ロシアがイギリスの重要インフラや民主主義を「執拗に攻撃」 英情報トップが警告へ

白い建物の近くでロシア国旗がはためいている。近くには木もある

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フランク・ガードナー安全保障担当編集委員

ロシアがイギリスの重要インフラを「執拗(しつよう)に攻撃の対象」にしており、イギリスは「重大な局面」を迎えている――。英最大の情報諜報機関が、そんな警告を発する予定となっている。

政府通信本部(GCHQ)のアン・キースト=バトラー局長は、27日に予定されている就任後の初の公開演説で、イギリスが直面する脅威と、必要な措置について述べる。

演説原稿の抜粋によると、キースト=バトラー氏はロシアを特別に取り上げ、「重要インフラ、民主的プロセス、サプライチェーン、国民の信頼を攻撃の対象にしている」と説明する。

ロシアは、イギリス国内での一連のスパイ工作の首謀者とされる。最近では、イギリスや他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、非公式に「ハイブリッド戦争」を仕掛けていると非難されている。クレムリン(ロシア大統領府)はこれらの疑惑を否定している。

キースト=バトラー氏は演説で、サイバー攻撃を撃退し、「無謀な破壊工作や暗殺の試み」に対抗するため、GCHQが努力を続けていると述べる。

さらに、「こうした攻撃と混乱に直面しているGCHQは、ロシアの脅威を弱体化し軽減するため、情報機関や防衛機関のパートナーと共にたゆまぬ努力を続けている」と訴える。

クレムリンは、2006年にロンドンのホテルで起きた、元KGB職員アレクサンドル・リトヴィネンコ氏の殺害事件で、紅茶に放射性物質ポロニウムを混入させて同氏を殺したと非難されている。クレムリンは責任を否定している。

2018年にソールズベリーであった、元ロシア軍情報将校セルゲイ・スクリパリ氏の暗殺未遂事件でも、同氏の自宅玄関のドアノブに致死性の神経剤ノビチョクを塗布して同氏を殺害しようとしたと、クレムリンは非難されている。

さらに最近では、2022年にロシアがウクライナを全面侵攻し、イギリスがウクライナ支援を続けている状況で、ロシアは西側諸国に対して「ハイブリッド戦争」を仕掛けていると非難されている。

キースト=バトラー氏は演説で、「私たちが揺るぎなくウクライナを支援し続ける中、(ウラジーミル・)プーチン(ロシア大統領)は戦場で後退している」と述べる。

BBCヴェリファイ(検証チーム)の分析では、イギリスの領海に侵入する船舶を拿捕(だほ)するとキア・スターマー首相が今年になって警告を発して以降、ロシアのいいわゆる「影の艦隊」に属する数百隻が英領海に侵入しているとみられる。

サイバーセキュリティーについても警告

キースト=バトラー氏はまた、中国は今や科学技術の超大国であり、「情報、サイバー、軍事の各機関」が高度な能力を有していると、演説で指摘する。

人工知能(AI)やテクノロジーの世界的な進歩に関しては、イギリスおよび同盟関係の各国が優位に立ち続けられる時間は減っているとし、こうした状況を、「足元の地盤」が揺らいでいると述べる。

キースト=バトラー氏は、サイバーセキュリティーの進歩に遅れを取らないためには、テクノロジー業界、学界、さらには一般市民との連携が鍵になるとの考えも示す。

GCHQは、フィッシング攻撃やランサムウェアを使って脆弱(ぜいじゃく)な英企業を攻撃する組織的な犯罪ネットワークとの戦いに、多くの時間を費やしている。

キースト=バトラー氏は演説で、「役員室からリビングルーム(居間)まで」というフレーズを用い、誰もが自身のサイバーセキュリティーに目を向けるよう呼びかける。

そして、「家庭においては、今すぐパスワードをパスキーに切り替えるという重要な措置を講じることだ。社会全体においては、新しい技術にセキュリティーを組み込み、サプライチェーンを保護し、サイバーセキュリティーの確保を10倍緊急性の高いものにすることだ」と訴えかける。

この演説は、GCHQが戦時中に本拠地としていたブレッチリー・パークで行われる予定。

GCHQはイギリスの三つの情報機関で規模が最も大きい。他の二つは情報局保安部(MI5)と対外情報部(MI6)。

チェルトナムを拠点とし、「ドーナツ」と呼ばれる巨大な円形の建物に入っている。サイバーセキュリティーと信号情報(電子信号をめぐる情報活動)を主な任務としている。

最先端技術を重点的に取り扱っており、国家情報予算の大部分を使っている。