イスラエル、ガザ支援職員の殺害めぐり軍関係者を訴追せず 豪政府は「憤慨」

長い黒髪の人が前を見て笑っている

画像提供, PA Media

画像説明, ゾミ・フランクコムさん。パレスチナ・ガザ地区で支援活動中に攻撃され死亡した
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パレスチナ・ガザ地区で2024年、人道支援団体のオーストラリア人スタッフがイスラエル軍の空爆によって殺害されたことをめぐり、イスラエル政府は19日、軍関係者を訴追しないと決定した。オーストラリアのペニー・ウォン外相は20日、「憤慨している」と怒りをあらわにした。

IDFは声明で、WCKの車列に武器を持った警備員が同行していたことは事前に知らされていなかったとし、警備員をガザの武装組織ハマスの戦闘員と誤認したと説明。また、車列はIDFと調整したルートを外れていたと主張した。

そして、WCKスタッフらの殺害に至るまでに「重大な失敗」があったものの、「指揮官らの決定は、犯罪行為があったとの合理的な疑いを抱かせるものではなかった」とした。

動画説明, 人道支援の車列攻撃、ガザでの活動は命の危険と隣り合わせ イスラエルは通信機器を持たさず(2024年4月)

これに対し、オーストラリアのウォン外相は、イスラエルの決定を「私たちが期待する説明責任には程遠い」と批判する声明を発表。駐豪イスラエル大使を呼び出すとした。また、豪政府の見解をイスラエルに直接伝えるよう、駐イスラエル豪大使に指示したとした。

ウォン氏はさらに、豪政府がイスラエルの決定を知ったのは19日の夜遅くだったとし、世界人道デーの同日にこうした決定が出されたことは「ことさら侮辱的だ」と非難。「イスラエル国防軍は、ゾミと同僚が乗った車両への攻撃について、同軍による手順の重大な違反、誤認、判断の誤りの結果だったと認めているというのに」と憤りを表明した。

そして、「ゾミと同僚たちのために正義が実現される」ことを、引き続きイスラエルに求めていくと強調した。

ウォン氏のコメントは、ガザでの戦争が始まって以降で、オーストラリアがイスラエル軍に関して発した非難としては最も強いものの一つ。WCKへの攻撃に対する国際社会の広範な非難を反映している。

支援団体も独立調査を要求

WCKも声明を発表し、イスラエルの決定は「真実の全体像と矛盾しており、極めて不快」だとした。そして、「IDFは自らの行動を信頼性をもって調べることはできない」とし、独立した調査を要求した。

WCKはまた、「致命的な攻撃の際、IDFはガザにいる私たちのチームが武装しておらず、誰の脅威にもなっていないことを知っていた」と主張。「(IDFは)広範囲での複数回の空爆で、人道支援用だと明確に印がついた私たちの車両を完全に視覚で認識していた。私たちのチームの動き、身元、活動を事前に知っていた」とした。

さらに、「同軍の調査は、異なる時間軸や出来事を混同し、真相をあいまいにし、IDFの違法行為の責任を転嫁している」と批判した。

この事案をめぐっては、元オーストラリア国防軍司令官のマーク・ビンスキン氏が2024年8月、IDFの手続きの「重大な失敗」がフランクコム氏と同僚の殺害につながったと結論付ける報告書を提出した。

IDFは当時、支援活動の車両への攻撃を「重大な過ち」としていた。

フランクコム氏の殺害をめぐるイスラエルの決定は、IDFが2024年にガザ地区で5歳のパレスチナ人少女を殺害した事案に関して刑事捜査を開始するという、イスラエルの決定とは対照的なものとなった。

この事案では、IDFと調整のうえ少女の救助に向かった救急車も砲撃され、救急隊員2人も殺害された

IDFは今回、2025年3月にあったパレスチナ人15人の殺害についても調査すると発表した。犠牲者には医療従事者や国連職員も含まれていた。遺体は攻撃から1週間後、大破した車両のそばの浅い穴に埋められているのが発見された。

一方、2023年11月と2024年2月にあった、国境なき医師団(MSF)の職員計4人が殺された2事案については、刑事捜査を行う根拠は見つからなかったとした。