スターマー英首相、国の課題に「より大胆な対策」講じる考え 指導力への批判強まる中

ダークスーツ姿のスターマー英首相が、小さく口を開き、前方を見ている。背後には黄色と赤のプラカードがぼやけて見える

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ポール・セッドン政治記者

イギリスで行われた地方選挙で、イングランドの地方議会で計1400以上の議席を失うなど与党・労働党が大敗し、一部の労働党議員などからキア・スターマー首相の辞任を求める声が上がっている。こうした中スターマー首相は、国が直面する「大きな課題」に対処するため、より大胆な対策を講じていくと約束する見通しだと、首相官邸が10日に公表した演説の要旨で明らかになった。

週末にかけて、スターマー氏の辞任を求める労働党議員は増えていった。今後、党首選の対立候補になり得るアンジェラ・レイナー前副首相は、生活水準の低下に苦しむ有権者に訴求するために、労働党はさらに取り組む必要があると述べた。

また、同党のキャサリン・ウェスト議員は先に、スターマー氏の演説次第では、党首選の実施を発議する可能性があるとしていた。

ウェスト議員は、スターマー氏の11日の演説を聞いて、党の立て直しのための計画に「不満」を感じた場合は、支持集めに乗り出すと警告している。

ウェスト氏は、自分が首相の座を狙っているわけではないと明言している。しかし、こうした動きは、レイナー氏やウェス・ストリーティング保健相らが候補者として名乗りを上げる道を開く可能性がある。

また、グレーター・マンチェスターのアンディー・バーナム市長も、党首候補になり得るとみられている。ただ、立候補するには議会議員になる必要があるため、仮に党首選が早期に実施されるとなれば、バーナム氏はその機会を逃すかもしれない。

地方選挙での大敗を受け、スターマー政権の立場はかつてないほど危うくなっている。そうした中で11日に行われる演説は、首相就任以来、最も重要な演説となる可能性がある。

演説の柱となるのは、欧州連合(EU)との緊密な関係強化を模索することでイギリスを「欧州の中心に」据えようという野心だ。スターマー氏は、この動きが政権を「定義」し、イギリスの経済や貿易、防衛を強化するだろうとしている。

「より大きな対応」

また、11日の演説でスターマー氏は、13日に予定されている「国王の演説」(君主が政府の施政方針を議会で読み上げるもの)について、「希望と緊急性、そして我々が誰の側に立っているのかを明確に示すものになる」と語るとみられる。

首相官邸が公表した演説の要旨によると、スターマー氏は「我々は大きな問題に正面から向き合い、大きな議論をしていく」と述べる見通し。

さらに、「この国が直面する課題に対処するには、漸進的な変化では不十分だ」とし、「成長、防衛、欧州、エネルギーといった分野で、2024年に想定していた以上の大きな対応が必要だ。なぜなら今は平時ではないからだ」との内容が続く。

レイナー前副首相は10日、党首選への立候補は表明しなかったものの、労働党は「生活水準の低下」に直面する有権者との関係を修復する「最後の機会」を迎えていると警告した。

長文の声明でレイナー氏は、「家計の負担軽減に向けた即時の措置」や、苦境にある繁華街への支援、最低賃金の引き上げ、そして「あらゆる分野での」公共・地域所有権の拡大を求めた。

また、今年2月の下院補選でバーナム氏の出馬を阻止した党の判断は誤りだったと指摘。党は「最良の人材を議会に」送り込む必要があるとし、バーナム氏の議会復帰を支持すると述べた。

地方選挙での敗北

労働党は今回、イングランドでナイジェル・ファラージ氏率いる野党・リフォームUKの躍進により、1500近い議席を失った。ロンドンなどの都市部では、野党・緑の党にも有権者の支持を奪われた。

1世紀以上もの間、政治的優位を保ってきたウェールズ議会(定数129)では、わずか17議席という過去最悪の結果で終わった。

今回の地方選挙は、2024年に労働党が圧勝した総選挙最大規模の選挙だった。スターマー氏にとっては、労働党の支持率が低迷する中での重要な試金石と見なされていた。

地方選挙での結果を受け、30人以上の労働党議員が、スターマー首相の辞任あるいは辞任の時期を提示するよう、公に求めている。

ただし党の規約では、党首選を実施するには立候補者が現職議員の5分の1(81人)の推薦を得ることが定められており、これが障壁となっている。

バーナム氏の支持者は、同氏が議会に復帰できるまで党首選の実施時期を遅らせたい考えだ。しかし現時点で、バーナム氏のために自分の議席を譲る用意があると表明する議員はいない。

レイナー氏は昨年9月、同年5月に購入したイングランド南部ホーヴにある80万ポンド(約1億6000万円)の住宅をめぐり、税金を過小納付していたことが明らかになり、副首相を辞任した。

同氏は現在も、住宅の購入に関する英歳入税関庁(HMRC)の調査結果を待っていると広く報じられている。党首選が早期に実施される場合、この件が問題になる可能性がある。