英労働党党首選、実施なら「出馬する」とストリーティング氏 バーナム氏は党を「救う」

ストリーティング氏とバーナム氏の顔写真が横に並べられている画像。

画像提供, Reuters/BBC

画像説明, イギリスのストリーティング前保健相(左)とグレーター・マンチェスターのバーナム市長は、共にスターマー首相の後任の座を狙っているとされる
Published
この記事は約 7 分で読めます

英与党・労働党のウェス・ストリーティング前保健相は16日、党首選が実施されれば出馬する考えを正式に示した。ストリーティング氏は先に、地方選での大敗を受けてキア・スターマー首相への「信頼を失った」として保健相を辞任しており、出馬に向けた準備を進めているとみられている。

同じく党首選での立候補に意欲を示しているイングランド北部グレーター・マンチェスターのアンディ・バーナム市長はこの日、BBCに対し、労働党を「救う」ために下院のメイカーフィールド選挙区の補欠選挙への出馬を目指していると語った。

労働党の規則では、バーナム市長は下院議員にならない限り党首選に立候補できない。バーナム氏がメイカーフィールドの補選で労働党の公認候補となり、かつ当選した場合は、スターマー氏に代わる首相の座を目指すと広く見られている。

対するスターマー首相は、辞任要求や退任時期の明示を求める党内の声に抵抗し続けている。バーナム氏や他の有力候補からの挑戦にも応じる構えだ。

ストリーティング氏は保健相を辞任した際、スターマー氏への正式な挑戦の表明には踏み込まなかった。

16日に労働党系の政治団体プログレスが主催する会議に出席したストリーティング氏は、党首選の開始に必要な労働党議員81人の支持を得ているかと問われると、「議会党内に支持は確実にあるが、私には今週、別の選択肢もあった」と述べた。

また、労働党は「急いで」党首選に突入することもできたが、バーナム氏に出馬の機会を与えないままでは、新たな党首は「正当性」を欠くことになると指摘。党内の「不安定さと不確実性を長引かせてしまう」と述べた。

そのうえで、「最良の候補者がそろう適切な選挙が必要だ。そして私は出馬する」と、同氏は表明した。

ストリーティング氏は、スターマー氏の将来を臆測はしないと述べ、両者の間にいかなる「意見の相違」があっても、首相は「多くの卓越した資質」を有しており、「並外れて誠実な人物だ」と語った。

また、バーナム氏への支持を検討している有権者に何と語るかと問われると、ストリーティング氏は「彼に投票してほしい、特にメイカーフィールドで」と述べた。

同選挙区の補選は6月18日に実施される見通し。

「労働党を取り戻す」とバーナム氏

一方のバーナム氏は16日、BBCに対し、労働党は「より良くなる必要がある」と述べた。

「これを労働党を取り戻し、これまでの状態から救うための契機と捉えなければならない。今のまま続けることはできない」

バーナム氏はまた、労働党が「労働者階級の人々の一部となる」ことを望むと語り、「イギリスは40年間、誤った道を進んできたと思う。産業の空洞化や、バスの規制緩和、生活に必要不可欠なサービスの民営化を始めた」と主張した。

一方、この補選が党の自己満足のためのものにすぎず、度重なる選挙に有権者が不満を抱くのではないかという質問には、「これは非常に必要な選挙だ。人々のために機能してこなかった政治を正すことが目的だ」と述べた。

メイカーフィールド選挙区の下院議席は14日、労働党現職のジョシュ・サイモンズ下院議員がバーナム氏に道を譲るため辞任すると表明したことで、空席となった。これを受けて労働党の全国執行委員会(NEC)は15日、バーナム氏の同選挙区の補選への出馬届を受理した。

候補選考への応募締め切りは18日で、選考会は21日に行われる。

5月7日の地方選挙では、労働党はイングランドの各地方議会で合わせて1500議席以上を失ったほか、ウェールズおよびスコットランドの議会選挙でも多くの議席を失った。これを受け、党内ではスターマー氏への辞任圧力が高まっている。

BBCの取材では、選挙後にスターマー氏に辞任、あるいは辞任時期の提示を求めた労働党議員は約90人に上っている。

一方で、これまでに150人以上の議員が首相を支持する姿勢を見せるか、党首選を行う時期ではないと述べている。

スターマー氏は閣僚らに対し、自分は「政権運営を続ける」と伝え、党首選は「混乱」を招く可能性があると警告している。

党首選が実施された場合、首相は出馬の意向を示せば自動的に候補者となるため、スターマー氏は推薦人を集める必要はない。

EUとの関係、争点の一つに

メイカーフィールドの補選と、その後に実施され得る労働党の党首選では、イギリスと欧州連合(EU)との関係が争点の一つとなる見通しだ。

ストリーティング氏は16日、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)は「壊滅的な誤り」だったとも述べ、イギリスは「EUとの新たな特別な関係」を必要としていると語った。

同氏は、イギリスはブレグジットによって「産業革命以前のどの時点よりも、より貧しく、より弱く、より統制力を欠いた状態になった。もはやこの問題について沈黙している余裕はない」と批判。

「イギリスの未来はヨーロッパにあり、そしていつの日か、再び欧州連合の中にある」と、再加盟の必要性を訴えた。

一方で同氏は、こうした政策が動くのは、総選挙などで有権者から新たな信任を得られた場合に限られるだろうと明言した。

スターマー氏率いる労働党政権は、EU離脱の問題をめぐり慎重な姿勢を取っている。EUとのより緊密な関係を模索する一方で、イギリスはEUの単一市場にも関税同盟にも再参加しないという立場で、一線を引いている状態だ。

ストリーティング氏の発言により、この問題に関するバーナム氏の立場も注目を集めることになった。

英ITVニュースから、EUへの再加盟に賛成かと問われると、バーナム氏は、「長期的にはその可能性がある」と述べた。しかし、「この補選でそれを主張しているわけではない」とも述べた。

バーナム氏はこれまで、ストリーティング氏と同様、イギリス国民の意思を尊重するとしており、EU再加盟に向けたいかなる動きも、新たな信任を得た場合にのみ可能だと述べてきた。

一方、ブレグジットの際に政権を担っていた最大野党・保守党のケヴィン・ホーリンレイク幹事長は、ストリーティング氏の発言に対し、「労働党がブレグジットを蒸し返している間、イギリスは統治されていない」と反論。

「一般家庭や企業が、政府に生活費や経済、公共サービス、イギリスの防衛に注力してほしいと思っている時に(中略)また人々の気をそらそうとしている」と述べた。