【サッカーW杯】ブラジル、ベスト8進出 メキシコを2-0で撃破

パトリック・ジェニングス BBCスポーツ(サマラ・アリーナで取材中)

Brazil celebrate against Mexico

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サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会でブラジルは2日、サマラでの決勝トーナメント1回戦でメキシコと対戦し、2-0で勝利した。FWネイマールは1点を挙げたほか、後半には重要な役割も演じ、ブラジルのメキシコ戦勝利とW杯7大会連続の準々決勝進出に貢献した。

試合の何もかもがブラジルの思い通りになったわけではない。特に前半はメキシコに試合を支配された。しかし、5度のW杯優勝経験を誇るブラジルは、徐々に調子を上げていった。

1994年以来の全W杯に出場してきたメキシコは、今大会もまたベスト16で敗退することになった。

メキシコは試合序盤に多くの得点機を獲得し、前半はブラジルを大いに苛立たせた。だが、ネイマールがチームを活性化しようと動き始めた後半、大きな転機が起きた。

ネイマールがゴールに走り、巧みなヒールパスを送ってMFウィリアンにスペースを作る。英プレミアリーグ・チェルシーで活躍するウィリアンがペナルティエリアに侵入するには、2度のボールタッチで十分だった。ウィリアンはペナルティエリア左から世界最高額選手とも言われるネイマールにボールを送り、ネイマールはボールをゴールに流し込んで先制した。

ブラジルがW杯で挙げた227番目のゴールとなったこの得点で、ブラジルはこれまで史上最多得点の記録を持っていたドイツを上回り、W杯で最も得点しているチームとなった。

この直前には、メキシコのMFヘスス・ガジャルドが絶好のチャンスをものにできなかった。ガジャルドはFWイルビング・ロサノが近くにいたにもかかわらずシュートを選択したが、ボールはクロスバーの上を大きく越えていった。

後半のメキシコは、前半の見事な立ち上がりを思い出せないような苦戦を強いられた。ただし、リードを許してから間もなくFWカルロス・ベラが放った後半最初のシュートは、ブラジルのGKアリソンが防がなくてはならなかった。

メキシコは試合終盤に再び反撃したが、ブラジルはストイックにきっちり守り切った。

対するメキシコは、ネイマールのシュートをGKギジェルモ・オチョアのつま先が防いだが、そのこぼれ球をブラジルFWロベルト・フィルミーノが押し込み、リードを2点に広げた。

ブラジルは6日、カザンでの準々決勝でベルギーと対戦する。

ただしブラジルはベルギー戦を、レアル・マドリード所属のMFカゼミロ抜きで戦うことになる。カゼミロはメキシコ戦で今大会2枚目のイエローカードを受け、次の試合に出場停止となった。

恥ずかしいネイマール

ネイマールは2018年ロシアW杯で最多となる23回の反則を受けている

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試合への貢献度からすれば、ネイマールはひたすら評価だけされてしかるべきなのだが、実際には違う理由で注目を集めてしまった。試合終盤にMFミゲル・ラジュンから足を踏まれた際、過剰に反応して見せたのだ。

ラジュンはネイマールの足の間にあるボールを奪おうとした際、ネイマールのくるぶしを踏みつけたように見えた。

ピッチに倒れ込んでいたネイマールは痛みにもだえているように見えたが、その後は何の問題もなかったかのように立ち上がった。

元イングランド代表FWのディオン・ダブリン氏はBBCラジオ5ライブで、「ネイマールには恥ずかしくなった」と語った。

「ネイマールは世界最高の選手の1人だが、地面を転げまわるのは、まったく理解できない。おいおい若いの、君はもっとましな選手のはずだ。さっさと試合に戻れ」

ブラジル、またもや任務完了

ネイマールはW杯通算でシュートを38度放ち6得点している

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今大会のブラジル代表は、過去の偉大な代表チームを真似しようとしている。4年前に自国で開催したW杯の準決勝で、ドイツに7-1と叩きのめされた心の痛みは考えないようにして。

チッチ監督率いるチームは、グループステージでは本領を発揮できなかった。スイスとは1-1で引き分け、コスタリカには後半アディショナルタイムに挙げた2つのゴールでなんとか2-0の勝利を収めた。今回の試合でも、メキシコ相手に真価を発揮し始めたのは後半だけだった。

もしメキシコのキーパーがハーフタイム後にいくつかの素晴らしいセーブを見せたオチョアでなかったら、ブラジルは88分よりずっと前に本調子となっていただろう。

ネイマールによる2本のシュートを除けば、ベルギーのスタンダール・リエージュ所属のオチョアは、MFフィリペ・コウチーニョとMFパウリーニョがそれぞれ放った力強いシュートをきっちり防いだ。最も素晴らしいセーブは、ゴール上部の角に入りそうだったウィリアンのシュートを止めたものだった。

オチョアの好セーブはメキシコに試合後半で同点に追いつくチャンスを残していたが、ブラジルはどうやって決勝トーナメントの試合を勝ち残るかを知っているチームとしての姿を見せた。

メキシコが全てを投げ出して前に出てくる中、ブラジルはボールの裏に隠れ、カウンター攻撃の時だけ冷静に飛び出す戦法を取り、リードを確実に守った。

ブラジルは1990年イタリア大会をベスト16で終えたのを最後に、それ以降は毎回、準々決勝に進出している。

メキシコにはほかにも心痛

ギジェルモ・オチョアは今大会の4試合で6失点を許した

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メキシコには国家的な執念がある。W杯で4試合より多く試合を行うことだ。メキシコは過去32年間、それに失敗している。

W杯で5試合以上を戦えたのは、自国開催の1986年メキシコW杯のみだ。グループステージで3試合を戦った後ベスト16でブルガリアに勝利し、5試合目となる準々決勝では西ドイツに敗れた。

メキシコがW杯の決勝トーナメントで勝利したのは、今もこの1986年大会ブルガリア戦だけに留まっている。

39歳のDFラファエル・マルケスは、当時の試合を覚えているかもしれない。マルケスはサマラでのブラジル戦、5回目のW杯参加となる今大会で初の先発出場を果たした。マルケスはハーフタイムに交代するまで、主将としてプレイした。

マルケスの影響だけではないだろうが、メキシコは試合前半、最高のサッカーを見せた。良い得点機を多く作り出したものの、得点はできなかった。

ベラはエクトル・エレラ監督にペナルティエリアでの仕事を期待して選ばれた。しかしベラはボールタッチが多すぎた上、シュートも防がれた。エースFWのハビエル・エルナンデスも、ロサノが上げたクロスに合わせられなかった。

後半、ガジャルドは左ウィングを駆け上がるロサノを使わず自ら切り込んだ。結局、これが最も高い代償を伴うミスとなった。ブラジルはこの数分後に得点した。

メキシコは1994年以来全てのW杯でベスト16に進出している。同じ記録を達成しているのはブラジルだけだ。ただ、メキシコは全ての大会をベスト16で敗退している。

そして今大会でもまたしても、せっかくのチャンスを逃してしまった。

メキシコは初戦、ドイツを1-0で破り、大会を素晴らしい形で始めた。その後も韓国を2-0で破ったが、スウェーデンには0-3で敗北。決勝トーナメントでブラジルと対戦することになった。

今回の試合の結果で、メキシコはブラジルとW杯で5度対戦して無得点となった。

マン・オブ・ザ・マッチ――ネイマール(ブラジル)

BBCスポーツ・プレイヤー・レイター(視聴者による格付け)ではこの試合に出場した選手で最低評価を受けたものの、ネイマールはその自由自在に危機を引き起こす能力を再び我々に思い出させた。ネイマールの貢献はブラジルの勝利に重要だった

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ブラジルに好材料――統計から

  • ブラジルはW杯で北米、中米、カリブの国々と対戦した9試合で8勝している。負けたのは1度だけ
  • 1986年にベスト8に入って以降、メキシコは決勝トーナメント初戦で7回敗れており、決勝トーナメント初戦での敗退数は他国に2倍以上をつけて最も多い
  • ブラジルはここ15試合、あらゆる大会で負けていない。許した失点も3点だけだ
  • フィルミーノは試合出場から2分4秒で得点した。2018年ロシアW杯で交代選手が挙げた得点としては、2番目に早い記録
  • ネイマールはブラジル代表として出場した最近19試合で20ゴールに関与している。11点を自ら決め、アシストも9度記録した
  • フィルミーノはこの試合、ブラジル代表として7点目を決めた。フィルミーノが決めた7得点は全て、その試合で最後に生まれた得点となっている
  • 2018年ロシアW杯で、ネイマールは最も多くのシュートを打ち(23本)、最も多くのシュートがゴールの枠内を捉え(12本)、最も多くの得点機を演出した(16回)選手となっている