【2026年サッカー男子W杯】 FIFA、アメリカFWバログンの出場停止処分を猶予 トランプ氏が処分の再考求めたか

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サッカー男子ワールドカップ(W杯)北中米大会のノックアウトステージ(決勝トーナメント)1回戦(ラウンド32)アメリカ対ボスニア・ヘルツェゴヴィナの試合で、アメリカ代表FWフォラリン・バログン(25)がレッドカードを受けて1試合の出場停止処分となった。これについて、国際サッカー連盟(FIFA)は5日、処分を1年間猶予すると発表した。ドナルド・トランプ米大統領が、処分を再考するよう介入したとされる。これにより、バログンは6日(日本時間7日)にある決勝トーナメント2回戦のベルギー戦への出場が可能になった。
バログンは今大会ここまで3得点を挙げ、米代表の最多得点者となっている。共催国アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコで1日(日本時間2日)に行われた試合で、ボスニア・ヘルツェゴビナのDFタリク・ムハレモヴィッチに対するファウルで一発レッドカードを受けた。アメリカはこの試合で、2対0で勝利した。
バログンには自動的に1試合の出場停止処分が科された。しかし、FIFAは5日、この処分を1年間猶予すると発表した。FIFAは処分の猶予を認める規定を根拠に挙げているが、それ以外の判断理由は説明していない。
トランプ米大統領は、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、FIFAが「大きな不正を是正した」ことへの謝意を示した。
BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、トランプ氏はバログンの処分をめぐり、2日にFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長に電話をかけたとされる。
ベルギー王立サッカー協会(RBFA)は、FIFAの決定に「驚いている」とし、決定に対し「あらゆる選択肢を検討している」と表明した。
FIFAは声明で、「FIFAの懲戒規定第27条に基づき、試合出場停止処分の執行は1年間の猶予期間にわたり停止される」と説明。
その上で、「フォラリン・バログンが猶予期間中に、同様の性質と重大性を持つ違反行為を再び行った場合、猶予措置は取り消され、処分が執行される。この場合、新たな違反行為に対する追加処分の可能性が妨げられることはない」とした。
CBSは情報筋の話として、トランプ氏はインファンティーノ氏と電話で、出場停止処分について短く話し合ったと報じた。
インファンティーノ氏はトランプ氏に、FIFAの懲戒委員会がこの件を検討すると伝えたとされる。
ホワイトハウスのW杯タスクフォースの責任者アンドリュー・ジュリアーニ氏もインファンティーノ氏と話をしたほか、ハワード・ラトニック商務長官もFIFAと連絡を取り合ったという。
ホワイトハウス報道官や、ラトニック氏、ジュリアーニ氏の広報担当者は、CBSのコメント要請に即座には応じなかった。
インファンティーノ氏と親交のあるトランプ氏は、「正しいことを行い、大きな不正を是正したFIFAに感謝する!」と投稿した。
アメリカ代表FWクリスチャン・プリシッチは、チームが5日にバスで練習場へ向かう途中に、1試合の出場停止処分が1年間猶予されたことを知ったと明らかにし、バログンが「すごく喜んでいた」と述べた。
プリシッチは、「彼(バログン)も、私たちみんなも、すごく笑顔だった。あのファウルは見た目ほどのものではなかったのに、処分が厳しすぎた」と付け加えた。
一方でRBFAは、今大会では、すべてのレッドカードに対して自動的に出場停止処分が科されていたと指摘。FIFAの今回の決定は、5月にFIFAが全参加国に対して「明確に再確認」した大会規定と「完全に矛盾」していると主張した。
RBFAはさらに、「今大会および今後のFIFAワールドカップにおいて、すべての参加チームの正当な権利を守り、サッカーにおけるフェアプレーの基本原則を保護するため、RBFAはあらゆる選択肢を検討している」とした。
米国内の反応
マルコ・ルビオ米国務長官も、判定の見直しを求めていた一人だ。
記者会見で米代表のW杯での戦いぶりについて問われたルビオ氏は、「素晴らしかった。あのレッドカードでひどい目にあった」と述べた。
「ああいったことについては、異議申し立ての手続きを設ける必要がある。おそらく今からでは遅すぎるが」とも、ルビオ氏は述べた。
米国内では、主力選手の一人に出されたレッドカードをめぐり、ファンの間で大きな不満の声が上がっていた。多くのメディアは、判定そのものや、レッドカードを受けると退場を余儀なくされ、さらには次戦に出場できなくなるというサッカーの規則運用に疑問を呈している。
バログンは今大会、米代表チームで重要な役割を担ってきた。マウリシオ・ポチェッティーノ監督率いる同チームがパラグアイに4対1で勝利した初戦では、2得点を挙げた。
何があったのか
サッカーの英プレミアリーグの名門チーム、アーセナルでプレー経験のあるバログンは、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ戦でも先制点を挙げた。しかし後半19分、ムハレモヴィッチとの競り合いで着地した際に相手の右足首を踏みつけるかたちになった。
ブラジル人のラファエル・クラウス主審がオンフィールドレビューを行ない、これを危険なプレーと判断して一発退場を命じた。
FIFAの規定では、レッドカードは「次戦の出場停止を自動的に伴う」ものとされている。ただ、FIFAが「追加の出場停止処分やそのほかの懲戒措置を科すことができる」とも定められている。
今大会のグループステージでは、カタールのMFアシム・マディボが、カナダのMFイスマエル・コネに対するファウルで一発退場となり、1試合の出場停止処分を受けた。しかしその後、コネが左足の脛骨などを骨折していたことが分かり、5試合の出場停止に処分が引き上げられた。
一方で、FIFAがW杯の関連試合における出場停止処分を猶予した例もある。
ポルトガル代表の主将クリスティアーノ・ロナウド(41)は、昨年11月に行われたW杯欧州予選のアイルランド戦でレッドカードを受けたが、本大会初戦への出場が認められた。
ロナウドは予選で、ポルトガルのDFダラ・オシェイの背中に肘打ちをしたとして退場処分となり、3試合の出場停止処分が科された。この試合で、ポルトガルは0対2で敗れた。
ロナウドはその後のアルメニア戦を欠場したが、FIFAは11月25日に残りの処分執行を1年間猶予すると発表。ロナウドはW杯の初戦と第2戦に出場できることになった。
「猶予をどう判断したのかが問題」――デイル・ジョンソン・サッカー問題担当編集委員
バログンはボスニア・ヘルツェゴビナ戦で、今大会でレッドカードを受けた12人目の選手となった。
そして、大会中に出場停止処分を受けずに済む最初の選手となる。
バログンに提示されたレッドカードを事実上取り消すというFIFAの判断は、注目すべき点だ。
英プレミアリーグとは異なり、W杯ではレッドカードに対する異議申し立ての手続きは存在しない。これは、審判の権威を守るための仕組みだ。
多くの人は、クリスティアーノ・ロナウドがW杯予選での乱暴な行為により退場処分となったにもかかわらず、3試合の出場停止のうち1試合分しか処分を受けていないことを指摘するだろう。
それはもっともな指摘だ。だが、大会開幕前にFIFAが寛大な対応を示した例は数多くある。
しかし、今回のケースは異なる。これはW杯の本大会で出されたレッドカードだ。
共催国のスター選手が突如として、重要な決勝トーナメントの試合に出場可能となった。アメリカでは、処分を覆そうとするメディアの熱気が高まっていた。
つまり、今問われるべきは、処分を猶予するという決定が、どのように下されたのかという点だ。FIFAはその詳細を明らかにしていない。
トランプ氏はソーシャルメディアで、「大きな不正」が覆されたとして、FIFAに感謝する内容を投稿した。
ホワイトハウスとFIFAの間で緊密な関係が築かれてきたことを考えると、共催国に有利な、極めて異例な決定に対して疑問の声が上がることは避けられない。
一方で、カタールのマディボの場合は、カナダのコネに対するファウルで退場処分となった後、相手が左足を骨折していたことが明らかになった。
不運な出来事のように見えたが、それでもマディボには結果的に、5試合の出場停止処分が科された。
バログンをめぐる今回の決定からは、FIFAが状況に応じて決めているかのような印象を受ける。





