映画監督ヴェンダース氏、1975年の作品を公開中止に 当時10代俳優の裸のシーンめぐり

黒い上着と蝶ネクタイ、丸メガネをつけたヴェンダース氏がトロフィーを両手で持って顔の近くに上げている

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画像説明, ヴィム・ヴェンダース氏。5月29日のドイツ映画賞の受賞スピーチでは、問題のシーンをめぐる自身のジレンマについて語った
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ドイツの映画監督で、米アカデミー賞の候補になったこともあるヴィム・ヴェンダース氏は3日、1975年公開の作品「まわり道」を今後鑑賞できないようにすると表明した。この映画で13歳の時に上半身裸の場面を撮影された、ドイツ出身の俳優ナスターシャ・キンスキー氏の要請を受けたもの。

キンスキー氏は先月、ドイツ紙「南ドイツ新聞」に、この映画の修正をヴェンダース氏に長年求めてきたと説明。「あれは私の初出演作だった。彼は私の初めての監督だったが、私を守ってくれなかった」と話した。

ヴェンダース氏は3日、インスタグラムに声明を投稿。「当時(キンスキー氏は)もっと守られるべきだった」、「そのことについてあなたに謝罪する、ナスターシャ、無条件に、弁解なしに」と述べた。

そのうえで、この作品を「現在行われているあらゆる形態の配給および上映」から引き上げると表明し、「ストリーミングサービス、テレビ局、配給パートナーに対し、この映画の公開を中止するよう指示する」とした。

ヴェンダース氏はまた、「ここ数日の多くの反応、コメント、対話は、当時あった事に対する私の理解をさらに深める上で重要な役割を果たした」と述べた。

「そのことを私は感謝している。オープンで敬意に満ちたやりとりがあってこそ、私たちは自らの立場を再考し、責任を再評価することができる」

「私たちの社会は、20世紀の物議を醸す映画作品に対処する適切な方法を見いだし、映画に関する新たな学びのプロセスと包括的な視点に向き合うことが必要だ」

ヴェンダース氏は今後、映画関連の機関や団体と「幅広い対話」を行い、「ナスターシャ・キンスキーを含めた、双方の合意による解決策」に達してから、「この映画を再びみられるようにする」としている。

黒っぽい服と大きな円形のイヤリングを着けたキンスキー氏がほほ笑んでいる

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画像説明, ナスターシャ・キンスキー氏

「もっと早くに」

ヴェンダース氏の表明を受け、キンスキー氏の弁護士はAFP通信に、「もっと早くに対処すべきだった」と話した。

また、ヴェンダース氏の決定を「歓迎する」ものの、「世論の圧力でようやく実現したのは残念だ」と述べた。

「まわり道」には、キンスキー氏と、撮影当時30代前半の男性共演者による性的なシーンが含まれていた。ヴェンダース氏はこの作品で、ドイツ映画賞の監督賞を獲得した。

ヴェンダース氏は先月29日、今年のドイツ映画賞で生涯功労賞を受けた。米誌「ハリウッド・リポーター」によると、同氏は受賞スピーチで、該当のシーンを映画から永久に削除すべきか「葛藤している」と述べ、会場にいた若手映画製作者らにこの問題の解決への協力を求めたという。

キンスキー氏は「まわり道」のほか、「悪魔の性キャサリン」(1976年)や「今のままでいて」(1978年)でも裸のシーンがある。

同氏は1997年のインタビューで、初期の役柄について、「もし私を守ってくれる人がいたら、あるいは自分にもっと自信をもてていたら、特定のことは引き受けなかっただろう。裸のことだ。心の中では引き裂かれていた」と話していた。

キンスキー氏は、ヴェンダース氏のカルト的ヒット作品「パリ、テキサス」(1984年)などの映画で国際的な名声を得た。さらに、ヴェンダース氏の「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」(1993年)にも出演した。