アメリカ、石炭とガス使う火力発電所の温室効果ガス排出規制を撤廃

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マデリン・ハルパート記者、マーク・ポンティング気候変動担当記者
アメリカの環境保護局(EPA)は14日、石炭や天然ガスを使う火力発電所による温室効果ガスの排出抑制を目的とした規制を撤廃すると発表した。
EPAは、将来の政権が発電所の排出ガスを規制できないよう、措置を講じる方針も示した。
EPAは、ジョー・バイデン前大統領の政権による気候変動対策規制の大部分を撤廃すれば、3100億ドルの節約になり、エネルギー価格も下がると述べた。
「アメリカは世界のどこよりも優れた、どこよりもクリーンなエネルギーを生産しているのが現実だ。なので、アメリカの発電所が不当に標的にされるべきではない」と、リー・ゼルディンEPA長官は表明した。
これに対して複数の環境団体は、この措置はアメリカ国民の健康と地球環境に甚大な被害をもたらすと警告した。EPAの今回の措置に対して、差し止めの訴えが直ちに起こされると予想される。
国連によると、石炭や天然ガスなどの化石燃料は、地球規模の気候変動を引き起こす最大の要因となっている。
一方、EPAは今回の声明で、バイデン政権時代に制定された発電所に対する排出ガス規制は「同局の権限を超えている」と判断したと述べた。
EPAは、前政権による規制は「効果検証が不十分な制御技術を要求しているほか、発電所が実際に満たすことのできる基準を設定するのではなく、事実上の廃炉に追い込んでいる」と述べた。
EPAは、電力部門に対するほかの温室効果ガス規制もすべて撤廃しようとしている。ゼルディン長官は一連の変更を昨年、提案した。
新しい規則は「手頃で安定したエネルギー供給を確保し、輸送、暖房、公共料金、農業、製造業のコストを削減すると同時に、国家安全保障を強化する」と長官は述べた。
バイデン政権時代の規制では、発電所だけでなく、自動車や産業施設からの二酸化炭素排出も大幅削減が求められた。これによって年間4500人が早期に死亡する事態を防げると推測されていた。
しかし、EPAは今回、「公衆衛生上であり得る健康被害をアメリカの電力部門に結び付けるには、あまりに不確実で推測が多く、(因果関係が)かけ離れていて複雑すぎる」と主張した。
ゼルディン長官は記者団に対し、「有害な大気汚染物質」に対する安全対策は「人々の健康を守るため」に継続すると述べた。

独立系環境団体「気候・エネルギーソリューションセンター」のナサニエル・コヘイン代表は、今回の動きを「巨大な後退」と評した。
「発電所に対する炭素汚染基準を撤廃することで、EPAは健全な科学と経済を無視し、公衆衛生と福祉を守る責任を放棄した」とも、コヘイン代表は批判した。
アメリカは現在、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの二酸化炭素などの排出量が中国に次いで2番目に多い。
最新の推定値によると、アメリカの排出量は電力部門が約25%を占め、年間約15億トンの二酸化炭素換算量を排出している。
これは、アメリカの電力部門からの排出量は、ごく少数の国を除いて、各国の国全体の総排出量よりも多いことを意味する。

アメリカの電力部門からの排出量は、昨年はわずかに増加したものの、石炭使用量の減少に伴い過去数十年にわたり概ね減少傾向にある。
しかしトランプ氏は長年、石炭火力発電の復活を主張しており、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを繰り返し批判してきた。
EPAの今回の発表がアメリカの排出量と、地球の気候変動にどう影響するのか、正確なところははっきりしない。
トランプ氏が期待するほど石炭の利用が復活するかどうか、一部の研究者は疑問視している。過去10年間で太陽光発電など多くのクリーンテクノロジーのコストが、急激に低下したことを研究者たちは指摘する。
バイデン政権下の2022年には米連邦最高裁が、発電所の温室効果ガス排出量についてEPAが一律に制限する権限を、縮小する判断を示した。当時野党だった共和党系の19の州と石炭会社が、EPAによる排出制限に伴う経済的コストを懸念し、州全体の排出量を制限する権限はEPAにはないと主張していた。
トランプ政権はこれまでも、地球温暖化と気候変動対策のために策定されたさまざまな政策を次々と廃止してきた。EPAは今年2月には、さまざまな温室効果ガスが公衆衛生に対する脅威だと結論づけたバラク・オバマ政権時代の重要な科学的判断を撤回すると発表した。2009年のいわゆる「危険性認定」は、それまで連邦政府による地球温暖化ガス抑制政策の基盤となり、とりわけ自動車からの排出量を抑制する連邦政府の取り組みの法的根拠となってきた。
トランプ政権のこの決定に対しても、複数の州や地方自治体が提訴している。















