【解説】 アメリカの外交努力、ウクライナ和平に希望を与えず=BBCロシア編集長

画像提供, Getty Images
スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長(モスクワ)
ノルウェーの首都オスロと、ロシア・サンクトペテルブルクで計2日、外交交渉が行われた。ウクライナでの戦争は、いくらか終結に近づいたのだろうか?
20日にオスロであったウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と、アメリカのドナルド・トランプ大統領の特使スティーヴ・ウィトコフ氏、そして欧州代表らによる会談について、ノルウェーの首相は「良好で建設的」だったと評した。
この会談では、首脳レベルの3者会談の構想が持ち上がった。直後のウィトコフ氏のロシア訪問が、同国のウラジーミル・プーチン大統領、ゼレンスキー氏、トランプ氏による会談の実現と、戦闘終結の合意への道を開くことが期待された。
だがプーチン氏は、ゼレンスキー氏と同席することについて、ほとんど意欲を示していない。会場がモスクワの場合を除いては。
クレムリン(ロシア大統領府)は3者協議に関して、来月アブダビで再開することにやぶさかではないが、開かれたとしても技術的なレベルにとどまるとしている。
ウィトコフ特使もソーシャルメディア「X」への投稿で、「まだやるべき重要な仕事がある」と認めている。ただ同時に、「トランプ大統領はこの戦争を終わらせることに、相変わらず本気だ」とも書いた。
私にとって最も印象的だった発言は、プーチン氏の外交政策担当の補佐官ユーリ・ウシャコフ氏によるものだった。彼は21日のサンクトペテルブルクでの会談に同席していた。
ウシャコフ氏によると、ウィトコフ氏はプーチン氏に、オスロでの協議と、「欧州諸国とウクライナからの新たなアプローチ」(とウィトコフ氏がみていること)について、説明したという。
ウシャコフ氏は明らかに、その内容に心を動かされてはいなかった。
「ウクライナ危機の解決という点では、役に立つものはほとんどなかった」とウシャコフ氏は言った。
その後、ロシア国営テレビが、和平の見通しについて彼に質問した。
「どれくらい近づいているかは分からない」とウシャコフ氏は答えた。「だが、事態はその方向に向かっている」。
全てが、かなりあいまいだ。
プーチン氏は現時点では、戦争を終わらせることへのプレッシャーは感じていないようだ。
ウクライナの防空システムが深刻な危機にひんしていることを、彼は承知している。
冬が近づいていることも分かっており、寒い気候を、ウクライナを屈服させる好機と捉えている可能性もある。
そして、ホワイトハウスにいるアメリカの大統領が、ロシアとの関係をもっと大きく、良く、利益が出るものにしたいと、明らかに望んでいることも分かっている。

画像提供, Getty Images
最近になって、トランプ氏はロシアに対する制裁の一部を停止し、ロシア製ディーゼル燃料の購入で合意した。同時に、ゼレンスキー氏への痛烈な批判も口にしている。
これはロシアにとって好都合だ。プーチン氏にかかる圧力が軽くなるからだ。
ロシアの国会議員でテレビ司会者のエフゲニー・ポポフ氏は「現在、西側世界で平和のために行動している指導者はトランプ氏だけだ」と述べている。
私はポポフ氏に、「平和のために行動していると言うが、その平和はあなたの条件によるものなのか?」、「それはあなたが望むことなのか?」と聞いた。
「もちろん!」と彼は答えた。
プーチン、ゼレンスキー、トランプの3大統領による会談は、すぐには開かれないかもしれない。
一方で、プーチン氏、トランプ氏、中国の習近平国家主席による会談は、来月中国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の合間に実施される可能性が十分ある。
一部の評論家らはすでに、この会談を「新ヤルタ」と呼んでいる。1945年のヤルタ会談では、ソヴィエト連邦のヨシフ・スターリン大統領、イギリスのウィンストン・チャーチル首相、アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領が会談し、戦後ヨーロッパの政治的・領土的再編を計画した。「新ヤルタ」とはそれをもじったものだ。
「今の世界では、ロシア、中国、アメリカだけが超大国だ」と前出のポポフ氏は言う。「その首脳らが中国で会談するなら、もちろん、世界全体にとって良いことのはずだ」。
5年近くに及ぶ戦争を経て、プーチン氏はまさに、望んできた場所を確保しようとしている。世界政治の最高協議の席という場所を。















