米軍、新しい対イラン作戦案をトランプ氏に報告との報道 原油価格は一時2022年以来の高値に

女性のガソリンスタンド従業員が白い乗用車に給油している

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アメリカ軍が対イラン戦争の新しい作戦案をドナルド・トランプ大統領に報告するとの報道を受け、4月30日の原油価格は2022年以来の高水準に急騰した。一方、イラン政府は最高指導者モジタバ・ハメネイ師のものだという声明を発表し、イラン政府がホルムズ海峡の安全を確保し、「敵による水路の乱用」を排除すると述べた。

指標の北海ブレント原油先物は一時、約7%高の1バレル126ドル超の高値を付けた後、114ドルまで反落した。

これに先立ち米ニュースサイト「アクシオス」は30日、米中央軍がイラン政府との交渉膠着(こうちゃく)を打破するため、イランに対する「短期間かつ強力な」一斉攻撃計画を策定したと報じた。BBCはこの件について、中央軍およびホワイトハウスにコメントを求めている。

アクシオスは匿名の消息筋の話として、中央軍が提案する一斉攻撃の標的にはインフラ施設が含まれる可能性が高いと伝えた。また、民間船舶の航行再開のためにホルムズ海峡の一部を制圧することに焦点を当てた作戦案もあり、これには地上軍の投入を伴う可能性もあるとアクシオスは報じている。

イランは同じ30日、最高指導者モジタバ・ハメネイ師のものだという声明を発表。声明は、イラン政府がホルムズ海峡の安全を確保し、「敵による水路の乱用」を排除すると述べている。ハメネイ師の声明はまた、2月28日の米・イスラエルによる対イラン戦争開始以来、中東地域において「新章」が形成されつつあるとも述べている。

この日の原油価格の乱高下は、資産を特定の日に売買すると決める「先物契約」の期限も影響したとされている。

米データ分析会社クプラーのシニア石油アナリスト、ナヴィーン・ダス氏はBBCラジオに対し、「戦争のエスカレーションがまた可能性として浮上しているようだ」と述べつつ、6月限のブレント先物契約が4月30日に満期を迎えたことが、価格の下落に寄与したと話した。より取引の活発な7月限は、1バレル110ドル前後と低水準で取引されていた。

ダス氏はさらに、原油が1バレル125ドルに近づくと、企業や政治家たちが「もう少し動揺し始める」はずだとも話した。

原油はガソリンや軽油の主成分。イラン戦争開始以来のコスト急増は、ドライバーが負担する小売価格を押し上げている。

英王立自動車クラブ(RAC)によると、イギリスのガソリン平均価格は現在1リットル157ペンスで、開戦前より24ペンス上昇している。軽油は188.5ペンスと、開戦前と比較して46ペンス上昇した。

RACの政策責任者サイモン・ウィリアムズ氏は、給油所でのガソリン価格は下がっているものの、「卸売コストを分析すると、小売業者にとってのガソリン仕入れ価格は開戦以来、今が一番高い」と話した。

「しかし、1リットルあたり3ペンス値下がりした軽油は現在、紛争開始以来の最高価格を大きく下回っているので、今後さらに下落するはずだ」と、同氏は付け加えた。

しかし、イランでの戦争の想定される影響は、ガソリンや軽油の価格にとどまらない。イギリス政府は、この戦争の結果としてエネルギー料金、食品、航空券の価格が上昇する可能性があると警告している。

一部の航空会社はすでに、運賃の値上げや減便を開始している。肥料価格も上昇し始めており、連鎖的な影響が食品価格に及ぶ可能性がある。

アメリカとイランの和平交渉が停滞していると見られるなか、海運の要衝ホルムズ海峡は依然として、事実上の封鎖状態にある。通常は世界の石油および液化天然ガス(LNG)の約20%がこの海峡を通過するだけに、続く紛争によって世界のエネルギー価格は高騰している。

英資産運用会社ウェルス・クラブのチーフ投資ストラテジスト、スザンナ・ストリーター氏は、コスト高が来年まで続く可能性があると指摘した。

「肥料に使われる尿素の輸送が遮断されているため、在庫を事前に確保していなかった世界中の農家にとってコストが激増している」

「あらゆるコスト高がサプライチェーンを通じて転嫁され、今年後半から来年にかけて日用品の価格を押し上げる懸念がある」

4月28日には複数のエネルギー企業の幹部がトランプ氏と会談し、アメリカの消費者に対する戦争の影響を抑える方法について協議している。これが、エネルギー供給の長期的な混乱に対する市場の懸念を煽る形となった。

米投資銀行レイモンド・ジェイムズの投資マネージャー、ウィル・ウォーカー=アーノット氏は、BBCラジオに対し、「トランプ政権は、この経済的な圧力にいつまで耐えられるか。私はそれを気にしている」と話した。

「原油価格上昇がもたらすインフレの影響を、多くの人が本気で心配し始めている」