中国共産党、過去最多33幹部の党籍剥奪処分 習氏は5中総会で「党規律」を強調

ダークスーツ姿の習氏が右手を上げ人差し指を立てて口を軽く開いている
画像説明, 中国の習国家主席
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ケリー・アン、イアン・タン(BBCモニタリング)

中国共産党は29日、幹部33人の党籍剥奪処分を発表した。この処分の規模としては過去最大。この日、重要会議の中央委員会第5回総会(5中総会)が閉幕した。これまでの総会に比べ空席が多かった。

5中総会は、今週4日間にわたって北京のホテルで非公開で開かれ、中央委員279人が出席した。

総会の出席者数が300人を下回ったのは、習近平総書記(国家主席)の14年間にわたる指導体制下で初めて。現在の中央委員会は2022年に370人超の委員で発足し、2025年10月の4中総会には315人が、2024年7月の3中総会には364人が出席していた。

近年の総会では、経済改革や社会開発問題が主な議題となっていた。だが今回の総会では、党の規律が中心テーマとなった。

習近平総書記(国家主席)は、汚職を党にとって「最大の脅威」と位置づけており、2012年に政権を握って以来、撲滅に力を入れている。

反汚職キャンペーンは継続か

5中総会の閉会に合わせて29日に発表された声明によると、今回党籍を剥奪された33人のうち16人は軍関係者だった。

「重大な規律および法律の違反」があったとされるが、具体的な嫌疑は不明。こうした大まかな疑いでの追及は、習氏の反汚職キャンペーンでよくみられる。

米シンクタンク「カーネギー・チャイナ」のチョン・ジャ・イアン非常勤研究員は、中国ではこのような措置が「権力を強化・維持する取り組み」になっていると話す。

「今回は、汚職が実際にどうなのかより、習氏がどれほど安心できるかによって、このキャンペーンの継続・拡大が決まっていくだろう」

党は声明で、「党指導部が時に弱体化や空洞化したという厳しい現実に真正面から向き合ってきた」と主張。「混乱を抑えるために(中略)内部改革などの厳格な党内自己統治を引き続き実施していく」とした。

今回の処分により、習氏の国家主席3期目に党籍を剥奪されたのは51人となった。1期目は35人、2期目は5人だった。

総会とは別に、中国の反汚職監視機関は、今年1~9月に党全体で68万人が懲戒処分を受けたと報告した。

中国の専門家らは、習氏が汚職を単なる不正な金銭授受ではなく、思想的な不純さや不忠行為とみなしているとしている。

習氏は今年1月、政治的忠誠を公言しながら命令に背いて自己の利益のために行動する「二枚舌の幹部」に対し、警告を発した。

処分された主な人物

党籍剥奪となった幹部には、党の新疆ウイグル自治区委員会書記を務めた馬興瑞氏、軍制服組の最高幹部だった張又俠‌氏と劉振立氏が含まれる。今年発表された公式声明では、「(党の)規律と規則に重大な違反を犯した」とされたが、これは汚職を遠回しに表現したものと広く解釈されている。

軍最高幹部の粛清は特に大きな意味をもつ。米シンクタンク「アジア・ソサエティー政策研究所」のニール・トーマス、ロブサン・ツェリン、シェンユ・ワンの各氏は、「他に類を見ない」と評している。

「中国が強力な新型兵器を次々と発表するなかで、組織の指導体制と戦闘準備について深刻な疑問を投げかけている」と3氏は書いている。

張氏は、軍を統括する党の中央軍事委員会の副主席も務めていた。7人で構成していた同委はその後、主席の習氏と、副主席の張昇民氏の2人にまで縮小された。

馬氏と張氏は元政治局員だった。2025年に彼らが解任され、軍制服組の元最高幹部の何衛東氏も解任されたことで、24人でなっていた強力な政治局は一時21人に減った。

今回の5中総会で、張勝民氏が政治局員に昇格し、22人となった。

昨年7月に公の場から姿を消した元著名外交官の劉建超氏も、党籍剥奪処分となった人物として名前が挙がっている。

前出のカーネギー・チャイナのチョン氏は、「習氏は自分が昇進させた人物でも、ためらわずに排除する」と分析。「ほぼ反対なしに思うままにできていることからは、現時点での彼の地位がいかに揺るぎないかがわかる」と述べる。

習氏の計画

中国専門家らは、規律(忠誠心と解釈する人も多い)を重視する姿勢が強まっている理由の一つとして、来年の党大会があるとみている。この大会で、次の指導者が選出される。

2027年には指導部の再編が予定されている。多くの専門家らは、習氏が4期目を務め、その先も見据えているとみている。中国共産党の創始者の毛沢東を除いて、これほど長く政権を維持した党指導者はいない。

前出のアジア・ソサエティー政策研究所のトーマス氏は、現在の中央委員会から多くの幹部が追放されたことを考えると、習氏が「次の世代をより綿密に精査する」のはもっともだと話す。

「新進気鋭の人々は比較的若く、テクノクラート(専門知識をもつ官僚)としての経歴をもち、習氏の政治ネットワークとのつながりをもっている傾向がある」とトーマス氏は言い、「地方の指導部が有望人物の発掘場所になっている」とした。

専門家らは、来年の第21回党大会では、最終的には習氏が人事選考を主導し、党と国をさらに強固に掌握すると予測している。

カーネギー・チャイナのチョン氏は、「習氏が重視するのは、自身への権力集中をさらに強化することだ。(中略)今回の総会の発表からは、彼が当面の間、中国と共産党の中心にとどまるつもりでいることがわかる」と話す。

「だが、こうした権力の集中は将来、習氏が高齢になって活動が鈍ったとき、深刻な権力空白を生み出す可能性を含んでいる」