アメリカがカナダ製品の禁輸措置を発表、報復関税への対応 アルコール飲料など

トランプ氏とカーニー氏が並んで立っている。トランプ氏は遠くの方を見ており、カーニー氏はトランプ氏の顔を凝視している。周囲にはアメリカ国旗とカナダ国旗が並べらている

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画像説明, 2025年10月にホワイトハウスを訪問したカナダのカーニー首相(左)とアメリカのトランプ大統領
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オズモンド・チア・ビジネス記者、ナディーン・ユーシフ・カナダ担当主任記者

アメリカは8日、カナダがアメリカ製品に対する報復関税を発効するのに伴い、アルコール飲料、乳製品、自動二輪車など、多数のカナダ製品の輸入を禁止すると発表した。

ドナルド・トランプ米大統領はこの日、一連の大統領令に署名し、カナダがアメリカを「差別」していると主張するとともに、9月29日から施行される輸入禁止措置の概要を明らかにした。

これに先立ちカナダのマーク・カーニー首相は同日、ビデオ演説の中で、最大の貿易相手国であるアメリカから離れる方向へ舵を切ることは「代償を伴うことになる」と述べた。

両国の当局者は共に貿易協定の締結を望んでいると述べているが、8月下旬に交渉が決裂して以来、新しい協議は予定されていない。

BBCはカーニー氏の事務所にコメントを求めた。

ホワイトハウスによる新しい制裁措置に至るまで、アメリカとカナダは数カ月にわたり貿易戦争を続けてきた。両国は歴史的に緊密な同盟関係にあり、互いに重要なビジネスパートナーでもある。

アメリカはカナダにとって最大の貿易相手国で、カナダの総輸出額の3分の2以上を占めている。

一方、カナダはアメリカにとってメキシコに次ぐ2番目の貿易相手国だが、輸出品目は対メキシコよりもはるかに多様だ。

両国の企業はこの貿易戦争の影響を懸念している。その多くは、物価の上昇と顧客の減少を予想している。

ホワイトハウスは先月、ラウンドを重ねた末に通商協議が決裂した後、200億米ドル(約280億カナダドル、約3兆2000億円)相当のカナダ製品に50%の関税を課した。

この関税は、カナダの家具産業やワイン産業、スポーツ用品・釣り具業界などを含む様々な分野に影響を与えた。

カナダはこれに対し、鉄鋼、衣料品、家具などのアメリカ製品に同額の報復関税を課すと発表。この報復関税は8日深夜過ぎに発効した。

ホワイトハウスは8日に新しく輸入制限を発表した際、カナダはアメリカ製品の流通を制限する一方で、他国からの製品には同様の措置を取らないことで、アメリカ企業を「差別」していると述べた。

トランプ氏は7日にも、貿易制限を追加すると示唆。カナダの航空機大手ボンバルディア(本社・モントリオール)に対し、製造拠点をアメリカに移転しない限り、同国で機体を販売できなくなると警告した。

トランプ大統領がどのようにしてボンバルディアのアメリカ国内事業を阻止するつもりなのかは、明らかになっていない。同社は、米カンザス州ですでに特殊任務向け軍用機を製造する工場を経営し、アメリカ人労働者3500人を雇用している。ほかにも、テキサス州、アリゾナ州、フロリダ州、コネティカット州、イリノイ州、デラウェア州、カリフォルニア州、首都ワシントン、ニュージャージー州にも拠点を構えている。

トランプ氏は長年、関税がアメリカと他国との貿易不均衡を是正するのに役立つと信じてきた。しかし、その広範な関税政策は、アメリカの伝統的な同盟国の多くを怒らせている。

カナダでは、アルコール飲料などのアメリカ製品に対する大規模な不買運動も展開されており、トランプ氏が昨年、世界的な関税政策を開始して以来、一部の店舗からアルコール飲料が姿を消している。

シンガポールのシンクタンク、ヒンリッチ財団の貿易政策部門責任者を務めるデボラ・エルムズ氏は、今回の禁輸措置は、アメリカを顧客とするカナダ企業に「大きな」影響を与える可能性があると説明。一方で、暫定試算では影響を受ける製品は約10億ドル相当と、「さほど大きな影響はない」とされていると述べた。

エルムズ氏によると、カナダは「当面は現状維持」とし、アメリカの最新の動きを考慮して企業支援策を調整する可能性が高いという。

「それよりも重要なのは、両者が再び話し合いの場に着くために何が必要かという問題だ。例えば、こうした声明の表現は、交渉のテーブルに着くための助けにはならない」と、エルムズ氏は付け加えた。

「アメリカ」というサインの下、赤ワインのボトルが並ぶ棚に、地元産を探すよう促すちらしが掲示されている

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画像説明, カナダ人の中には、酒類をはじめアメリカ製品の大規模なボイコットを主導する者もいる。この店舗ではアメリカ産のワインが並ぶ棚に「代わりに地元産を探そう!」と掲示されている

ホワイトハウスによると、輸入が禁止されるカナダ品には以下が含まれる。

  • ホエイなどの乳製品
  • サトウキビ糖蜜
  • ノンアルコールビール
  • 各種ワイン、ラム酒、ウォッカ
  • 麦芽から作られたビール
  • 自動二輪車(原動機付自転車を含む)

トランプ政権はまた、カナダ製品に対する関税も発表した。対象となる製品には以下が含まれる。

  • 様々な種類のチーズ
  • 未加工の皮および毛皮
  • 一部の家具やマットレス
  • アルミニウムや鉄など一部の金属
  • モーターボート
  • ゴルフカート
  • 釣りざおの部品と付属品
  • スイッチボード

カーニー氏は8日、カナダの報復関税が発効したことを受け、「行動には必ずコストがかかる。しかし、何もしないことのコストに比べれば、そのコストははるかに小さい」と述べた。

アメリカとカナダの緊張関係は、関税問題にとどまらず、さらに深刻化している。

トランプ大統領は8月、カナダとの国境にあるオンタリオ湖の名称を「アメリカ湖」に変更するよう指示する大統領令に署名。カナダと一部のアメリカ人の怒りを買った。