米軍の中東トップ、空母リンカーン乗組員のメンタルヘルスは「最優先事項」

海に浮かぶ空母

画像提供, Reuters

画像説明, アメリカ海軍のニミッツ級空母「エイブラハム・リンカーン」(資料写真)
Published
この記事は約 3 分で読めます

ブランドン・ドレノン記者(米首都ワシントン)

中東で活動する米軍の最高司令官は16日、長期任務に就いている空母エイブラハム・リンカーン艦内での困難な状況に関する報道を受け、同艦の乗組員のメンタルヘルス(こころの健康)は「最優先事項」だと述べた。

米中央軍(CENTCOM)の司令官で、イランでの戦争を主導しているブラッド・クーパー海軍大将は16日に同艦を視察。その後、現役の米空母11隻の中で「精神衛生上の問題に関する症例数が最も少ない艦の一つ」だと述べた。

一方で同司令官は、長期にわたる海上勤務は「他に類を見ないほど困難で過酷」なものだと認めた。

この空母は昨年11月に米カリフォルニア州を出港し、南シナ海に向かった後、今年1月に中東に到着。イランの港湾封鎖を含む、アメリカによる対イラン戦争を支援してきた。現在、240日以上という記録的な連続航海期間を記録している。

米海軍の制服を着た男性が記者会見している

画像提供, EPA/Shutterstock

画像説明, ブラッド・クーパー米中央軍司令官(写真は2026年3月、米フロリダ州)

報道によると、空母エイブラハム・リンカーンの後任として空母ジョージ・ワシントンが中東に向かっており、約1週間後に到着予定。

空母エイブラハム・リンカーンの乗組員の家族からは、艦内の精神衛生状態について懸念の声が上がっている。また、一部の乗組員が海に飛び込もうとしたとの報道も出ている。

クーパー司令官は16日の声明で、「私は以前から、メンタルヘルスは個人の健康のもう一つの側面であり、身体の健康や精神的な健康と同様に、我々の注意を必要とするものだと信じてきた」と述べた。

「メンタルヘルスと乗組員のレジリエンスをリーダーシップの最優先事項として掲げたことについて(中略)空母リンカーンの指導部を称賛する」

米海軍は先週、5000人が乗艦している空母リンカーンについて、物資供給の課題を認めたものの、メンタルヘルス危機については否定した。

軍事紙ミリタリー・タイムズとスターズ・アンド・ストライプスは先週、艦内の状況は劣悪な衛生状態、寄港地の少なさ、配管の故障、生鮮食品の不足など多岐に渡っていると報じた。

これを受け、連邦上院軍事委員会の民主党議員13人は15日、ピート・ヘグセス国防長官宛てに書簡を送り、長期にわたる配備を批判し、説明を求めた。

ヘグセス氏は13日、空母リンカーンに関する報道について「完全に誤って伝えられている」と述べていた。ドナルド・トランプ大統領は14日、乗組員があまりに長く海上にいるという指摘を否定。記者団に対し、「全く長くなんかない」と語った。

当初5月に終了予定だった今回の配備は、度々延長されている。乗組員は、200日以上連続で寄港せずに海上にとどまっていると報じられている。

かつて陸軍に所属していたメリーランド州のウェス・ムーア知事(民主党)は16日、民放CNNに対し、報道されている状況に「胸が張り裂けるような思いだ」とし、共和党のトランプ大統領が「もっと思いやりを持つべきだ」と述べた。