攻撃や広範囲にわたる燃料配給制という形で、モスクワにさえ危険をもたらしている。

ウクライナのゼレンスキー大統領はNATOに対し、そしてトランプ米大統領に対し、ウクライナはこの戦争の流れを変え、ウクライナの圧力工作は、支援があれば、ロシアを和平に向けた適切な交渉に引き出すことができると説得を試みるだろう。

トランプ氏は最近、ウクライナに感銘を受けているように見える。だが今週、プーチン氏と90分間電話で会談したことで、ロシアの指導者に先に自国の戦争体験を語る機会を与えた。

ウクライナは何よりも、厳しい冬が到来する前に、「武力か外交か」を問わず、この戦争を速やかに終結させたいと考えている。

ただ、ゼレンスキー氏は、それを実現するには、ウクライナは都市と市民を守るための迎撃ミサイルをさらに手にする必要があると主張するだろう。