ウクライナ出身富豪を狙いモナコで爆発事件、容疑者の遺体がウクライナで見つかる

画像提供, Interpol
モナコで先月末、ウクライナ出身の富豪とその家族を狙った爆発事件があり、国際刑事警察機構(インターポール)に国際指名手配された女性容疑者がその後、ウクライナで遺体で見つかった。 ウクライナ保安庁(SBU)が7日に発表した。
指名手配されていたのは、ウクライナ人のアナスタシア・ベレゾフスカ容疑者(39)。先月29日にモナコで、集合住宅のエントランスに爆発物を仕掛け、ウクライナ出身の富豪とその家族にけがを負わせたとされる。当局は容疑者が国外へ逃亡したとみて、国境を越えた捜索を展開していた。
狙われたウクライナ出身の富豪は、ロシアが2014年に違法に併合したウクライナ南部クリミア半島で大きな利益を得ているとして、2023年からウクライナ政府の制裁対象となっている。
ウクライナの保安庁と検事総長によると、ベレゾフスカ容疑者の遺体は、キーウ州の森林地帯に埋められた状態で見つかった。頭部には銃創があったという。
この事件ではこれまでに、ウクライナの国防省情報総局の現役職員と、法執行機関の元職員の男性2人が、殺人罪で起訴されている。
ウクライナ保安庁は法執行機関筋の話として、ベレゾフスカ容疑者がモナコでの爆発事件の2日後の7月1日にウクライナに入国したと、声明で説明した。
入国の2日後、キーウ州の幹線道路で車に乗っていたベレゾフスカ容疑者と、起訴されたウクライナ情報当局者ら2人が接触していたと、ウクライナ検事総長事務所はBBCに明らかにした。
「(ベレゾフスカ容疑者は)2人と一定距離を移動した後、殺害された」と検事総長事務所は説明した。
ウクライナ保安庁によると、ベレゾフスカ容疑者はウクライナ入国後、家族や、情報当局者ら2人と連絡を取っていたという。
2人は、ベレゾフスカ容疑者の「仮想通貨口座および銀行口座」に繰り返し送金していたとの情報に基づき、モナコの爆発事件の共犯者である可能性があるとして捜査対象になっていた。
情報総局の職員はベレゾフスカ容疑者の殺害を自供し、「もう1人の容疑者」と共に実行したと述べていると、ウクライナ保安庁は説明した。
2人はいずれも、「複数人による事前共謀による故意の殺人」の罪で起訴された。
元法執行機関職員のキーウ州内の自宅を家宅捜索したところ、「拷問部屋のような」地下室が見つかったとも、ウクライナ保安庁は明らかにした。
検事総長は、この部屋がベレゾフスカ容疑者の殺害と関連があることを示す「証拠はなく」、「容疑者の1人の人物像を反映しているに過ぎない」としている。
検事総長事務所が公開した地下室の映像には、小さな血痕のようなものが点在するマットが映っているほか、おの2本、つるはし、床に広げられた防水シート、大きな袋も確認できる。
モナコのモーガン・レイモンド副検事は、ベレゾフスカ容疑者について、爆発事件の被害者の住居を数日かけて下見し、先月29日の犯行時には「男性に変装していた」と説明した。
爆発は先月29日午後9時過ぎに起きた。3人が集合住宅に入った直後、小包が爆発し、3人とも負傷した。うち2人は重傷を負った。
ベレゾフスカ容疑者はレンタカーでイタリアへ逃走し、その後ドイツへ向かったとみられている。ドイツ警察によると、7月2日に中部ヘッセン州で、「現在逃走中」の39歳のウクライナ人女性が借りていたアパートの一室を特殊部隊が家宅捜索した。
国際刑事警察機構は3日、ベレゾフスカ容疑者について、殺人未遂、犯罪の意図を伴う公道への爆発物の設置、犯罪の共謀の各容疑で指名手配されていることを世界中の警察に警告する、レッド・ノーティス(容疑者の引き渡しを要請する通知)を出した。
ウクライナ保安庁は、同国当局が入手可能なあらゆる情報をモナコ当局と共有し、ウクライナ検事総長が「緊密に協力している」と説明した。
また、法執行当局がモナコでの爆発事件に関わった「ほかの容疑者」の特定に取り組んでいるとも付け加えた。

画像提供, Interpol
モナコ当局は、爆発事件の被害者の身元を明らかにしていないが、地元メディアは、ワディム・イェルモライエフ氏とそのパートナー、13歳の息子が標的になったと報じている。
不動産開発業者のイェルモライエフ氏は2020年、米経済誌フォーブスの長者番付で、ウクライナで39番目の富豪として掲載された。資産は2億3000万ドル(約370億円)と報じられた。
同氏は、ロシアが2014年に違法に併合したウクライナ南部クリミア半島でのワイン・酒類事業で大きな利益を得ているとして、2023年からウクライナ政府の制裁対象となっている。
キプロス国籍を持つイェルモライエフ氏は、2019年にウクライナ国籍を放棄し、モナコで暮らしている。





