W杯に民間投資募るFIFAの計画、UEFAと英首相が批判 トランプ氏関係者の影も

サッカーのピッチ上で、スーツを着た2人が両手でトロフィーを運んでいる

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画像説明, サッカー男子ワールドカップ(W杯)北中米大会でトロフィーを持つFIFAのインファンティーノ会長(左)とアメリカのトランプ大統領
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サイモン・ストーン主任フットボール・ニュース記者

国際サッカー連盟(FIFA)は28日、ワールドカップ(W杯)を含む同連盟の主催大会に民間投資を募る案を発表した。これに対し、欧州サッカー連盟(UEFA)とイギリスのアンディ・バーナム首相がそれぞれ批判を表明した。

サッカーの国際統括団体であるFIFAは、「サッカー育成資金」を100億ドル(約1兆6300億円)以上に拡大し、新たな事業について第三者からの投資を募る意向。

この案は英紙フィナンシャル・タイムズとタイムズが最初に報じた。タイムズはさらに、この計画によってFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が数千万ポンドもの収入を得る可能性があると伝えた。

FIFAは提案内容を概説した長文の声明の中で、商業およびイベント運営を「統合」するために、新たな子会社であるFIFAフォワード・エンタープライズ(FFE)への「少数株主による非支配的な投資」を第三者に呼びかけると述べている。

この計画は、FIFA加盟211協会の投票による承認が必要となる。承認が得られた場合、米ベンチャーキャピタル「スライヴ・エターナル」がFFEの投資家らを率いる見込みだとFIFAは述べている。スライヴ・エターナルは、ドナルド・トランプ米大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏の弟、ジョシュア・クシュナー氏によって設立された。

FIFA関係者はBBCスポーツに対し、FFEの最高経営責任者をめぐって、インファンティーノ氏や他の人の就任が話し合われたことは一切ないと語った。

FIFAは声明の中で、インファンティーノ氏と組織全体には、このプロジェクトの進展を管理する「義務がある」と述べた。しかし、FIFAはそれが具体的に何を意味するのかや、インファンティーノ氏がどのような形で関与するのかは明らかにしていない。

FIFAは提案の一環として、加盟協会すべてが開発資金として最大2000万ドル(約32億7000万円)の「一時的な資金」を利用できるようになるとも述べている。

インファンティーノ氏は、すべての協会がサッカーが生み出す富の恩恵を受けるべきだと述べた。

「この競技の一部は、その人気を驚くべき商業的価値へと転換させてきた。我々はその成功を称賛し、今後も継続してほしいと願っている。それはこの競技全体を向上させるからだ」

「我々の仕事は、サッカー界全体が共に成長していくようにすることだ。FIFAは、世界のあらゆる地域で持続可能で包括的な発展を支援するために存在している」

「サッカーは投資家のものではない」と英首相

これに対し、UEFAは声明で、こうした提案は「一線を越えている」と批判した。

バーナム英首相も、この案を実行に移すことはFIFAが「魂を売った」ことを意味すると述べた。

バーナム氏はXに、「はっきり言っておこう。サッカーは投資家のものではない。毎週、雨の日も晴れの日も、スタンドを埋め尽くし、タッチラインに立つ人々のものだ」と投稿した。

「W杯は商品ではない。世界最大のスポーツ大会であり、決して誰かの所有物として売られるものではない。どんなに巧みに見せかけようとも、その一部でも売ってしまったら、もう売り渡したことになる」

「サッカーはファンのものだ。これまでもそうだったし、これからもそうだろう」

英イングランド・サッカー協会(FA)は、FIFAの計画が発表された時点ではその内容を知らなかったと述べている。

UEFAは「誰もサッカーの所有者ではない」

FIFAは、商業専門の子会社を設立する計画は、他のスポーツの統括団体が採用しているものと同様だと主張している。

英イングランドのプレミアシップ・ラグビーは2018年、英投資CVCキャピタル・パートナーズとの提携を発表した。

しかし、UEFAは28日の発表を行き過ぎだと見ている。FFEの収益を増やすためにはFIFA主催大会の規模と頻度をさらに拡大する可能性があり、それがUEFA自身の収益性の高い大会を脅かす可能性があると指摘している。

「これはサッカーの統括機関が決して越えてはならない一線を越える行為だ」とUEFAは述べた。

「UEFAはこれを非常に深刻に受け止めている。各国のサッカー協会も同様であるべきだ。サッカーの未来を憂慮するすべての関係者も同様であるべきだ」

「サッカーの魂と統治は、売買の対象となる資産ではない。ましてや、誰が金銭的に利益を得るのかが全く不透明な状況ではなおさらだ。我々の誰もサッカーの所有者ではない。FIFAにサッカーを売り払う権利はない」

FIFAは、FFEの支配権を維持し、「サッカーの統治、大会、国際試合日程、およびすべての規制とスポーツに関する決定に対する独占的な権限」を保持すると述べている。

サッカーの財政専門家であるキーラン・マグワイア氏はBBCスポーツに対し、今回の提案は「FIFAがさらに多くの資金を生み出す機会」であり、「サッカー界には、この利益にあやかりたいと願う非常に多くの関係者がいる」と語った。

マグワイア氏はまた、FFEが設立されれば、64チーム制のW杯を2年ごとに開催するよう求める圧力がかかるだろうと付け加えた。これは、FFEは「株主を満足させるためには利益を上げなければならない」からだという。

この問題は、今秋に開催される次回のFIFA理事会、そして12月に開催されるFIFAインターコンチネンタルカップの前後で議論される可能性が高い。

その後は、来年3月にモロッコで開催されるFIFA総会で、全211協会による投票にかけられる可能性がある。

<分析> 欧州スーパーリーグ構想に匹敵するほどの衝撃

プライベートエクイティー投資家であり、トランプ大統領と密接な関係にある人物がこの件の中心にいる可能性に多くの人が不安を感じているであろうことはさておき、この競技の主導権をめぐって争いが繰り広げられている。

FIFAが掲げる、世界規模でのサッカーの発展という目標には、サッカー界に近い人々ほど、不安を覚えている。

イングランドのサッカー界の幹部の一人はBBCスポーツに対し、今日の発表は2021年の「欧州スーパーリーグ」構想以降で最大のニュースで、同時に同じくらい多くの懸念を引き起こしたと非公式に語った。

問題は、FIFA主催の大会を通じてより多くの資金を生み出そうとする動きがあれば、それは大会参加チーム数の拡大と、W杯およびクラブW杯の開催頻度の増加を意味するということだ。

それらの大会が、規模の拡大によって、最終的には冬の時期に開催されることになるかもしれないと考える人もいる。

そうなれば、国内リーグの日程にさらなる負担がかかることになるだろう。国内リーグの日程は、欧州リーグの拡大もあって既に過密状態にある。

そして基本的な現実として、2000万ドルはイングランドのサッカー界ではそれほど大きな金額ではないかもしれないが、世界の多くの国にとっては莫大な金額であり、その点でこの提案は支持を得るだろう。

しかし、協会、リーグ、クラブ、選手といった各関係者がこの計画をどのように受け止めるかは、まだわからない。