トランプ氏、「停戦」実現でイランとの敵対行為終了と米議会に通知 今後は議会承認不要と主張

明るい日の光を浴びながら木々を背にホワイトハウスの庭を歩く、スーツ姿のトランプ氏

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画像説明, トランプ米大統領はホワイトハウスを離れる際に記者団の質問に答えた(1日、ワシントン)
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ドナルド・トランプ米大統領は1日、連邦議会に対し、継続中の停戦のもとでアメリカとイランの敵対行為は「終了した」と書簡で通知した。このため、対イラン戦争について、5月1日の期限までに議会の承認を得る必要はないと主張した。

トランプ氏は議会両院の指導部に宛てた書簡で、「2026年4月7日に私は、2週間の停戦を命じた。停戦はその後、延長された。2026年4月7日以降、米軍とイランの間で発砲の応酬は行われていない。2026年2月28日に始まった敵対行為は終了した」と書いた。

また、「イランの体制に対するアメリカの作戦が成功を収め、永続的な平和を確保するための努力が続いているにもかかわらず、イランがアメリカおよび米軍に与える脅威は依然として重大である」と書簡は続き、「このため戦争省は、イランおよびイランの代理勢力による脅威に対処し、アメリカと同盟国および提携国を保護するため、必要かつ適切に、特定の国々のAoR(管轄区域内)で、部隊態勢を引き続き更新している」としている。

アメリカ大統領は連邦法の下、軍事行動の開始を議会に通知してから60日以内に、議会の承認を得る必要がある。議会が承認しなければ、大統領は敵対行為の停止を命じなくてはならない。

今後の作戦行動について議会の承認を求めるのかと記者団に質問されると、トランプ氏は「ほかの国でそんなことをした国はない」、「ほとんどの人は、そんなことは完全に違憲だと考えている」と述べた。

トランプ政権によるこうした戦争権限法の解釈について、法律の専門家の間からは疑問の声も出ている。

アメリカとイランは、長期的な和平合意にはまだ達していない。しかし、国営イラン通信(IRNA)は、イラン政府が5月1日に、パキスタンの仲介担当に新提案を示したと伝えている。IRNAは詳細を公表しておらず、その提案がアメリカに届いているかは不明。

しかしトランプ氏は記者団に対し、「我々はちょうどイランと話をしたところだ。どうなるか様子を見てみよう。ただ、私は満足していない」と述べた。

トランプ氏は、イランとの交渉難航の一因に、戦争でイランの軍幹部が複数殺害された後、イラン指導部が「とても混乱している」ことを挙げた。

さらに、米中央軍からは4月30日に今後の作戦について複数の選択肢を提示されたと述べ、「(イランを)徹底的に叩きのめして永遠に終わらせる」案から「合意を結ぶ」案まで、さまざまな可能性について説明を受けたと述べた。

トランプ氏は1日に別の場で、あらためて記者団に対し、「(イランは)我々が必要とする種類の提案を出してこない」、「こちらとしては、きちんとやる。さっさと引き揚げて、3年後に同じ問題がまた起きるようなことはしない」と話した。

戦争権限法の解釈で議論

アメリカでは現在、戦争に正式な承認を与えるかどうかを決めるため、連邦議会の上下両院が審議するのかが注目されている。

1973年の戦争権限法は、アメリカ大統領が米軍を戦闘に投入した場合、「60日以内」に一定の要件が満たされる必要があると定めている。つまり、議会が正式な宣戦布告をするか、部隊の「速やかな撤退」実現のために最大30日間の延長を認めない限り、大統領は部隊の使用を終わらせなくてはならない決まりになっている。

この法律は、当時のリチャード・ニクソン大統領によるヴェトナム戦争の継続を制限する目的で、1973年に可決された。

ピート・ヘグセス国防長官は4月30日に上院軍事委員会の公聴会で、イランとの停戦によって、議会承認を必要とする締め切りの「時計は止まっている」と主張した。

これに対し、野党・民主党のティム・ケイン上院議員は、「そのような解釈を法令が認めるとは思わない」と応じた。

民主党議員団はこれまでも繰り返し、イランをめぐりトランプ氏を抑制しようとしてきたが、その動きは与党・共和党の抵抗によって、議会両院で繰り返し失敗してきた。ただし、共和党の一部の議員の間には、期限の60日を過ぎた後に意見を再考するかもしれないという動きもある。

戦争権限法をめぐるトランプ政権の解釈について、首都ワシントンにあるジョージタウン大学ロースクールのヘザー・ブランドン=スミス教授は、たとえ停戦が法的に有効であっても、期限までの秒読みは止まらないと述べた。

「停戦は恒久的な紛争の終結ではない」、「私の考えでは、実際に60日を締めくくるのは、恒久的な紛争の終結だ」と同教授は述べ、トランプ政権が紛争を継続する場合、戦争を止める手段は裁判所または議会しかないと説明した。

イランとの戦争は、アメリカとイスラエルがイランに対して大規模な攻撃を開始し、同国の最高指導者を殺害したことから始まった。イランはこれに対し、イスラエルおよび湾岸地域のアメリカの同盟諸国を攻撃した。

アメリカとイスラエルは、イランが核兵器の開発を目指していると主張してきたが、イランはこれを否定している。

こうしたなか、米財務省は1日、ホルムズ海峡通過のためにイランに「通行料」を支払う個人や企業は、アメリカの制裁に抵触するおそれがあると警告する通知を出した。この主要な海上輸送路は依然として事実上封鎖されたままで、世界中に経済的影響をもたらしている。