エボラ出血熱の流行、過去最悪の死者数に達する恐れ WHOトップが警告

ダークスーツに白と赤のネクタイ、黒いフレームのめがねをつけたテドロス氏が、マイクに向かって話している

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タビー・ウィルソン

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は12日、コンゴ民主共和国(旧ザイール)で現在発生しているエボラ出血熱の流行について、過去最悪の死者数に達する勢いだと述べた。

テドロス事務局長は記者団に対し、今年のエボラ出血熱の流行が「現在のペース」で進めば、少なくとも1万1000人が死亡した2014年から2016年の流行を「上回る」との見通しを示した。

WHOは今年5月15日に今回の流行を宣言した。これまでに少なくとも4300人の感染が確認され、2000人以上が死亡している。

WHOは12日、今後3カ月以内に感染拡大を食い止めたい考えを示した。ただ、これは感染の伝播(でんぱ)を制御することを意味するもので、流行そのものを完全に終息させることではないと警告している。

エボラ出血熱の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」は5月に宣言されたばかりだが、保健当局者は今週、流行はWHOの宣言の少なくとも3カ月前には始まっていたとみられると指摘した。

WHOアフリカ地域事務局長のモハメド・ジャナビ博士は、流行の中心地に近いコンゴ民主共和国のブニアでの記者会見で、「我々は(エボラ)ウイルスを追跡しているが、ウイルスは我々の一歩先を行っている」と述べた。

ジャナビ氏は、エボラウイルスへの感染が2月に広がり始め、当初はマラリアや腸チフスと誤診されていたことを示す研究を引き合いに出した。

今年の流行は、エボラウイルスの中でもまれな「ブンディブギョ株」によって引き起こされている。この種による流行は、2007年と2012年の2回しか事例がない。

ブンディブギョ株に有効なワクチンや、承認された治療薬は存在しない。

コンゴ民主共和国東部の流行地域周辺では、不安定な情勢が続いており、そのことが感染拡大の抑制をいっそう難しくしている。ジャナビ博士によると、こうした状況から、医療従事者が把握できている症例は全体の約30%にとどまっているいう。

エボラ出血熱はウイルスによって引き起こされる病気で、発症はまれだが、致死率が高い。感染後2~21日で症状が現れる。

初期症状は突然現れ、発熱、頭痛、倦怠感など、インフルエンザやマラリアに似た症状が見られる。病気が進行すると、嘔吐や下痢が現れ、臓器が機能しなくなる。

エボラウイルスは、血液など感染者の体液や吐しゃ物などを介して、人から人へと感染する。

英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、ブンディブギョ株に対応できるワクチンのヒトへの臨床試験を承認したことを認めている。

このワクチンは、オックスフォード大学の研究チームが開発を進めているもので、オックスフォード・アストラゼネカ製の新型コロナワクチンで使われたものと同じ技術を基盤としている。

WHOはこのほか、コンゴ民主共和国で、既存2種類の抗ウイルス療法で生存率を改善できるか検証するため、別の臨床試験を支援している。