ミャンマーのアウンサンスーチー氏、住居軟禁に移行と軍が発表

画像提供, Myanmar state TV
ロバート・グリーンオール記者、ジョナサン・ヘッド東南アジア特派員(バンコク)
ミャンマー国営メディアは4月30日、拘束が続く民主化指導者アウンサンスーチー氏(80)が住居での軟禁に移されたと報じた。
ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー氏は、2021年2月の軍事クーデター以来、拘束が続いていた。首都ネピドーの軍刑務所に拘束されていたとみられている。
クーデターを主導し、今年4月に新大統領になったミンアウンフライン前国軍総司令官はアウンサンスーチー氏について声明で、「残りの刑期を、指定された住居で服役するよう減刑した」と述べた。
国営メディアは、同氏が制服を着た2人の職員を前に座っている写真を放映した。
アウンサンスーチー氏の息子キム・アリス氏は、軍部の今回の発表を疑っており、母親が生きている証拠さえ得ていないと話した。アリス氏によると、写真は2022年に撮影されたもので、「無意味」だという。
「本当のことであってほしい。しかし、母が移送されたと示す本物の証拠はまだ何も見ていない」と、アリス氏はBBCに話した。「なので、母と連絡を取り合うことが許可されるか、母の状態と居場所を客観的な立場の人が確認できるまでは、何も信じない」。
軍部の発表に先立ち、アウンサンスーチー氏の健康状態や生活環境については何も分かっていなかった。アリス氏は昨年12月、もう何年も連絡がないと話していた。
アウンサンスーチー氏の弁護団はロイター通信に対し、住居軟禁への移送について直接の通知は受けていないと明らかにした。
軍部が2021年に選挙で選ばれた政府を追放し、アウンサンスーチー氏を逮捕して以来、その姿はほとんど公になっておらず、消息も分かっていない。
弁護団は3年以上、家族は2年以上、本人と接触できていないという。
今回の国営メディアの報道以前に公になったアウンサンスーチー氏の唯一の画像は、2021年5月の出廷時のものだった。軍部はこの時、アウンサンスーチー氏に対する一連の裁判を開始したものの、罪状はいずれも軍部による捏造だと、国際社会では広く退けられている。
アウンサンスーチー氏は禁錮33年の実刑を言い渡されたが、刑期は数回にわたり短縮されてきた。
国営メディアが今回、アウンサンスーチー氏の消息についていきなり報道したことから、同氏の扱いを軍部が変更しようとしている可能性がうかがえる。部分的、あるいは完全な釈放を予定している可能性もある。
ミャンマーでは長年の軍事独裁を経て、2011年に「民政移管」が実現。アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が2015年の選挙で勝利し、同氏が国家顧問としてトップに立った。同氏はそれ以前、軍政下で数十年にわたり民主化活動家として活動し、過去には15年以上にわたって自宅軟禁下に置かれていた。
2021年2月のクーデターを率いたミンアウンフライン大統領は、政権の国際的な孤立を終わらせようとしている。国内の反政府武装グループに対し、戦場での勝利が続いていることで、自信を深めているようでもある。
軍事政権は名目上の総選挙を昨年末から開始したが、軍幹部が引き続き実権を握っている。
「ミャンマーを支配する軍政は、広報活動に注力している」と、アウンサンスーチー氏の元経済顧問、ショーン・ターネル氏はBBCの番組で話した。
ターネル氏は、ミャンマー軍が「自分たちが正当な政府だと世界に納得させようとしている」とも述べ、アウンサンスーチー氏の住宅軟禁移行の報道も「その一環」だと話した。
ターネル氏は、アウンサンスーチー氏が刑務所を出たのが本当であってほしいと、「心から願っている」ものの、「かなり疑っている」と述べた。
ターネル氏はオーストラリア出身の経済学者。2021年の軍事クーデター後、ミャンマーの民主的に選出された指導者たちと同様、1年以上拘束され、アウンサンスーチー氏と同じ刑務所に収容されていた。
ターネル氏は当時の環境を「中世のよう」で「本当に、本当にひどいものだった」と振り返り、食事や医療ケアは「劣悪」で、独房は「むき出し状態で外気にさらされていた」と付け加えた。
アウンサンスーチー氏は現在80歳。それを踏まえると、刑務所は「彼女にとって過酷」だと、ターネル氏は述べた。
1990年代から繰り返し軟禁下に置かれていた間、アウンサンスーチー氏は自宅から支持者に向けて演説を繰り返し、その威厳ある非暴力の抵抗はミャンマー国内および世界中で称賛された。1991年にはノーベル平和賞を受賞した。
しかし、2017年にミャンマー軍がイスラム系少数民族ロヒンギャに対して行った残虐行為をめぐり、国際司法裁判所(ICJ)に自ら出廷してミャンマー軍を弁護したことで、それまで国際社会から聖人のように扱われていたイメージが大きく傷ついた。
他方、公の場から離れた長年の監禁生活を経ても、ミャンマー国民はアウンサンスーチー氏を今も「とても高く」評価しているとターネル氏は言う。
「彼女にはカリスマ性があり、ビルマの人々とほとんど魂で結びついていると言える。それは全く衰えていないと思う」とターネル氏は述べ、国内の人々は「彼女の解放をひたすら願っている」のだと話した。











