ルビオ米国務長官、ロシアに追加情報の共有促す ペスト研究所職員の死について

画像提供, AFP via Getty Images
ロシア・シベリア連邦管区にあるペスト対策研究所でロシア人職員が死亡した事案について、マルコ・ルビオ米国務長官は6日、さらに詳しい情報を共有するようロシアに求めた。
「もちろんロシアは、もっと多くの情報を世界と共有する義務があると思う」、「我々は刻一刻と状況を注視している」とルビオ長官は記者団に述べた。
ペスト対策研究所で働いていた28歳の女性が、どのような状況で死亡したのかについて、様々な臆測が飛び交っている。
ロシア当局は、死因については現在も調査中だとしている。亡くなった女性と接触した人は全員、肺ペストの検査で陰性だったという。
ロシア・メディアは2日、研究所の職員が死亡し、約200人が経過観察下に置かれたと伝えた。
現地報道によると、「ダリヤ・シピロワ」という名の女性研究員は、亡くなる数日前に体調を崩した。この女性は最近、モンゴルとの国境にあるブリヤート共和国を訪れていたという。
未確認の情報によると、女性職員は病原体が入った試験管を割った後、あるいは野生のげっ歯類の間でペストが自然発生している地域で野外調査を実施後、体調を崩した可能性があるという。
他方、ロシアの保健監督機関、連邦消費者権利保護・人間福利監督庁(ロスポトレブナゾール)は、女性は「原因不明の肺炎」で死亡したと発表した。
世界保健機関(WHO)のクリスチャン・リンドマイヤー報道官は6日、ロシアは「イルクーツク市では、この危険な病気の症例は記録されていない」と報告していると声明で明らかにした。
WHOに加盟するロシアは、国際保健規則(IHR)に基づき、肺ペスト発症の事象が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」かどうかを評価し、該当する場合はWHOに通告する義務がある。
WHO声明はさらに、「患者の接触者を全員特定し、健康状態を監視しているが、今のところ発症者はいない」としている。
この事態について6日には、ロシアとアメリカ両政府の間でさまざまなコメントが飛び交った。
アイスランドを訪問中のルビオ国務長官は、状況が言われているよりも深刻化した場合、アメリカとしてロシアを支援するための「措置」を用意していると発言した。
ロシアのロスポトレブナゾールはこれに対して、「ロシア連邦は、アメリカが感染症の発生に取り組む際、それを支援する用意がある」と応じた。
ドナルド・トランプ米大統領はこの件を「非常に真剣に」検討していると述べた。
米紙ワシントン・ポストによると、米疾病対策センター(CDC)、国務省、戦略準備・対応局が、アメリカ側の対応策に取り組んでいる。
「病気は検出されず」
ルビオ長官の発言後、女性職員の死亡について質問されたロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロスポトレブナゾールの調査結果に言及。さらに、アメリカからの支援申し出について尋ねられると、「相互扶助の申し出があるのは良いことだ」と述べた。
ロスポトレブナゾールは6日、オンラインで流布している文書に、特別な疫病対策が実施されたと書かれていることについて、事実ではないと声明で述べた。「問題の文書および情報は公式の情報源からのものではなく、事実と異なることを、明確にしておきたい」と、同庁は通信アプリ「テレグラム」上で発表した。
ペスト菌が引き起こす感染症のペストは、14世紀にヨーロッパの人口の半数近くを死なせ、当時は「黒死病」と呼ばれた。ペスト菌は、女性職員が訪れていた地域では、マーモットなどのげっ歯類に生息している。

イルクーツクにシベリア・極東ペスト対策研究所が設けられたのは約100年前、周辺地域でペストの集団感染が発生したためだった。
英レディング大学のサイモン・クラーク准教授(細胞微生物学)は、BBCラジオの番組で、ペスト菌による肺炎は治療せずに放置するとほぼ確実に死に至るが、抗生物質で克服できると述べた。
「肺ペストは人から人へ感染する可能性があるからこそ、心配されている」のだとクラーク博士は述べたうえで、「しかし、集団感染が発生すると当然、ロックダウンや新型コロナウイルスを連想するが、これについてはそうはならない」と話した。
「多くの人が、『ああ、ペストはもう終わった、何百年も前に終わったんだ』と思っているが、そうではない」、「人間の健康を脅かすもので、だからこそ研究する必要がある」とも、博士は説明した。











