トランプ氏の警備体制、ホワイトハウスが見直しへ 夕食会での発砲事件受け

画像提供, Getty Images
バーンド・デブスマン・ジュニア・米ホワイトハウス担当記者
アメリカのホワイトハウス記者協会主催の夕食会の会場付近で発砲事件が発生したのを受け、ドナルド・トランプ大統領の警備体制を見直す会議をホワイトハウスが開催する。高官がBBCに明らかにした。
この事件では、銃器を持ったコール・トーマス・アレン被告(31)が、トランプ氏や閣僚らを含む2000人以上がいた宴会場の近くまで到達した。そのためシークレットサービス(要人警護隊)には批判が向けられているが、トランプ氏はシークレットサービスを擁護している。
現場では当時、当局者らがアレン被告を取り押さえる前に短い銃撃戦が発生。連邦職員1人が負傷した。
トランプ氏は今年、アメリカ、カナダ、メキシコで共同開催する国際サッカー連盟(FIFA)のワールドカップ(W杯)や、7月のアメリカ建国250周年記念行事など、いくつかの注目度の高いイベントに出席する予定となっている。
ホワイトハウス高官がBBCに出した声明によると、トランプ氏はシークレットサービスについて、被告を制圧して同氏や側近らを安全な場所へ誘導するなど、「素晴らしい仕事をしたと、個人的には考えている」。負傷した職員は当時、防弾ベストを着用しており、完全に回復する見込みだという。
ただ、そうした信頼とは裏腹に、大統領が関係する主要イベントの「手順や慣行について協議する」ため、ホワイトハウスのスージー・ワイルズ首席補佐官が今週前半、シークレットサービスと国土安全保障省の実務スタッフや代表者らとの会合を開く。これは、2年間で3回目となった、トランプ氏暗殺未遂とみられる事件の発生を受けてのことだという。
この高官は、「会合では、土曜日(25日)のたくらみを阻止する上で機能したプロセスや手順について検討する。同時に、今後数カ月間にトランプ大統領の出席が予定されている多くの主要イベントでの安全確保を目的に、関係するすべての部門が可能な限りの措置を講じていることを確認するための、追加的な選択肢も模索する」と付け加えた。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官も27日、記者団に対し、シークレットサービスの対応を擁護。被告が宴会場に入るのを阻止し、トランプ氏や高官らを安全な場所へ誘導するという「職務を全うした」とした。
一方で、レヴィット氏は警備手順の変更もあり得ると付け加えた。変更については、襲撃予備軍が内容を把握し、回避策を講じるのを防ぐため、公表されない見通し。
レヴィット氏はさらに、トランプ氏の今後のイベント出席は検討されることになるとしつつ、暴力行為によって「私たちのアメリカの生活様式」が変わってほしくないと、トランプ氏は考えていると説明した。
レヴィット氏はまた、「大統領が参加を希望しているし、参加するはずの、わくわくするような行事がこれからたくさん控えている」、「その点において、大統領の決意は揺るがない」と述べた。
これとは別に、連邦議会上院のチャック・グラスリー議長代行は、シークレットサービスの指導部と会合を持ち、今回の事件や警備手順について協議した。
会合後、グラスリー氏は記者団に、シークレットサービスには「優れた計画」があり、「長年使われてきた」今回の会場についての理解もあると話した。
また、事件の前に警備上の不備があったことを「示すものは何もない」と述べた。
現在92歳のグラスリー氏は、大統領継承順位がJ・D・ヴァンス副大統領、マイク・ジョンソン下院議長に次ぐ3位。トランプ氏、ヴァンス氏、ジョンソン氏は全員、記者協会の夕食会に出席していた。グラスリー氏は上院司法委員会の委員長も務めている。
夕食会にはマルコ・ルビオ国務長官、スコット・ベッセント財務長官、ピート・ヘグセス国防長官なども出席。大統領継承順位上位7人のうち6人が一堂に会していた。
警備態勢への懸念
アメリカのシークレットサービスは、大統領、副大統領、外国の国家元首の警護に加え、国家安全保障上のリスクに関わるとされる重要行事で警備を担当している。
今回のワシントン・ヒルトン・ホテルでの発砲事件を受け、シークレットサービスが十分な警備を提供していたのか、懸念する声が出ている。
夕食会の出席者やホテルに入場する人々は、身分証明書の提示を求められなかった。夕食会のチケットにはテーブル番号は記されていたが、名前は書かれていなかった。
出席者が金属探知機を備えた警備検査場を通ったのは1回きりで、宴会場の1階上に設置されたゲートをくぐるだけだった。被告は、宴会場のドアへと続く階段の最上部付近で取り押さえられた。
シークレットサービスのアンソニー・ググリエミ報道官は声明で、夕食会における警護体制は「有効だった」とした。一方で、「今後のイベントのための重要な教訓は、あらゆるレベルで強化が求められるということだ」とした。
また、「事態が流動的で、脅威が高まっている現状の環境では、警備上のあらゆる決定がインテリジェンスに基づいて行われている」と説明。「何が今回の事件の引き金になったのか、特定作業を重点的に進めている。その背景にある要因は完全に把握している」とした。
アメリカンフットボールのスーパーボウルや、連邦議会での一般教書演説などとは異なり、記者協会の夕食会は、厳重な警備措置が取られる「国家特別警備イベント」には正式指定されていない。
トランプ氏は今後、6月開幕のサッカーW杯の関連イベントに加え、アメリカ建国250周年を祝う数々の注目度の高い集まりに出席する見込みだ。それには、ホワイトハウスの芝生で行われる総合格闘技アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)の試合も含まれる。
25日の発砲事件から約2時間後にホワイトハウスで開かれた記者会見で、トランプ氏は、同様のイベントには危険が潜んでいる可能性があると発言。
「これほど危険な職業がほかにあるとは思えない」と述べていた。










