米移民当局、北東部メイン州で男性を射殺 取締作戦中と説明

路上に複数のオレンジ色と灰色の三角コーンが立ち、黄色い目印が置かれている。その向こうに黄色い規制線がはられ、屋根のついた赤い直方体の覆いが路上に設置されている。その隣に、制服姿の警官や銃を腰につけた男性など、複数の男性がいる

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画像説明, 米連邦当局の職員が男性を殺害した現場に、捜査員が集まった(13日、メイン州ビデフォード)
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ブランドン・ドレノン、マックス・マッツァ

アメリカ北東部メイン州ビデフォードで13日朝、連邦政府の移民税関捜査局(ICE)の職員が路上で男性を射殺した。ICEは7日にもテキサス州ヒューストンで、職員が出勤途中の男性を路上で射殺している。

ICEによると、13日午前7時ごろ、最終的な国外退去命令を受けた不法滞在者の住所で職員が監視していた。

その住所から出てきた人物が運転する車を、ICE職員が制止しようとしたところ、「車両が現場から逃走しようとしたため、職員は公共の安全を懸念し、発砲した」とICE報道官は説明し、「車両の運転手が撃たれた」と述べた。

ICE職員がなぜ「安全を懸念」したのか、ICE報道官は明らかにしていない。

同州の移民権利保護団体「メイン州移民権利連合」は、撃たれたのは26歳のコロンビア人男性で、アメリカでの就労許可を得ていたと話している。

アーロン・フレイ州司法長官の事務所は声明で、ICEの強制送還作戦(ERO)担当の職員が作戦にあたっていた際、「対象者が車で捜査官の方向へ向かって逃走を試み、射殺された」と発表。同事務所が捜査に着手したとした。

同事務所は、被害者の男性の身元については、身元を確定して家族に連絡するまで公表しないと説明。事件にかかわったICE職員は、「警察が関連する発砲事件に関する通常手続き」として、休職扱いになるという。

ICEの職員が7日にテキサス州で、メキシコ国籍の建築作業員ロレンソ・サルガド=アラウホさん(52)を路上で射殺した事件について、ICEを所管する国土安全保障省(DHS)は10日、職員が射殺した男性は、意図した取締対象者ではなかったと述べた。

黄色い規制線の向こう、横断歩道の模様が描かれた交差点で、白い乗用車の左側に、白いSUVが接触している。乗用車の右側(運転席側)のフロントガラスには銃弾の跡がある

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画像説明, ICE職員が男性を射殺した現場に残る2台の車(13日、メイン州ビデフォード)

取締対象者だったのか

メイン州選出のスーザン・コリンズ上院議員(共和党)は、DHSの監察官室が調査を引き継ぐと話した。

同じくメイン州選出のアンガス・キング上院議員(民主党)は、DHSのマークウェイン・マリン長官から、射殺された人物は逮捕令状の対象者だったと当初聞かされたと話した。

しかしキング議員はこの発言の数時間後、マリン長官から電話があり、男性は実際には逮捕状の対象者ではなかったと告げられたという。キング議員の事務所がBBCに明らかにした。

メイン州移民権利連合は声明で、撃たれた男性について「彼は私たちのコミュニティーの一員で隣人で、そして悲劇的に命を奪われた一人の人間だった」と述べたが、男性の名前は公表しなかった。

ビデフォードは、同州の主要都市ポートランドから南に約30キロの位置にある。銃撃事件を受け、ビデフォードでは抗議デモが行われた。また、コリンズ上院議員の事務所入り口前には、議員がICEの予算措置に賛成票を投じたことに抗議する人々が集まった。

コリンズ議員は「何が起こったのか、徹底的かつ公平な調査」を求めた。

移民当局に抗議するさまざまなプラカードを手に、路上を行進する人たち

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画像説明, 「人殺し」、「正義」、「私たちは安全じゃない」、「ICEはメインから出ていけ」などのプラカードを掲げる人たち(13日、メイン州ビデフォード)
ガラスの扉に「SUSAN COLLINS」と書かれ、連邦議会上院のしるしが掲示されている。その前に複数の制服警官が並び、その横で女性が大きく声を開いて抗議している

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画像説明, コリンズ議員の事務所前で抗議する人たち。警官の隣にいる女性は「ICEを溶かせ」と書かれたプラカードを手にしている

現場の目撃者は

現場で今回の事件を目撃したという人は地元紙ビデフォード・ガゼットに対し、現地時間午前7時20分ごろ、ナンバープレートのない白いスポーツタイプ多目的車(SUV)のライトが点滅している様子と、「緑色のICEベストを着た捜査員が少なくとも2人」いるのを見たと話した。

ビデフォード在住のルーカス・スコット氏は、複数の捜査員が白い乗用車を取り囲みながら大声で叫んでいたと話した。その後、少なくとも4発の銃声が聞こえたという。

別の目撃者はAP通信に対し、殺害された男性は妻と娘とともに近所に住んでいたと語った。

「地面に横たわる夫の遺体を見て、妻が膝をついて崩れ落ちるのを見た」と、メアリー・ヘイズ氏は話した。

「小さなピンクのリュックサックを背負った小さな女の子が、泣いているのを見た。もう二度と父親に会えないので」とも、ヘイズ氏は述べた。

メイン州選出のキング上院議員は、DHSのマリン長官から、男性は捜査員に向かって車を運転しようとした後に射殺されたと聞かされたと明らかにした。

「彼は車の中にいた。車から引きずり出された。長官は、彼が車を『武器化した』のだと、そういう表現を使った。そして、ICE捜査員に撃たれた」とキング議員は述べた。

同議員は、関与した捜査員はボディーカメラを装着していなかったこと、そして当局は致命的な威力行使が必要だったかどうかを調査すると付け加えた。

AP通信によると、キング議員は「調査の目的はまさにそこにある。調査が可能な限り透明で徹底的なものになるよう、私はできる限りのことをするつもりだ」と述べた。

歩道の縁石に向かって赤茶色の筋がついた灰色の車道の上に、女性がしゃがみこんでチョークで「THIS IS BLOOD」と書いている

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画像説明, 射殺現場の路上に女性がチョークで「これは血」と書いた(13日、メイン州ビデフォード)
交差点の角の歩道に、複数の花束が置かれ、その前にピンク色のTシャツとショーツ姿の人がひざまずき、口元を手で押さえている

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画像説明, 射殺現場の角に、花を供える人もいた(13日、メイン州ビデフォード)

今回の事件によって、ICEを管轄するDHSと、マリン長官による指導体制が、あらためて注目されることになった。

前任のクリスティ・ノーム長官が今年3月、ドナルド・トランプ米大統領に解任されたのを受け、マリン氏が後任のDHS長官となった。

ノーム氏の長官解任に先立ち、今年1月にはミネソタ州ミネアポリスで連邦職員によって、ルネー・グッド氏アレックス・プレティ氏がそれぞれ殺害された。

プレッティ氏とグッド氏の殺害は、トランプ政権がミネソタ州をはじめとする複数の州で移民取り締まりを強化すると発表した後に発生した。

今回の射殺事件の現場となったメイン州でも、連邦当局は1月に同様の作戦を開始。「キャッチ・オブ・ザ・デイ(本日の獲物)」作戦と名付けていた。

複数の人権団体が、移民当局の強硬な戦術を理由に、政権を相手取って訴訟を起こしている。