ハンタウイルス集団感染、最後の乗客が下船 新たに3人が検査で陽性に

防護服を着けマスクをした人たちが歩いている

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画像説明, クルーズ船の乗客らが青色の医療用防護服を身に着けて下船した
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ハンタウイルスの集団感染が発生したクルーズ船から11日、最後の乗客が下船した。当局は同日、新たに3人が検査で陽性と確認されたと発表した。

クルーズ船「ホンディウス」はここ数日、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島に停泊し、乗客90人以上が下船して帰国の途などについた。乗客らは下船の際、青いガウンやキャップ、医療用マスクを着用していた。

11日には、乗客の最後の6人(オーストラリア人4人、イギリス人1人、ニュージーランド人1人)と乗員の一部が下船した。ホンディウスはその後、同島を出港し、オランダへと向かった。

ホンディウスをめぐっては、乗船していた3人が死亡し、うち2人についてハンタウイルスへの感染が確認されている。

当局は11日、乗客の中ですでに帰国しているアメリカ人1人とフランス人1人が新たに、検査で陽性と判定されたと発表した。

スペイン保健省も同日、下船してマドリードで隔離されているスペイン人1人が、検査で暫定的に陽性反応を示したと明らかにした。

世界保健機関(WHO)によると、ホンディウスに関係したハンタウイルス感染者はこれまで7人が確認されており、さらに2人が感染を疑われているという。

一方、アメリカの保健当局は11日、前日の帰国便に乗っていた別のアメリカ人1人にも軽い症状が見られると発表した。帰国の機内では「念には念を入れ、隔離設備に」入ってもらっていたという。

フランスのステファニー・リスト保健相は11日、女性1人がパリで隔離されており、容体が悪化していると明らかにした。また、接触者22人が特定されたとした。

感染が確認された人には、イギリス人が2人いる。それぞれ現在、オランダと南アフリカで治療を受けている。

フィリピン大使館によると、ホンディウスの乗員のフィリピン人17人が12日朝、オランダに到着した。乗員4人は10日夜に先に到着していた。

乗員らは健康診断を受け、現地の施設で隔離されるという。フィリピンに帰国する同国人の乗員は計38人だと、大使館は説明した。

ハンタウイルスは通常、ネズミなど「げっ歯類」が媒介する。ホンディウスの乗客の一部が南米で感染したとWHOがみている同ウイルスの「アンデス型」では、人から人に感染する可能性もある。

症状には、発熱、強い倦怠(けんたい)感、筋肉痛、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、息切れなどがある。

当局は、大規模な感染急拡大のリスクは非常に低いとしている。

動画説明, ハンタウイルス集団感染が発生したクルーズ船から、最後の乗客が下船した

ホンディウスの運航会社オーシャンワイド・エクスペディションズによると、11日夜の時点で、船内には乗員25人と医療スタッフ2人の計27人が残っている。

出身国別の内訳は、フィリピン人17人、オランダ人4人(うち2人は医療スタッフ)、ウクライナ人4人、ロシア人1人、ポーランド人1人。

ウクライナ外務省は、船内に残るウクライナ人がホンディウスのオランダへの移動を手伝った後、到着後には隔離すると説明した。4人は発症していないという。

一方、下船した乗客らは、移動先で当局と連絡を取っている。

カナダ人4人は、テネリフェ島からカナダのケベック州にチャーター便で移動し、10日にブリティッシュコロンビア州ヴィクトリアに到着した。当局によると、4人は自主隔離し、少なくとも3週間は経過観察を受けるという。

アメリカの保健福祉省は、10日の帰国便に乗っていたアメリカ人17人全員が、ネブラスカ州の医療施設で「臨床評価」を受けると発表した。同国在住のイギリス人1人もアメリカに一緒に戻ったという。

アメリカにはこのほか、乗船していた7人がすでに帰国しており、それぞれの居住州で経過観察を受けている。

アメリカは、WHOのハンタウイルス感染拡大に関するガイドラインに従わない方針を決定している。これについて、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、「リスクを伴う可能性がある」と、アメリカ人の感染が確認される前の時点で警告を発した。

WHOは、ホンディウスから下船した人々に42日間の隔離を推奨している。

一方、米疾病対策センター(CDC)のジェイ・バタチャリヤ所長代理は、人々の間にパニックを引き起こしたくないと説明。ハンタウイルスは人から人への感染がまれなため、新型コロナウイルスのように扱うべきではないと主張した。

乗船していたイギリス人20人は10日、テネリフェ島から英マンチェスターへ空路で移送された。到着後、72時間の隔離のため、マージーサイドのアロー・パーク病院に搬送された。症状を訴えている人はいないという。

スペイン人14人は、マドリードへ空路で移送され、軍病院で強制隔離されている。11日には帰国便がさらに2便予定されている。

このほか、オランダ人8人を含む乗客・乗員計26人を乗せた別の航空便が10日にオランダに到着した。

運航会社オーシャンワイド・エクスペディションズは11日、ヤン・ドブロゴフスキ船長のビデオメッセージを公表した。

船長は、乗員一同が「もうこの世にはいない方々」に思いを寄せているとし、「ここ数週間は私たち全員にとって極めて困難な時期だった」と付け加えた。同時に、船内で示された忍耐、規律、親切をたたえた。

こうしたなか、スペインの保健相は、乗客の帰国に関わっていた警官1人が心停止により死亡したと発表した。

南大西洋を横断するクルーズ船ホンディウスの航路と出来事のタイムラインを示した地図。船は4月1日にアルゼンチン・ウシュアイアを出港。4月11日に最初の乗客が航行中に死亡した。その後、航路は北東方向にアフリカへ続く。4月24日には、死亡した乗客の妻がセントヘレナ島から南アフリカへ空路で移送された。南アフリカ付近の表示では、4月26日に女性がヨハネスブルクで死亡、4月27日に発症した2人目の乗客が病院へ搬送されたことが示されている。5月2日には、別の乗客が船内で死亡。5月3日に船はカーボヴェルデに到着した。最後の注記には、船が5月10日にテネリフェ島に到着したと記されている。航路は矢印付きの赤い線で示され、主要地点には黒い点が記されている。

ホンディウスでは4月11日、オランダ人の高齢男性が最初に死亡した。この男性は、今回の集団感染における最初の感染者だったと考えられており、症状が出ていた。ただ、検査を受けることなく死亡した。

男性の妻は4月24日、英領セントヘレナ島で下船し、航空機で南アフリカに向かった。妻はその2日後、ヨハネスブルクの診療所で死亡した。

5月2日には、ホンディウスの船内でドイツ人女性が死亡した。

死亡した女性は2人ともハンタウイルスへの感染が確認されている。

ホンディウスは4月1日にアルゼンチン・ウシュアイアを出港。23カ国からの乗客・乗員計147人を乗せていた。