イエメンのフーシ派、紅海沿岸の港湾都市モカを制圧との報道

画像提供, AL MASIRAH/Handout via REUTERS
デイヴィッド・グリッテン記者
イエメンの反政府勢力フーシ派は10日までに、紅海沿岸の戦略的に重要な港湾都市モカを占領した。軍事筋や目撃者らが語った。モカは、サウジアラビアが支援するイエメン政府側の武装勢力が掌握していた。これにより、イランが支援するフーシ派は、アジアとヨーロッパを結ぶ交易路の南の玄関口であるバブ・エル・マンデブ海峡まで、わずか75キロに迫った。
紅海とアデン湾とを結ぶバブ・エル・マンデブ海峡は、イエメン南西部と「アフリカの角」の間に位置し、幅は約32キロメートル。紅海はスエズ運河によって地中海ともつながっている。
フーシ派は国際海運に脅威を与えるつもりはないと述べたものの、サウジアラビアの船舶を標的にすると改めて脅した。米・イスラエルとイランの戦争によってペルシャ湾のホルムズ海峡が事実上、閉鎖されて以来、サウジアラビアは石油輸出を紅海側のルートに依存している。
フーシ派、イエメン政府、サウジアラビア間の紛争の激化は、原油価格の高騰の一因となっている。
報道によると、フーシ派が1週間前に南西部で攻勢を開始して以来、数百人が死亡し、数千人が避難を余儀なくされている。
サウジアラビア主導のアラブ連合軍は、イエメン政府軍を支援するため、同国西部のフーシ派支配地域に対して空爆を実施した。一方フーシ派は、サウジアラビア南部の都市や石油施設に対し、ミサイルやドローンによる攻撃を行った。

モカの住民によると、9日夜に政府軍との激しい衝突の後、フーシ派戦闘員が市内に侵入し、多くの家族が家を追われたという。
ある男性はBBCアラビア語の番組「中東ライフライン」で、「占拠は予告なしに行われた。地域全体にパニックが広がり、負傷者が路上に横たわり、誰も助けてくれないという痛ましい光景の中、人々は逃げ惑った」と語った。
別の男性によると、10日にはフーシ派の戦闘員がモカの街路をパトロールしており、政府機関や商店は閉鎖されていたという。
「現時点では、アンサール・アッラー(フーシ派の正式名称)が何をするのか分からない」、「誰もが身の安全を心配している」と、この男性は話した。
多くのモカの避難民は、国際的に承認されたイエメン政府と大統領指導評議会が拠点を置くアデンを目指し、東へ向かっている。
ある女性はBBCアラビア語に、「私たちは子供たちと一緒に逃げ出し、ひたすら走り続けた。寝具も家も何も持っていない。すべてが1時間以内に破壊されてしまった。事前に逃げる機会もなければ、警告さえなかった」と語った。
「私たちは身を守る手段を持たない女性で、罪のない子供たちを連れている」
モカがフーシ派に制圧されたという確定情報は、現時点では出ていない。
しかし、フーシ派が運営するイエメンのテレビ局「アルマシラ」によると、同グループの最高政治評議会は10日の声明で、「敵のサウジアラビア勢を排除した後、西海岸地区での衝突は停止した」と述べた。
親政府派組織「国民抵抗軍」の指導者であるタレク・サラハ氏も、西海岸にある司令部を「安全な場所」に移したと述べた。
サラハ氏はまた、イランが計画・支援したフーシ派の攻勢に直面し、自軍は「ここ数日間で大きな犠牲を払った」と付け加えた。
イエメン軍筋はAFP通信に対し、フーシ派戦闘員がロケット弾の集中砲火とボートを使った地上攻撃の後、モカの北西約80キロに位置する紅海のズカル島も制圧したと語った。
イエメンの大統領指導評議会のラシャード・アル・アリーミー議長(国家元首に相当)は、アラブ諸国をはじめとする各国に対し、イエメン沿岸部の保護と国家統制の回復を支援するよう要請した。
一方で、フーシ派の最高政治評議会は、「イエメンの主権と領海を守る権利」を主張すると同時に、「紅海の航行は安全であり続ける」と国際社会に保証した。
しかし、フーシ派が運営する人道支援活動調整センターは、サウジアラビアの船舶に対する海上封鎖は引き続き有効だと強調した。
フーシ派の軍事広報を担当するヤヒヤ・サレア氏は、サウジアラビア軍の戦闘機が過去24時間にタイズ、フダイダ、マアリブ、ジャウフの西部各県で合わせて64回の空爆を実施したと述べた。
これに対し、サウジアラビア軍はすぐにコメントを出していない。
イエメンで戦闘を繰り広げるサウジアラビア主導のアラブ諸国連合軍の報道官は9日夜、フーシ派がサウジアラビア南西部のハミス・ムシャイト、アブハ、ジャザンの各都市に対して行った一連のミサイルおよびドローン攻撃に対し、報復措置を取ると述べていた。
サウジアラビア当局によると、フーシ派は8日、サウジアラビア南部に向けて数十機のドローンとミサイルを発射した。これにより民間人73人が負傷したほか、複数の石油施設で火災が発生し、一時的に操業を停止した。
この攻撃についてフーシ派は、それ以前の数日間にサウジアラビア軍から受けた数十回の空爆への報復だと述べた。7日にはジャウフ県ハズムの町にある刑務所が空爆され、少なくとも23人の民間人が死亡したと、フーシ派は主張している。
イエメンでは、2014年にフーシ派が首都サヌアから政府を追放したことを機に内戦が始まり、国内が荒廃した。内戦は、サウジアラビア主導のアラブ連合軍が、政府による統治を回復しようと介入した2015年に激化した。
フーシ派とサウジアラビアとの紛争は、2022年に非公式の停戦が発効して以来、4年にわたって沈静化していたが、今年7月にフーシ派がサウジアラビアに対する「海上封鎖」を発表し、紅海のサウジアラビアの空港、石油施設、タンカーへのミサイル攻撃やドローン攻撃を開始したことで崩壊し始めた。
フーシ派は、サヌアの空港がサウジアラビアに空爆されたと主張し、報復措置として海上封鎖を開始した。サウジアラビアの支援を受けるイエメン政府は、イランの航空機が許可なくサヌアに着陸するのを阻止するためだったとして、空港への攻撃を認めている。












