英与党の内部、スターマー首相に退任予定示すよう圧力高まる 閣僚や議員から

白いポロシャツで演説をするバーナム氏と、スーツ姿で口元に手を当てたスターマー氏の写真が並べてある

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画像説明, 英下院補選に当選し労働党党首を目指すとみられるバーナム氏(左)と、挑戦は受けて立つと繰り返しているスターマー英首相
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ジャック・フェンウィック政治編集委員、ケイト・ワネル政治記者

英与党・労働党のアンディ・バーナム氏が18日に投開票されたイングランド北部メイカーフィールド選挙区の下院補欠選挙で圧勝し、下院議員として党首選の実施を求める道が開かれたことを受け、キア・スターマー首相に退任時期を明確にするよう求める声が党内で高まっている。

労働党議員の間では、党内と政府の混乱につながりかねない党首選を経ることなく、グレーター・マンチェスター市長だったバーナム氏に党首の座を譲るよう、権限移譲の計画を発表するようスターマー氏に求める声が出ている。

しかしスターマー首相はこれまで、自分はどのような挑戦も受けて立つし、職務を自ら「後にする」つもりはないと断言している。

他方、バーナム氏の支持者たちは首相に対し、今週末に熟考し、閣僚、国会議員、そして家族の声に耳を傾けるよう促した。

バーナム氏の陣営と、首相の後任を狙う別の有力候補のウェス・ストリーティング前保健相の陣営は、週末は一切メディアのインタビューに応じないと表明した。首相に再考の猶予を与えるためとみられている。

労働党の規則では、党首選の開始を正式に求めるには1人の候補が議員81人の支持を得ている必要がある。候補は下院議員でなくてはならない。スターマー首相は自動的に候補者となり、推薦を集める必要はない。

9年ぶりに下院議員となったバーナム氏は、党首選発議に必要な労働党議員81人の推薦を簡単に集められるものとみられている。ストリーティング氏は、必要な議員81人の推薦を得ていると述べているが、党内の勢いがバーナム氏に傾くなら、撤退する可能性もある。

スターマー首相は19日、かなりの時間を使って複数の閣僚に電話をかけ、側近たちにどれだけ支持されているのかを探った。

BBCが入手した情報によると、ハイディ・アレクサンダー運輸相は、退任時期を示すスケジュールを立てるよう首相に提案したという。

アレクサンダー氏の報道官は、「ハイディと首相は本日午後、閣議の一環として会談した。非公開の会話であり、その内容については公表しない」と述べた。

レイチェル・リーヴス財務相は、メイカーフィールド補選の結果が出て間もなく、首相と電話で会談し、全面的な支持を表明した。

労働党では5月初めの地方選で大敗したのを機に、スターマー首相の指導力を疑問視する声が相次いだ。シャバナ・マムード内相やエド・ミリバンド・エネルギー相を含む一部の閣僚は当時、辞任の時期を明確にするよう首相に促した

バーナム氏の補選勝利以降、マムード内相とスターマー首相は会話をしていない様子。

首相にとっては、主要閣僚が集まる定例閣議が開かれる23日が、正念場になるかもしれない。

大勢が雑談しているイベント会場で、口元に指をあてて前を向いているスターマー氏

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画像説明, 19日にロンドン北部の住民イベントに出席したスターマー首相

退任までの予定を決めるのかとBBCが質問すると首相は、「2年前の総選挙で国民から託された信任に基づき、私はこの国に仕えるために選出された」のだと述べた。

首相は、自分の政権は経済を安定させ、移民問題を「コントロール可能な状態に戻した」と言い、ほかにも実現したいことがあるのだと話した。

そのうえで首相は、「もし党首選になるなら、私は出馬する。候補になる。これまでも繰り返してきたように、そこから引き下がったりはしない」と強調した。

スターマー首相はさらにその後、メイカーフィールド補欠選挙に携わった全国の労働党関係者との電話会議で、全員の尽力に感謝した。さらに、「党として、そして運動として」労働党が団結する必要があると強調し、「何より避けなくてはならないのは、身内同士で対立し、この党とこの運動を引き裂き、この党とこの国をカオスに突き落とすことだ」と警告した。

メイカーフィールド補欠選挙に先立ち、スターマー首相はバーナム氏に対し、下院議員になったとしても党首選を発議するべきではないと警告。労働党は代わりに、新たなグレーター・マンチェスター市長選に集中するべきだと述べていた。

グレーター・マンチェスター市長選は7月30日に行われる。

バーナム氏は22日に下院で、正式に国会議員として宣誓就任する予定。

メイカーフィールド下院補欠選挙の上位6党の開票結果の一覧。労働党のバーナム氏は得票率55%(10ポイント増)、リフォームUKのケニヨン氏は35%(3ポイント増)だった。これにリストア・ブリテンのレベッカ・シェパード氏(7%、7ポイント増)、保守党のマイケル・ウィンスタンリー市(2%、9ポイント減)、緑の党のサラ・ウェイクフィールド氏(0.7%、4ポイント減)、自由民主党のジェイク・オースティン氏(0.4%、6ポイント減)が続く。

バーナム氏はメイカーフィールド選挙区で労働党の得票率を10%伸ばし、野党・リフォームUKの候補者に9000票以上の差をつけて勝利した。このことで、党首選に挑むよう求める支持者の声はいっそう高まった。

メイカーフィールドで当選祝賀会を開いたバーナム氏は、これは「流れを変えるチャンスだ(中略)国がまた機能していると思えるようにするためのチャンスだ」と語った。

バーナム氏は、補選に向けた選挙運動の「エネルギー」をさらに発展させ、「イギリスの政治を永遠に変える」とも述べた。

バーナム氏を支持するルイーズ・ヘイ前運輸相は、「しっかり管理された、秩序ある移行」を望んでいると述べた。

労働党のピーター・スワロー下院議員は、以前は首相を支持する書簡に署名していたが、19日夜のBBC番組「ニューズナイト」で、首相は辞任すべき時が来たと思うと話した。

「率直に言って、政府がタイムリーに国防投資計画に合意できなかったことが決定打となった」と議員は述べ、バーナム氏の党首就任を支持すると付け加えた。

労働党のジョー・ホワイト下院議員はBBCラジオ番組に、首相は今「自分の置かれている立場をとても、とても慎重に検討する必要がある。週末に、そのための時間がある」と述べた。

「(スターマー首相は)家族と静かに過ごし、閣僚たちの意見に耳を傾ける時間が必要だと思う。そして、月曜日の朝には円滑な政権移行を行い、アンディ・バーナム氏が次のイギリス首相になると、そう発表すべきだと思う」とホワイト議員は話した。

ホワイト議員は、イングランド北部にある地元バセットロウ選挙区では、「キア・スターマーに首相でいてほしくない」という声が有権者から出ているとも述べた。

しかし、一部の労働党議員は引き続きスターマー氏を支持している。キャサリン・アトキンソン法務担当閣外相はBBC番組で、首相は「根性と決意」の持ち主で、職務から「立ち去ったりしない」と述べた。

「保守党政権下で首相が次々と交代するのを見てきたが、それは決して良いことではなかった」と、アトキンソン氏は言い、「集中を失っている余裕などない。やるべきことが山積みだ」と強調した。

野党リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は、メイカーフィールド補選で自党が2位に終わったことは「残念な」結果だとしながらも、「バーナムに投票してスターマーを追い出そう」というメッセージに有権者が引き付けられたのだと評した。

ファラージ氏は、通常ならリフォームUKに投票するはずだった「何千人もの有権者」が、代わりに新興政党リストア・ブリテンを選んだと主張。「その有権者に直接言いたい。何が欲しいんだ? この国で左派に対抗する政党は我々だ。なので、考え直すようお勧めする。本当に、本当にそうする」と述べた。

最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、労働党が「党内のいざこざにばかり気を取られて、生活費の高騰にも、この国全体の人たちに何が起きているのか、何が彼らの生活に影響を与えているのかにも関心がない」と非難した。