トランプ氏、アメリカの兵器不足を否定 情報「漏えい者」を「追い詰める」と宣言

ダークスーツに青いネクタイを着けたトランプ氏が、机に向かって座り、両手を広げながら話をしている

画像提供, Getty Images

画像説明, トランプ米大統領
Published
この記事は約 6 分で読めます

アメリカとイランとの戦争が6カ月目に入り、複数メディアは、アメリカの弾薬が枯渇していると報じている。ドナルド・トランプ米大統領は6日、こうした報道を否定したうえで、情報を漏えいした疑いのある者に「長期の禁錮刑」を科すよう求めると誓った。

トランプ氏は6日朝、「アメリカには『弾薬』が、特に、特定の種類のものが膨大にある」と、ソーシャルメディアに投稿。「さらに、必要に応じて大量に(兵器が)製造され、アメリカへ輸送されている」とした。

米・イスラエルとイランとの戦争は長期化し、和平合意の見通しは依然として立っていない。そうした中で、トランプ氏と米国防総省に向けられる、兵器の備蓄状況についての疑念が高まっている。

アメリカの兵器供給が減少しつつあるとの報道を受け、イランは自国について、兵器を国内で製造しており、「いかなる脅威」にも対応できる能力を有していると表明した。

イランのマジド・イブン・アル・レザ国防相代行は、「日に日に、敵の能力低下を示す兆候が明らかになっている」と、ソーシャルメディアに投稿。「一方で我々の軍は、自国の防衛産業に支えられ、いかなる脅威にも対応できる万全の装備を整えている」とした。

さらに、「輸入したシステムを通じて安全保障や軍事的優位性を確保しようとしている者たちは、近いうちに、イラン独自の技術がこの地域のいかなるシステムよりも優れていることに気が付くだろう」と付け加えた。

米軍は、「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」と呼ぶ戦闘作戦や、その後の攻撃の応酬において、製造が容易ではない兵器を大量に使用した。そうした状況でトランプ政権は、自国のミサイル備蓄が今も安定していると国民に伝え、安心させようとしている。

長距離ミサイル備蓄の大半を消費か

BBCがアメリカで提携するCBSニュースは、アメリカの兵器備蓄について直接的な情報を知る立場の匿名の情報筋2人の話を報じた。それによると、アメリカは対イラン戦争で、長距離精密誘導ミサイルの世界全体の備蓄の大半を消費したという。

また、米紙ワシントン・ポストは5日夕、トランプ氏が先週、兵器不足の可能性をめぐり、ピート・ヘグセス国防長官と対立したと報じた。これも匿名の情報筋の話に基づくもので、BBCはこれが事実かどうか確認できていない。

トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「こうした国家反逆的な主張を『漏えいした者たち』を追い詰める」、「長期の禁錮刑を求めていく!」と述べた。

その後の別の投稿では、ワシントン・ポストの記事に直接言及し、「彼らのフェイク『報道』は国家反逆行為だと本気で思っている!」とした。

一方で、「ピート・ヘグセスの仕事ぶりには、とてつもなく満足している」とも書いた。

アメリカのミサイル備蓄に関する具体的な情報は、依然として機密扱いとなっている。ヘグセス氏は国防長官就任以来、報道機関が国防総省から入手できる情報を制限するための厳格な管理体制の構築にも取り組んでいる。

米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は、公開されているデータをもとに、7月末時点でアメリカが保有するパトリオット迎撃ミサイルの数を、759~827発と推定している。これは、対イラン戦争以前に保有していた2330発の約3分の1に相当する。

CSISはアメリカが現時点ですでに、保有する弾道弾迎撃ミサイル・システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の約60%を使用したと推定していると、CSISの上級顧問で元海兵隊大佐のマーク・キャンシアン氏は5日に述べた。

アメリカはイランとの紛争以外でも、自国の兵器需要に直面している。この状況が、兵器供給にさらに負担をかける可能性がある。

長距離巡航ミサイル「トマホーク」の備蓄回復に数年かかることを示す棒グラフ。アメリカは対イラン戦争以前にトマホーク約3000発以上を保有していたとされる。2026年第3四半期時点での備蓄量は約2000発と推定。四半期ごとの予測では、2027年から2030年までの大半の期間は、2100発から2250発の間で推移すると見込まれている。開戦前の発注分は2031年にかけて継続的に納入される見込み。開戦後の発注分は2030年後半から段階的に納入され、2031年第1四半期には備蓄量が約3000発に達する見通し。開戦後の発注分は、現時点で未承認の2027年会計年度国防予算案に基づく推定値。出典は戦略国際問題研究所

ロシアがウクライナ全面侵攻を開始した2022年2月以降、アメリカは相当数のパトリオット迎撃ミサイルをウクライナへ供給してきた。しかし、備蓄が減少している現状では、米国防総省は残りの備蓄を手元に残すだろうと、キャンシアン氏はみている。トランプ氏は先月31日の閣議で記者団に対し、ウクライナから最近要請があったパトリオット・ミサイルの追加供与を承認することは「大きな一歩」になるだろうとしつつ、アメリカとウクライナは「まだ協議を続けている」と語った。

近代兵器の多くは、予算確保から発注、製造、納入までに長い時間を要するため、使用した弾薬の分を迅速に補充することは難しい。

それにもかかわらず、トランプ政権は一貫して、備蓄は十分にあると主張してきた。

トランプ氏は先月、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「我々は世界のどの国よりも多くの弾薬を保有している。我々が必要とする以上の量を保有している」と語っている。

ヘグセス氏は6月14日に米CBS番組「フェイス・ザ・ネイション」に出演した際、備蓄不足に関する報道を「作り話」だと一蹴した。

トランプ政権は一方で、兵器の増産も示唆している。アメリカはより多くの兵器を製造するために迅速に取り組んでいると、ヘグセス氏は述べている。

ヘグセス氏は先月には、軍人への給与支払いや、「装備・弾薬の迅速な補充」のため、総額870億ドルの緊急予算を上院に要求した。