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英現代画家ホックニー氏が死去、国王も追悼
イギリスで最も重要で人気ある画家の一人、デイヴィッド・ホックニー氏が11日に死去した。88歳だった。国王チャールズ3世や、国内外の美術界から追悼のメッセージが相次いでいる。
チャールズ国王は個人的な声明で、「芸術と絵画の世界における巨人であり、生粋のヨークシャー人であり、そして非常に多くの人々にとって親しい友人でありインスピレーションであった人物」の死去を知り、自身とカミラ王妃は「深い悲しみに包まれている」と述べた。
ホックニー氏の代理人は12日に声明を発表。「イギリスの著名な芸術家で、20世紀および21世紀の現代美術における最も重要な人物の一人であるデイヴィッド・ホックニーは、89歳の誕生日を1カ月後に控えた2026年6月11日、自宅で安らかに息を引き取った」と明らかにした。
声明は、ホックニー氏の「永続するレガシーは、彼の生命への情熱、卓越したユーモアの感覚、並外れた寛大さ、そして『Love Life(人生を愛せ)』という象徴的な言葉に体現された探究心を反映している」と付け加えた。
70年にわたるキャリアを通じ、ホックニー氏は故郷ヨークシャーの風景や、ロサンゼルスの太陽に照らされたプールを描いた作品、友人や家族を描いたiPadによる肖像画など、鮮やかで革新的な作品で知られた。
実質的にあらゆる媒体において天才であり、絵の具、写真、iPadを用いて制作を行った。エッチング、リトグラフ、さらにはステンドグラスも手掛け、オペラの舞台美術の壮大さにも、ペンとインクによる親密な表現にも、同じように自在に取り組んだ。
オキシドール(過酸化水素)で脱色したブラッドフォード風の金髪に丸眼鏡、チーズカッター型の帽子という風貌で、1960年代に美術界に旋風を巻き起こした。それから半世紀以上たっても、美術館を満員にした。
2018年には、プールを描いた作品の一つがオークションでほぼ7000万ポンド(約150億円)で落札され、存命の芸術家として最高額を更新した。しかしホックニー氏自身は、自らの作品に対する大衆の熱狂に驚きを示していた。
チャールズ国王は声明の中で、2022年のメリット勲章の授与式の昼食会に、ホックニー氏が型破りな履物を着用して出席したことなど、同氏との交流を振り返った。
「デイヴィッドは、人生における真に独創的な人物の一人であり、宮殿での行事を明るくしたあの愛用の黄色いクロックスのように、その天才性を軽やかに身にまとっていた人物だった」
「彼がそのまま次の世界へと安らかに歩みを進めることを願っている。我々がその抑えがたい魅力、才能、絶え間ない革新によって強く惜しまれる人物を悼む一方で、そのまばゆい創造性は世界中の美術館や博物館で生き続けている」
キア・スターマー英首相は、「イギリスで最も称賛される芸術家の一人」の死去を受け、「悲しんでいる」と述べた。
首相官邸の報道官は、ホックニー氏の「鮮やかで一目でそれと分かる作品は、世代を超えて芸術家たちに影響を与えた。首相は、彼の友人と家族に思いを寄せている」と付け加えた。
テート・ブリテン美術館のアレックス・ファーカーソン館長は、ホックニー氏を「極めて重要な人物」であり、「独自の世界観を持った、果てしなく創造的な芸術家」と評した。
ファーカーソン氏は、ホックニー氏を「作品においても人生においても、常に完全に、そして勇敢に自分自身であり続けた人物」として記憶すると述べた。
「彼は、私たちに見る喜びを教え、大勢が見逃していたものを見ることを教えてくれた。その機知に富んだ鋭い観察は、作品の中でも個人としても、常に存在していた」
「美術界にとっての損失は計り知れない。デイヴィッドの死は、絶え間ない再創造によって特徴づけられた、並外れた作品群の一つの区切りを意味する」
ファーカーソン氏はさらに、「その驚異的な才能、芸術と人生への愛、そして深遠で型破りな洞察」を称賛し、「彼の作品は美術界をはるかに超え、私たちの文化に影響を与え続けている」と述べた。
同美術館は、来年予定されている二つのプロジェクトについて、今後もホックニー氏のチームと協力を続けると明らかにした。
一つはテート・ブリテンで開催予定の大規模な回顧展で、ホックニー氏の70年にわたる作品を網羅するものだ。もう一つは、テート・モダンのタービン・ホールで行われるマルチメディア展示で、同氏が手掛けたオペラ舞台のデザインを生き生きと再現する。
ホックニー氏はまた、世界の美術界の重要人物でもあった。パリのポンピドゥー・センターは、「疑いなく現代美術の主要人物の一人」と評価。彼が残した作品が「まばゆく、生き生きとしており、そして永続的である」と付け加えた。
同センターは過去に、同氏の二つの画期的な展覧会を開催している。
ホックニー氏はデジタルの世界にも足跡を残した。先に退任を発表したアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はXに、ホックニー氏は「創造性に限界がないことを示し、iPadを現代で最も鮮やかな芸術のためのキャンバスへと変えた」と投稿した。
「彼のレガシーは、私たち全員が世界を少し美しく見るように促し続けるだろう」とも、クック氏は述べた。
「現代美術の道筋を再形成した」
ホックニー氏は1937年7月9日、ウェスト・ヨークシャー州ブラッドフォードに生まれた。
画材を入れた乳母車を押しながら故郷の街を回り、路上で絵を描くことで技術を培った。
ブラッドフォード芸術学校で訓練を受けた後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートに進学し、金賞を受けて卒業した。
同校の学長兼副総長であるクリストフ・リンドナー教授は、「その無限の好奇心、色彩の習熟、そして新技術の受容は、現代美術の道筋を再形成した」と述べた。
「彼のレガシーは、今後の世代の芸術家たちにインスピレーションを与え、挑戦を突きつけ続けるだろう」
1964年に米ロサンゼルスへ移住した後、ホックニー氏の独自の作風は、プールを題材とした連作によってカリフォルニアの生活を際立たせた。
そのほかの代表作には、1971年の肖像画「クラーク夫妻とパーシー」がある。ファッションデザイナーのオジー・クラーク氏と、テキスタイルデザイナーのセリア・バートウェル氏、そして2人の猫を描いた。
ホックニー氏は昨年、BBCのケイティ・ラザール文化編集長に対し、パリのルイ・ヴィトン財団で開催された史上最大規模の展覧会について語っていた。2年前に計画されたこの展覧会について、ホックニー氏は自分が実際にそれを見られるか分からないと述べていた。
「自分はおそらくそこにはいないだろうと思っていた」と、同氏は語っていた。「私は今も喫煙者で、あれこれ指図する人たちにはうんざりしているが、満足している喫煙者だ」。
この展覧会には、春への愛をテーマにしたギャラリーが含まれていた。2020年の新型コロナウイルスのパンデミックの間、仏ノルマンディーに住んでいた同氏が、春の訪れとともに咲く木々や花々をiPadで描いた作品が展示された。
遺族には、長年のパートナーであり伴侶であるジャン=ピエール・ゴンサルヴェス・デ・リマ氏、晩年にスタジオ助手を務めた甥の息子のリチャード氏、兄弟のフィリップ氏とジョン氏、姪や甥、その子供らがいる。