イギリスとフランス、小型ボートでの不法渡英を取り締まる新たな合意を締結へ

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英仏海峡を渡ってイギリスに到着する不法移民が増えているなか、フランスの海岸に、暴動対応の訓練を受けた警官が派遣される見通しとなっている。イギリスとフランスが23日、新たな合意を結ぶ。
この合意は、不法移民の流入阻止を目的とした3年間の時限的なもの。6億6200万ポンド(約1425億円)が投入される。シャバナ・マムード内相がフランスとの間で署名する予定。
これにより、フランスの海岸に「暴動および群衆の管理術」の訓練を受けた警官少なくとも50人が、暴力や「敵対的な群衆」への対応のため派遣される。
また、フランス側は多数のドローン、新型ヘリコプター2機、新型カメラシステムを使って、密入国業者や不法移民を追跡して取り押さえる。
フランス当局が海峡を渡る人を十分に阻止できない場合、導入から1年後にイギリスからの資金約1億ポンドは他用途に振り向けられるか、引き揚げられる。英政府は判断基準を明らかにしていない。
新たな合意の署名に先立ち、マムード氏は「イギリスに向かう船に乗り込もうとする不法移民を、フランスとの協力によって何万人も阻止してきた」と主張。
「たが、さらなる取り組みが必要だ。今回の画期的な合意で、不法移民が危険な旅に出るのを食い止め、人身密売買業者を刑務所に送ることができるだろう」と述べた。
英仏海峡を渡る人は過去3年間で増加している。昨年は4万1472人が小型ボートでイギリスに着いた。こうした状況を受け、フランス当局の取り締まりが甘くなっているとの批判が出ている。
今月18日にも、ボート9隻で602人の移民が英ドーヴァーに到着。今年になってからの到着者数は6000人を超えた。

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新たな合意に対しては、野党などが強く反対している。
最大野党の保守党は、政府が「何の条件も付けずに、国民の税金を5億ポンドも渡した」と非難。「フランスは昨年、出航のわずか3分の1しか阻止できなかった。その上それらの不法移民を解放し、再挑戦さえ許した。フランスは、大多数のボートを止めない限り、1ペニーたりとも受け取るべきではない」と主張した。
リフォームUKも、政府が「すでに失敗しているシステムに対して」さらなる資金をフランスに提供していると批判した。
自由民主党は、海路での渡航を適切に食い止める唯一の方法は、犯罪組織のビジネスモデルを恒久的に崩壊させ、フランスと大規模な送還合意を結ぶことだと主張している。
一方、英慈善団体の難民評議会は、焦点を英仏海峡の警備ではなく、安全を求めている弱い立場の人々に向けるべきだと主張した。

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イギリスの一部の政治家は、フランスがさらなる措置を取るべきだと主張している。一方、フランス政府は、移民をボートに乗り込ませないように、同国の警察が海上で摘発していると説明している。
イギリスは2023年にもフランスとの間で合意を結んでいる。これに基づき、フランスに対し、追加パトロール費用として4億7600万ポンドを支払った。
このときの取り決めは、約700人の法執行官がフランスの海岸をパトロールするというもので、来月で失効する予定だった。
英内務省によると、新たな合意が夏に発効すると、フランスで渡英防止のために派遣される職員が約42%増加する。フランス北部では、法執行機関、情報機関、軍の関係者ら約1100人が動員されるという。
フランスはまた、「タクシーボート」と呼ばれる船を取り締まるため、新たな船舶1隻と海上警備官20人以上を追加派遣するという。
現在の労働党政権は昨年8月、フランスとの間で「1人受け入れ、1人送還」の合意を結んだ。この合意でイギリスは、小型ボートで到着した移民の一部をフランスに送還する一方、イギリス入国を試みたことがない移民を、同じ人数だけフランスから受け入れることになっている。
今年2月時点で、この制度で305人がフランスへ送還され、367人がイギリスに到着している。
英政府によると、現政権の発足以来、不法移民や外国人犯罪者ら約6万人をイギリスから出国させたり国外退去にしたりしたという。











