セルビアのヴチッチ大統領が辞任、市民の抗議高まり 年内に議会選と大統領選へ

画像提供, Reuters
ヴィッキー・ウォン記者
セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領が27日、辞任した。同国では学生主導の抗議活動が1年以上続いていたほか、政府の汚職疑惑に対する国民の不満が高まっていた。
ヴチッチ大統領は、首都ベオグラードの大統領府前で支持者に向けて演説し、自分の政権は9年間の任期中に平和と安定を維持してきたと述べた。
大統領はすでに6月の時点で、辞任の意向を表明していた。今では、10月に行われる予定の国民議会(一院制、定数250)選挙での、中道右派与党「セルビア進歩党(SNS)」の首相候補となっている。セルビアの憲法では、ヴチッチ氏は3期目の大統領選に出馬することはできない。
ヴチッチ氏率いる親ロシア派のポピュリスト政権は、コスト削減策をめぐる疑惑で国民の怒りに直面していた。
2024年11月、セルビア第2の都市ノヴィ・サドの中央駅の屋根が崩落し、16人が死亡する事故が発生。この事故をきっかけに、学生や教師、労働者、農家まで、幅広い層の市民が参加する抗議活動が行われた。
同駅の改修はセルビアの進歩の象徴だとされていたが、駅で事故が起きたことは、改修工事に深く関わっていた与党・進歩党による10年以上の政権運営を反映するものだと、デモ隊は主張した。
窮地に立たされた大統領の側近たちの相次ぐ辞任は、抗議者たちの怒りを鎮めるには至らず、翌年もデモは続いた。警察の暴力行為が告発されると、抗議は騒乱へと発展した。
ヴチッチ大統領の任期は来年満了の予定だった。セルビア憲法は、大統領辞任後3カ月以内に、後任を決める選挙を実施する必要があると定めている。
このためセルビア国民は、年末までに2回投票に行くことになる。
ヴチッチ大統領は大統領選について、10月下旬の議会選から1カ月以上たった時点で行うと述べた。この議会選も、抗議参加者らが要求したことで実現した。
ヴチッチ氏は以前、進歩党の党首として議会選に出馬する意向を表明しており、セルビア政界のトップの地位を維持する可能性を残していた。
新大統領が選ばれるまでは、同じく進歩党所属のアナ・ブルナビッチ国民議会議長が暫定大統領を務める。
セルビアの公共放送RTSによると、ヴチッチ氏は辞任に当たって憲法上の権限を行使し、「過去1年半にわたって我々が経験した恐ろしい出来事」に関連する容疑をかけられていた学生23人や党員を含む49人に恩赦を与えた。
近く行われる議会選では、ヴチッチ氏率いる進歩党が、学生主導の反汚職運動「学生の勝利」と、親欧米派の野党連合「欧州のセルビア」と対決することになる。
ヴチッチ氏は10年以上にわたり、セルビア政界の中心にいる。2014年に首相に就任した後、2017年に大統領として初めて選出された。セルビアの欧州連合(EU)加盟を望むと公言する一方で、ロシアと緊密な関係を築き、中国の投資を受け入れる姿勢を見せている。













