【解説】 米軍が使う英空軍基地の近くで「重大事態」、5人逮捕 多くの疑問点

フェアフォード空軍基地のフェンスの後ろ、「英空軍フェアフォード」と言う名称の下、「米空軍」と書かれた看板が立っている。看板の後ろには平らな緑地が広がり、2台の車両が見える。
画像説明, 警察によると、基地付近で「不審車両」が基地に向かって走行しているのが目撃された後、重大事態が宣言され、男性5人が逮捕された
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ジェイムズ・ランデイル 外交担当編集委員

イギリス南西部にあるフェアフォード空軍基地は、イングランドのただなかにあるアメリカの一切れであって、冷戦時代からアメリカ空軍の前線作戦基地として機能してきた。

長さ約3キロの滑走路は実に長く、その長さゆえにかつてはアメリカのスペースシャトル計画で緊急時用の予備滑走路だった。

基地は現在、ドナルド・トランプ米大統領がイラン攻撃に使用する巨大で重厚な爆撃機の重要な出発拠点となっている。その能力のある空軍基地で、アメリカがヨーロッパで使えるのは、ここが唯一だ。

それだけに、フェアフォード基地はもう長いこと必然的に、標的となり得る場所だった。

基地の施設や滑走路の周りには、緑の田園が広がっている
画像説明, イギリス南西部にあるフェアフォード英空軍基地の空撮写真。近隣のウェルフォード村の住民には避難が指示された

イラン外務省は7月、アメリカが対イラン戦争でフェアフォード基地を防衛的攻撃の拠点として使うことを認めたイギリスを、戦争犯罪に加担していると非難。「どのような形だろうと、イランに対する軍事侵略に参加する当事者は、その決定の結果と影響について責任を負うことになる」と警告した。

これは、明確な脅しだと受け止められた。

戦争終結に向けた外交努力も行き詰まっている。そのため、イランは11月の米中間選挙を前に、中東以外の地域での攻撃などを通じてアメリカへの圧力を強め、情勢を打開しようとするのではないかという臆測が広がっている。

エド・ミリバンド英外相は24日、国連総会のため訪米した際、イランのアッバス・アラグチ外相と会談した。ミリバンド氏は、「イランとつながりのあるグループからの脅威に対して戦うと、揺るぎない決意」をイギリスは抱いているのだとアラグチ氏に明確に伝え、イギリス領内での「敵対行為」はどのようなものだろうと容認しないと警告した。

木々に囲まれた灰色の道に白いバンが数台停まっている様子を撮影した、空撮写真。バンの一台は後部の荷台ドアが開いている。クリーム色のロボットがアームを伸ばし、助手席側のドアに接近している。
画像説明, フェアフォード空軍基地に近い木立の中で、白いバンに遠隔操作ロボットが接近していた

しかし、今回の事件については、ロシアにも目が向いている。

デンマークの情報機関は24日、ロシアが今後数カ月以内に北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して限定的な軍事攻撃を開始する可能性があると警告した。

ドイツは9月1日、東部ザクセン州の空港で8月、爆発物を搭載したドローンが見つかった問題について、ロシアに責任があると正式に非難している。

在ロンドンのロシア大使館は8月、ウクライナがロシア領土の奥深くに対してイギリス製ドローンを使用することをイギリスが認めないようくぎを刺し、「イギリスが紛争に深く関与し、キエフ(訳注:キーウのロシア語読み)のテロリスト体制への支援を強めれば強めるほど、その代償は大きくなるだろう」と大使館は警告した。

これもまた、直接的な脅しとみなされた。

イスラム過激派による攻撃の可能性もある。あるいは、米・イスラエルによるイラン戦争と、その中でイギリスの基地を攻撃拠点として使用することに反対するグループによる、直接的な行動の可能性もある。

さらに、当局が果たしてこのような攻撃に備えていたのかが、核心的な疑問としてある。

基地内の警備はアメリカの担当で、イギリスは基地の外のあらゆる脅威に対する責任を負う。当局は何を知っていたのか?

トランプ大統領は、容疑者らは「もう長いこと」捜査対象になっていたと述べた。

しかし、この事件が未然に防止できたのは、通りすがりの運転手が不審なバンを警察に通報したからだという意見もある。

上半身裸の男性5人がバッグの後ろに手を回して座り、武装した警察官が彼らを取り囲んでいる。男たちの顔にはモザイクがかかっている
画像説明, フェアフォード空軍基地付近で男性5人が逮捕された後、この写真が地元のチャットグループで共有された。写真の出どころは確認されていないが、BBCヴェリファイが画像の位置情報を特定し、本物の可能性が高いことを確認した

イランがイギリスをはっきりと脅した当時、英国防省の報道官は次のように述べていた。「我が国の軍隊は、国内だろうと国外だろうと、あらゆる種類の攻撃からイギリスを守る準備ができている。イギリスは常時、自衛態勢をとっている」。

今のところ、分かっている事実よりも疑問点の方が多い。

敵対的な外国が関与していたのか、それとも代理勢力がその代理として行動していたのか。何を意図していたのか。そして、地元住民にはどのような危険があり得たのか。

はっきりしていることが一つある。イギリスが関与する紛争がもたらす脅威は、必ずしも海外にとどまるわけではないのだ。