イギリス国王夫妻、改修後のバッキンガム宮殿に住まないと 一般公開を拡大へ

祝賀パレードで馬車に乗るチャールズ国王とカミラ王妃。国王は近衛連隊の赤い制服と帽子姿で、胸元に勲章を着けている。カミラ王妃もそれに合わせた赤いコートドレスと黒い帽子を着用している。

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アンドレ・ローデン=ポール記者、ダニエラ・レルフ王室担当上級編集委員

イギリス国王チャールズ3世とカミラ王妃は、3億6900万ポンド(約788億円)の改修工事が来年に完了した後もバッキンガム宮殿には居住しないことが、最新の王室財務報告で明らかになった。

バッキンガム宮殿は1837年以来、イギリスの君主のロンドンにおける公邸として機能してきた。今後も英王室の公務の本部として維持されるが、チャールズ国王は近隣のクラレンス・ハウスを、引き続き自身の公邸として使用する。

関係者によると、この決定は、この歴史的建造物の一般公開を拡大するためのものだという。

バッキンガム宮殿では10年にわたって改修工事が行われている。王室の公務経費を賄う「ソヴリン・グラント」の一時的な増額によって資金が調達されており、来年3月に完了する予定だ。

改修では、火災や水害につながる可能性があるため、老朽化したケーブルや鉛製の配管、配線やボイラーの多くが、60年ぶりに交換された。

バッキンガム宮殿を真正面から撮影した写真

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画像説明, 1837年にヴィクトリア女王が、バッキンガム宮殿を宮廷の公式の居所として初めて使用した。写真は2026年6月13日撮影
バッキンガム宮殿とクラレンス・ハウスの位置関係を示した写真

チャールズ国王とカミラ王妃は2005年の結婚以来、セント・ジェイムズ宮殿の隣に位置するクラレンス・ハウスで共に生活してきた。この邸宅はかつて、国王の祖母エリザベス王太后が、2002年に亡くなるまで住んでいた。

共に70代後半の国王夫妻は、バッキンガム宮殿に引っ越す場合に伴う、自分たちやスタッフの混乱を望まなかったとみられている。

また、国王がバッキンガム宮殿に住む場合には、安全上の懸念から、来訪者数や見学可能な区域が制限されることになる。

今回の決定により、同宮殿は以前より長い期間、公開できるようになり、増収も見込める。現在は毎年、夏季と特定の日に、国賓用客室を一般公開している。

国王は今後も、国賓晩餐会やガーディン・パーティー、レセプション、首相や新任大使との謁見など、さまざまな行事を同宮殿で行う予定だ。

国王の公務を管理するバッキンガム宮殿の報道官は、「陛下はバッキンガム宮殿に強い愛着を持ち、その王室および公共生活における役割を深く尊重している」と述べた。

赤いじゅうたんが敷かれた宮殿の大広間に白いクロスのかけられたテーブルが並べられ、正装の男女が座っている。テーブルは花やろうそく立てで飾られている。周囲では大勢の配膳係が働いている

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画像説明, バッキンガム宮殿ではこれまでに何百回もの国賓晩餐会が開催されてきた。写真は1960年代にフィンランドのウルホ・ケッコネン大統領(当時)を迎えた時のもの

国王がロンドンに滞在している間は、王室旗がバッキンガム宮殿とクラレンス・ハウスの双方に掲げられる。

ジェイムズ・チャルマーズ王室財務担当官は、計画では、国王と王妃は「勤務日に休憩のために宮殿内のプライベートルームを利用できる。また、将来的には居住空間として活用される可能性もある」と述べた。

「これは過去からの変化であると同時に、将来を見据えた判断だ。だが、他のあらゆる点において、バッキンガム宮殿は引き続き王室生活の儀礼的かつ運営上の中心であり続ける。その点は、はっきりさせておきたい」と付け加えた。

大きな白いだんろの前にグレーのソファと、緑の布が貼られた机が置かれている。ソファではスーツ姿のジョージ6世が新聞を読んでいる。机では椅子に座ったエリザベス王妃がトランプをしている

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画像説明, 1942年、バッキンガム宮殿でくつろぐジョージ6世とエリザベス王妃。2人は第2次世界大戦中も同宮殿で暮らし続けた

19世紀のヴィクトリア女王の時代以降、イギリスの君主は歴代、バッキンガム宮殿で暮らした。

ヴィクトリア女王はバッキンガム宮殿を初めて公式な宮廷所在地として使用した君主。アルバート公と結婚後、775室を有するこの建物を家族の居住、賓客の接待、公務遂行の場として改装した。

しかし夫の死後、ヴィクトリア女王は長期間にわたりバッキンガム宮殿を離れることもあった。

この宮殿はまた、2023年に亡くなったエリザベス2世とも密接に結びついている。当時のチャールズ皇太子やアンドリュー王子を出産したのもこの宮殿で、エリザベス女王自身も同宮殿内に居室を構えていた。

豪勢な宮殿の一室で、エリザベス女王が執務机に座ってカメラに向かっている。女王は白銀の長そでにワンピースを着て、真珠のネックレスと赤い宝石のブローチを着けている。机には文房具のほか、家族写真が入った写真立てが3脚と、小さなブーケが置かれている。赤いじゅうたんが敷かれた室内には、金色のソファやピアノ、ろうそく立てなどの調度品が置かれ、大きなクリスマスツリーが飾られている

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画像説明, バッキンガム宮殿のホワイト・ドローイング・ルームから毎年恒例のクリスマスメッセージを述べるエリザベス女王(2018年)

チャールズ国王はこのほど財務報告書を公開し、イギリス君主として初めて自身の納税額を明らかにした。バッキンガム宮殿の計画も、この中で明らかになった。

報告によると、国王は2024~2025年度に1290万ポンドを、2023~2024年度には1170万ポンドをそれぞれ納税しており、イギリス国内の納税額上位100人に入っていた。

報告では、王室への公的資金ソヴリン・グラントの増額も示している。それによると、バッキンガム宮殿の改修費用を賄うため、2017年から基礎額の一時的な引き上げが実施されていた。

改修工事の終了に伴い、ソヴリン・グラントの総額は現在の1億3790万ポンドから、2027~2028年度には9990万ポンドに減少する見通しだ。ただし、この新しい水準は、2024~2025年度の基礎額5180万ポンドのほぼ2倍で、2025~2026年度の基礎額7210万ポンドも上回っている。

この増額分は、使用中の王宮における未処理の維持管理課題への対応、王族の居住施設のサイバーセキュリティー強化、そしてエネルギー効率の高い暖房システムの導入に充てられるという。

さらに、ウィンザー城の耐用年数が近づいているボイラーの交換のため、約1100万ポンドが確保された。