トランプ氏、ウクライナのスターリンクへのアクセスは制限していないと主張

ダークスーツ姿のトランプ氏がホワイトハウスの中庭で両手を前に出して口を開いている
画像説明, トランプ米大統領
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アメリカのドナルド・トランプ大統領は16日、ウクライナが利用している米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」の軍用版「スターシールド」について、アクセスを制限していないと述べた。スターシールドは、接続維持が可能なドローンの速度を制限し、ロシアの攻撃に対するウクライナの防衛能力を損ねたとされる。

この衛星通信サービスをめぐっては、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が16日、通信速度はまだ回復していないと述べた。

これについてトランプ氏は「私ではないし、(スターリンク所有者の)イーロン(・マスク氏)でもないと思う」と記者団に述べた。

スターシールドについて尋ねられると、「本当にダウンした」のか「定かではない」と答えた。

接続制限については、マスク氏は米政府が関わっている可能性を示唆している。ロイター通信は15日、欧米の当局者3人の話をもとに、ホワイトハウスの内部から指示が出ていたと報じた。

米政府は、スターリンクとスターシールドについて、ウクライナが対ロシアの防衛で使用することを許可している。

マスク氏は今年2月、同サービスへのロシアのアクセスを遮断。ウクライナに優位性を与えた。

今月13日夜になって、スターリンクは時速160キロを超えて移動した兵器はネットワークとの接続を失う制限を実施した。

ウクライナでは同日、ロシアによる複数の攻撃で死者が出た。約60万人が停電に見舞われ、ウクライナ軍が使用する通信施設やエネルギー施設も被害を受けた。

こうした状況を受け、アメリカでは超党派の上院議員グループが、ネットワーク障害に関する調査を求める書簡に署名した。

米政府はこれまで、ウクライナに対し、ロシアの石油精製施設への攻撃を停止しなければ、ウクライナの防衛にとって不可欠な機密情報の提供を控えるかもしれないと警告している。

米国とウクライナの緊張関係

アメリカとウクライナの間ではこのところ、緊張が高まっている。背景には、ロシアとアメリカがディーゼル燃料の取引で合意したことがある。

ゼレンスキー氏は、この合意に憤慨。ロシアの石油精製施設への攻撃を再開した。そのつい3日前に「エネルギー停戦」を発表していたトランプ氏は、この動きを批判した。

「エネルギー停戦」をめぐっては、ウクライナは、ロシアが攻撃を停止すれば、自分たちも攻撃を停止するとした。しかし、ロシアは停戦を認めず、攻撃を続けている。

ゼレンスキー氏は16日、欧州連合(EU)首脳会議に出席。「もし私がこれに立ち向かわなければ(中略)誰がそうするのか」と首脳らに問いかけた。

一方、トランプ氏はゼレンスキー氏について、「(ロシアのウラジーミル・)プーチン(大統領)より対処が難しい」としている。

ただ、16日には記者団に、ゼレンスキー氏との関係は良好だと述べた。

欧州はウクライナを見捨てないと

16日のEU首脳会議では、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、加盟国はウクライナを見捨てないと強調した。

ゼレンスキー氏も出席したこの会議の最後に、マクロン氏は、一部の人々の「あいまいな態度」に直面しても、毅然とした態度を貫くことがヨーロッパの責務だと述べた。これは明らかに、ウクライナに対するアメリカの支援が揺らいでいるとみられることへの言及だった。

首脳会議では、ウクライナへの資金援助と、ロシアによる本格侵攻以来5度目となる厳しい冬を乗り越えるための支援が重要議題となった。

ゼレンスキー氏は、来年の戦争費用は1550億ユーロ(約27兆5000億円)に達し、そのうち少なくとも700億ユーロは、防衛と兵器のためにEUから拠出される必要があると述べた。

マクロン氏は、ウクライナの衛星システムと早期警戒システムの支援にヨーロッパが取り組んでいると説明。ウクライナの友好国は、ウクライナからのさらなる支援要請を検討するだろうと述べた。