NATOとEU、ロシアを非難 ロシアのドローンがルーマニアの集合住宅を直撃

壁に穴が開いた建物の隣に、「警察」と書かれた黒いベストを着た男性4人と、白い防護服、ヘルメット、フェイスマスクを着た男性が立っている

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画像説明, ロシアのドローンが直撃した現場を調べる現地警察(29日、ルーマニア東部ガラツィ)
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ミルチェア・バルブ記者(ブカレスト)、ヤロスラフ・ルキフ記者、クリス・グレアム記者

ルーマニア東部で29日、集合住宅にロシアのドローンが直撃して火災が発生し、2人が負傷したことをめぐり、西側諸国から厳しい批判の声が上がっている。現場はウクライナとの国境に近く、ウクライナは、ロシアがヨーロッパにとって「真の脅威」だということを、今回の事態が改めて証明したと主張した。

ルーマニアのニクショル・ダン大統領は、東部ガラツィの集合住宅に直撃したドローンはおそらく、ウクライナ領空内でウクライナに迎撃されたことで、軌道が変わった可能性が高いと述べた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は後に、ドローンが果たしてロシア製なのかと疑問視した。

ルーマニアの緊急事態当局は、ドローンに搭載されていた爆発物の全量が爆発し、集合住宅の10階で火災が発生したと述べた。消防当局によると、現場では2人が擦り傷を負って治療を受けた。また、消火活動中に住民ら約70人が避難したという。

ロシアが2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始して以来、ロシアが発射したドローンは何度もルーマニアに侵入しているが、ルーマニア人が負傷したのは今回が初めて。

ルーマニアとウクライナは、ドナウ川を国境として隣接している。ウクライナの港湾はロシアによる空爆の標的となることが多い。

夜間に高層アパートの最上階で火災が起きている

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画像説明, ドローンが直撃した集合住宅で火災が発生した。火災は鎮圧され、約70人が避難した(29日、ルーマニア・ガラツィ)

ダン大統領は29日午後にガラツィを訪れ、ドローンがウクライナ上空でウクライナ防空体制に迎撃された可能性が高いと発言した。

「東側からドローン43機が飛来し、一部はウクライナ上空で撃墜され、1機は (ウクライナ・)レニの上空で攻撃されたことで、軌道が変わった」と、大統領は話した。

ダン大統領はさらに、黒海沿岸コンスタンツァにいるロシア領事を追放し、領事館を閉鎖すると表明。これについてロシア政府は、間もなく回答すると述べている。

ダン大統領はまた、ルーマニアの最高防衛評議会の緊急会議を招集し、ロシアのドローン攻撃を「ロシアによるウクライナ侵略戦争が始まって以来、ルーマニアの領土に影響を与えた最も深刻な事件」と説明した。

ルーマニアの国防省によると、領空内でドローンを検知した後、F16戦闘機2機が緊急発進した。同省のゲオルゲ・マキシム准将は、ドローンの検知から着弾までわずか4分しかなかったと語った。

マキシム准将は、ルーマニア軍はウクライナの領空を侵犯するような弾薬を発射できないため、大きな制約を受けていると説明。

「ウクライナは戦争状態にあるが、ルーマニアは平時だ。我々はウクライナの領空に向けて発射体を発射することはできない」と述べた。

ルーマニア軍は、これはルーマニアに対する攻撃ではなく、「国境付近で発生した紛争が、地元住民に影響を及ぼしたもの」と説明し、国民を安心させようとしている。

外務省は、「この事案はロシア連邦による重大で無責任なエスカレーションを示すものだ」と指摘。この件をルーマニアが加盟する北大西洋条約機構(NATO)の事務総長に報告し、「ルーマニアに対ドローン・システムを移転する措置を加速するよう要請した」と付け加えた。

NATOのマルク・ルッテ事務総長は29日、ダン大統領と協議したと明らかにした。NATOは「同盟国の領土の隅々まで守る用意がある」と、大統領に伝えたという。

ルッテ氏はさらに、「ドローンを含むあらゆる脅威を抑止・防御する態勢を引き続き強化していく」と話した。

欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「ロシアの侵略戦争はまたしても一線を越えた」とソーシャルメディア「X」に書いた

「私たちが(欧州連合の)東側境界で安全保障と抑止力を強化し続ける中、引き続きロシアへの圧力を強めていく」とも委員長は書いた。

ウクライナのアンドリー・シビハ外相はXで、今回の事態は「ロシアの侵略が黒海地域に真の脅威をもたらすことを改めて証明した」と書いた。

外相は他の国々に対し、ウクライナへの支援を強化し、「地域の平和と安全を回復する」ためロシアへの圧力を強めるよう促した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は29日夜、ダン大統領との電話でルーマニアへの支持を表明したとXに投稿した

「私たちはルーマニアと常に連絡を取り合い、ロシアからあり得るあらゆる脅威から生命を守るため、引き続き協力していく」とも、大統領は書いた。

イギリスのキア・スターマー首相は、ドローン攻撃はNATO空域の「深刻な侵犯」だと非難。イギリスは「ロシアの継続的な侵略に直面して、ウクライナ、ルーマニア、そしてすべてのNATO同盟国と肩を並べて」立っているとも述べた。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相、フランスのジャン=ノエル・バロ外相など多くの欧州首脳や、アメリカのマシュー・ウィテカーNATO大使なども、今回の事態を非難した。

他方、プーチン大統領は29日午後の記者会見で、この件について聞いたばかりだと述べ、ドローンの残骸は「客観的な調査」のためにロシアに引き渡すべきだと提案した。

また、最近ではウクライナのドローンが、複数のEU諸国に迷い込んだこともあると指摘した。

ロシアによるウクライナ全面侵攻が始まって以来、複数のNATO加盟国にドローンが侵入している。

ポーランドでは昨年8月、首都ワルシャワから南東130キロにあるオシニ村の野原が、ロシアのドローンで攻撃されたと主張。同9月には、ロシアのものと疑われるドローン2機をポーランド領空で撃墜した。

ポーランドのドナルド・トゥスク首相は当時、NATO加盟国の緊急協議を義務付けるNATO条約第4条の発動を要請したと話していた。

ガラツィ、ドナウ川、レニ、イズマイルなどの位置を示した地図

ドナウ川のウクライナ側にあるレニ港とイズマイル港をロシアがドローンで攻撃した場合、対岸のルーマニアをはじめNATO同盟国にとって、ガラツィを含むドナウ川近くの国境地域の防衛は困難だ。

ルーマニア国防省によると、ウクライナでの戦争が始まって以来、ルーマニア領内でドローンの破片が発見されたのは47回に上り、今年だけで12件になる。

今年4月には、ウクライナ・レニの近くで、ドローンがウクライナ国境を越えたと検知された後、ガラツィ郊外でロシア側のドローンの破片が見つかったという。

NATOの戦闘機は当時、ドローンを標的にする権限を与えられていたものの、レーダーで追跡したドローンがルーマニア領空を侵犯しなかったため、発射しなかった。

NATOのルッテ事務総長は29日、ガラツィでの事態は「(ロシアの)違法な侵略戦争の影響は、国境で止まったりしないのだと改めて示す」ものだと述べた。

他方、最近ではウクライナのドローンがNATOに加盟するバルト諸国の領空に侵入する事態も続いている。ウクライナ政府は、ロシアの無線信号に妨害されて自国のドローンが進路から外れたことが原因だと説明している。